“ネットいじめ”の現状と対策/「見えない」「怖い」心に傷負う子どもたち6人に1人がトラブル経験/東京都

2月3日

「いじめ」や「いじめの疑い」が合わせて1万1000件を超えた。これは東京都が都内の全公立学校(小・中・高・特別支援学校=2184校)で昨年7月に調査した結果で、1校当たり5件に及ぶ。中でも携帯電話などを使ったインターネット上の“見えない いじめ”に遭い、心に深い傷を負った子どもたちが少なくない。この問題に取り組む都議会公明党ののがみ純子議員(都議選予定候補=葛飾区)、伊藤こういち議員(同=品川区)はこのほど、都教育相談センターの増永恭子次長らと協議し、解決への方策を探るなど精力的に動いている。現状と対策を追う。

『「被害者に寄り添って解決を」/公明都議』

ある中学校の女子生徒のケース。クラスメートのAさん(女子)から「リアル」(携帯電話向け日記形式のサイト)に「自分の思いとおりにならないとすぐ怒る」などと悪口を書かれて、ふさぎ込んでしまった。

すると今度は、反対に書かれた生徒の友人らが、リアルにAさんの悪口を大量に書き込み始めた。Aさんは怖くなって学校を休もうとし、異変に気付いた母親が教師に相談。仲直りの場は設けられたが、以来、Aさんは萎縮してクラスになじめなくなったという。

また、「○○だよ。文句あんならここにメールしろや!」(○○は実名)と、特定の中学生の名をかたり、そのクラスとメールアドレスも書き込むという“なりすまし”も多い。これらは、都が調査した実例だ(「インターネット等の適正な利用に関する指導事例集・活用の手引き」=昨年3月発行から)。

都は昨年1月から2月にかけて、公立小・中学校や都立高校などで実態を調査。回答を得た1万5461人の児童・生徒のうち、ネットによるトラブルを経験した児童・生徒は2605人で、6人に1人の割合に<グラフ参照>。

このうち、“ネットいじめ”に結び付く可能性が高い「悪口メール」が11・6%(複数回答=303人)、「ブログや掲示板などに悪口」は7・0%(同182人)で、「なりすましメール」も14・1%(同368人)に及んでいる。

都では、2009年6月から都内の全公立学校を対象として、「学校裏サイト」(学校非公式サイト)の監視を強めている。具体的には、誹謗・中傷をはじめ、犯罪行為や自傷・自殺の予告など、不適切な書き込みがあると、サイト運営者に削除を要請するとともに、学校へ報告するなどの取り組みだ。

09年度には、要請(351件)に応じて削除された書き込みは112件(31・9%)だったが、11年度には削除を要請した書き込みが87件まで減った上で、そのうち76件(87・4%)が実際に削除された。

ただ、削除要請に対して、サイト運営者側で定める規範に反していないなどの理由で応じない事例も多い。また、運営者や削除方法が明示されていないため、放置されたままのサイトもある。

こうした中、野上議員は昨年9月、都議会本会議の代表質問で、「過激で陰湿なネットいじめで、自殺者も出ている」と指摘し、「強制力を伴ったネット被害防止対策を確立すべきだ」と訴えた。

一方、“なりすまし”の被害に遭った中学生の保護者から相談を受けた伊藤議員は、「まず、被害に遭っている子どもの相談を、しっかり受け止めることが大切だ」と強調する。

都では「都いじめ相談ホットライン」(07年開設)に加えて、09年から「東京こどもネット・ケータイヘルプデスク」を開設するなど、主に電話やメールでの相談業務を拡充してきてはいる。

しかし、伊藤議員は「子どもに寄り添って解決に向けて取り組む体制が、まだ十分とは言えない。都議会でも議論を深めて、さらに対策を強化していきたい」と語る。

ネットいじめ防止に“特効薬”はない。行政や学校、家庭など社会全体での取り組みが迫られている。

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