脳脊髄液減少症を知っていますか?/鈴木裕子脳脊髄液減少症患者支援の会・子ども支援チーム代表/怠けによる不登校と誤解しないで

3月18日

 脳背髄液減少症を知っていますか。病名が難しい上、まだ広く国民に浸透している病気ではありませんが、
実は、誰でも遭遇する日常的な出来事によって引き起こされる身近な病気です。実際にお子さんの発症により、
周囲の無理解に苦しんだ経験をもとに現在、「脳脊髄液減少症患者支援の会」で「子ども支援チーム」の
代表を務める鈴木裕子さんに、現状と課題などを分かりやすく解説していただきました。
 脳脊髄液減少症は、交通事故やスポーツ外傷など身体への衝撃によって、脳脊髄液が漏れ続け減少することで、頭痛や、頸部痛、
めまい、吐き気、記憶力低下、倦怠感などさまざまな症状に慢性的に苦しめられる疾患です。
 現在は、ブラッドパッチ療法(自分の血液を注入し髄液漏れを防ぐ治療法)が開発され、患者にとって希望が持てるようになりました。
 脳背髄液減少症は大人だけでなく、子どもにも見られ、その多くは、学校内や日常生活の中で起きた事故がもとで発症しています。
中には、車に同乗中に交通事故に遭い、髄液漏れとともに、高次脳機能障害と診断された子どももいます。
 また、「怠け」や「精神的なもの」による不登校などと判断されていた子どもたちの中にも、検査の結果、「髄液漏出」が確認され
ブラッドパッチ治療後、症状が改善した例も数多くあります。
 実は、私の娘も9年前、中学1年生の時、部活動が原因で発症しました。当時は、いくつかの病院で全く別の数多くの病名がつけられ、「親の育て方が悪い」とまで言われました。「原因は他にあるはず」と、必死に医師に訴えても、空回りするだけでした。学校の理解も程遠く、あの時の悔しさ、悲しさは今も忘れられません。
 全国には、私たち親子と同様に原因も分からず、苦しんでおられる方が数多くおられるはずです。
私たち親子の経験が少しでもお役に立てばと、2006年に「子ども支援チーム」を発足いたしました。
 全国の脳脊髄液減少症の子どもを持つご両親から、さまざまなご相談が寄せられています。学校現場では、無理解によ
り、症状の悪化と精神的な苦痛、やがては不登校扱いという深刻な現状です。未来を担う子どもたちが、原因不明のまま置き去りにされることは親として
耐え難いことです。
 そこで、同年11月、子ども支援チームが発起人となり、文部科学大臣あての要望書を1万9100人の著
名を添えて池坊保子文科副大臣に提出しました。池坊副大臣からは「脳背髄液減少症への適切な対応について、全国の幼稚園
から大学まで周知徹底したい」との答弁を頂きました。
 そして半年後の07年5月に、文科省より全国の教育機関に対して「学校におけるスポーツ外傷等の後遺症への適切な対応について」
との事務連絡が行われました。その結果、医療機関に、受診する子どもの患者が増え、原因不明で苦しんでいた子どもたちを
適切な治療へと導くことができるようになったのです。これは大変大きな喜びです。
 しかし、最大の問題点は、ブラッドパッチ治療法が保険適用になっていないことです。髄液漏れに有効とされているブラッドパッチ
療は、1回の治療費が30万円から40万円かかり、患者の家族の経済的負担は計り知れません。

新治療法への保険適用を切望 / これまでの公明の取り組みに感謝

 そこで、本年2月、「治療推進及び保険適用を求める要望書」を34万7500人の署名簿を添えて舛添要一厚生労働大臣に提出いたしました。この要望書提出の際には、公明党の太田昭宏代表、浜四津敏子代表代行、渡辺孝男参院議員も参加してくださいました。
 また、子どもの場合は早期発見、早期治療が大事です。このことからも、髄液漏れに対する学校や家庭での知識が必要と考えます。

交通事故やスポーツ外傷などの衝撃で発症 / 頭痛、めまい、吐き気、記憶力低下・・・

 事故後、早期に適切な処置(安静、水分補給)を取れば、脳脊髄液減少症は症状の悪化を防ぐことができるといわれます。
 先の事務連絡が効果を挙げていますが、さらなる学校教育現場での周知徹底を求めていくとともに、次の段階として、学校生活にお
けるさまざまな面での支援と長期病気欠席の児童生徒に対する学習面での支援が必要と考えます。
 また、災害共済給付制度に関しても、学校内での事故であるならば、保険適用外であっても、何らかの形で医療費は支給されるべき
であると考えます。
 今後も諸課題は数多くありますが、公明党はいち早く「脳背髄液減少症ワーキングチーム」 (座長=渡辺参院議員)を立ち上げ、真摯に取り組んでくださっており、その姿勢に心から感謝しております。患者、家族は一日千秋の思いで、診断確立、保険適用を待ち望んでおります。この間題が進展するよう公明党の活躍に期待します。
 また、昨年の文科省の通達に合わせ、子ども支援チームから小冊子「子どもの脳背髄液減少症」 (日本医療企画) を出版しました。内容は脳脊髄液減少症について基本的なことから学校、家庭での対応についてまで、質問と答えの形式で紹介しています。本症をご理解いただくための一助となれば幸いです。

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