目を閉じて音声だけで、映画の臨場感を味わってきました。都議会公明党では、野上純子副幹事長、高倉良生都議、斎藤泰宏都議が参加しました。/公開作品(大手4社)の6割に字幕/急がれる音声ガイドの普及

6月19日

目や耳が不自由な人たちも話題の日本映画が劇場で楽しめる―。今、バリアフリー映画の上映が各地に広がっている。これは、視聴覚に障がいがある人でも日本映画を楽しめるように、「字幕」や「音声ガイド」が付けられたもので、関係者に喜ばれている。同映画の実情や課題と、公明党の取り組みを紹介する。

「やっぱり映画は劇場で見たほうが楽しい。臨場感が違いますね」――。映画館での鑑賞を終えた耳の不自由な人が、手話通訳を介して笑顔で話した。

昨年12月25日、都内で日本語字幕付きの映画「武士の家計簿」(監督・森田芳光、原作・磯田道史)が上映された時の一コマだ。

上映中のスクリーンには、算盤を弾く人の手のアップシーン。字幕には「パチパチと算盤を弾く音」と映し出される。また、家族の食事での会話の場面では「(信之)筍といえば」と、登場人物の名前も字幕に映し出され、場面の状況がより分かりやすいように配慮されている【写真右下】。

こうした字幕付き映画は現在、公開されている作品の61%(日本映画製作者連盟所属4社=2009年実績)。映画会社によって字幕を付ける割合は異なるが、3割台(06年度)だったA社では09年には7割にまで増やすなど、字幕付き映画は着実に増えている。また、日本映画のDVDソフトについては現在、人気作品の5割程度に字幕が付けられ、家庭でも楽しめるようになっている。

ただし、映画の場合、上映されている地域は劇場の受け入れ態勢などの理由で都市圏が多く、上映日程も限られているのが実情だ。

一方、目が不自由な人でも映画を楽しめるように工夫されているのが、音声ガイドシステムだ。

12月18日に、同システムを使って「ノルウェイの森」(監督・トラン・アン・ユン、原作・村上春樹)が上映された都内の映画館の中では、盲導犬を連れていたり、杖をついた目の不自由な人たちが、FM携帯ラジオを片手に席に着いていた。

そして上映が始まると、ラジオのイヤホンから、「1967年夏。制服姿の男子高校生、ワタナベとキズキ。アイスキャンデーの棒でフェンシングの真似事をしている」などと音声が流れ、作品の進行に合わせて場面を解説する。鑑賞者は情景を思い浮かべながら作品を楽しめる仕組みになっていた。

映画を見終えた佐瀬政美さん(71)は、「音声ガイドが分かりやすく、情景が目に浮かびました」と喜んでいた。また、平田恵美子さん(79)は「音声ガイドがある映画は限られています。もっと増やしてほしい」と語っていた。

現在、音声ガイド付きの映画は、製作経費などの課題があり、公開作品の1%程度にとどまっているのが実情だ。

日本語字幕や音声ガイドが付くバリアフリー映画は、障がい者のためだけではない。一例を挙げれば、「武士の家計簿」の一シーンで「匁」という江戸時代の「重さの単位」が使われているが、音声で「もんめ」と言われても、すぐには理解できないこともある。

同映画の普及を進めている住友商事の環境・CSR部の菅谷百合子さんは、「高齢によって衰えた目や耳の機能を字幕や音声ガイドで補完できるとともに、子どもたちの情操教育にも良い機会となる」と、その利点を指摘している。

公明のネットワークで法改正し促進

日本映画のバリアフリー化について公明党は、地方議員と国会議員のネットワークを存分に生かし、特に耳の不自由な人たちのための字幕付き映画の普及に努めてきた。

▼2007年5月 東京都世田谷区議会公明党の平塚敬二議員が、日本映画に字幕を付ける運動に携わっていた住民から相談を受ける。同議員は直ちに、都議会公明党の中島義雄、高倉良生両議員に取り組みを求める。

▼07年6月 都議会公明党が、本会議で字幕表示への取り組みを提案し、都知事や当局は対応を約束。この質問は注目を集め、フジテレビ系の情報番組でも大きく紹介される。

▼07年7月 都議公明党と公明党国会議員が連携し、障がい者団体と共に経済産業省に申し入れ。

▼08年3月 公明党のリードで東京都中野区議会が日本映画への字幕付与を国に求める意見書を採択。公明党参院議員が参院文教科学委員会で国に取り組みを要請。

▼08年5~7月 日本映画への字幕付与を国に求める意見書の採択が全国40市議会(全国市議会旬報)に広がる。

▼08年8月 党障がい者福祉委員会が、聴覚障がい者団体、経済産業省、文化庁と意見交換。

▼09年6月 著作権者の許可なしに聴覚障がい者向けの映画の字幕表示を可能にする改正著作権法が成立。

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