平成13年文教委員会(2001年12月14日)主幹制度の導入について等

平成13年文教委員会(2001年12月14日)


◯野上委員

 では、教育は児童生徒、子どもたち一人一人の幸せのためにあるという、そういう認識に立って発言させていただきたいと思います。
 今の学校教育の抱えている課題、たくさんございます。いじめとか不登校とか学級崩壊など、さまざまな課題がございますけれども、この主幹制度を導入することによって、これらの課題がよい方向に本当に行くのかどうか、いろいろな問題点を解決できるのかどうかという観点に立って質問をしていきたいと思っております。
 まず、先ほど和田委員からの質問と、それから遠藤理事からの質問とちょっとダブったりするので、削除させていただきながら発言したいと思うんですけれども、主任手当が一日二百円出されているという経過がありました。例えばこの十二月でいうと、先生たちが通ってくる日数、十八日ぐらいありますので、二百掛ける十八ぐらいが主任手当として出されるわけなんですけれども、大体月額五千円ぐらいになると思います。夏季休業中は出勤した日数掛ける二百なので、全く出勤しなければゼロ円という形になるんですね。
 私も、教育業務連絡指導手当を毎月書いていましたので、先生が何日出勤して、幾ら払えるかというのを、事務をやっていたものでよくわかっているんですけれども、現行の主任手当が支給されていますが、一部職員団体へ拠出されているということをよくお聞きします。その拠出の総額は一体どれぐらいになって、それがどのように使われているのか、ちょっとお知らせいただければと思います。

◯中村人事部長

 平成十二年度、私どもが先生方にお支払いしました、いわゆる主任手当は、総額でおよそ五億八千五百万円でございます。
 職員団体への主任手当の拠出状況ですけれども、実は確認する手段はありませんが、職員団体への加入率などをもとにして、従前の方法で試算しますと、平成十二年度に支給された主任手当総額の約三割程度が拠出されているのかなということでいきますと、一億七千万円程度になろうかと思います。
 この使い道ですけれども、各団体によりまちまちだと思うんですが、我々が知っている範囲内でいきますと、東京都教育委員会に主任手当を返すというふうな行動に出た先生もいらっしゃいます。これは当然、受け取り拒否しております。あるいは、それぞれの団体で映画会あるいは教育相談活動等の事業に使うと、こんな例も見られるようでございます。

◯野上委員

 そういう実態をお伺いいたしますと、主任手当はあくまでも個人の職務に対しての特殊勤務手当だという形で出されているわけですけれども、かなり趣旨を逸脱して、適正に支給されていないような現実があるのではないかと思っております。
 また、現行の主任制度に対しましては、教職員側で順番を決めて、あなたはことし教務主任、来年はあなたというふうに、主任の選出方法なんですけれども、順番で決めているような学校もあって、例えば教務主任をする人が教育計画を立てなくちゃいけない、時間割を組まなくちゃいけないという、五月になってもなかなか時間割も組めないというような現実があって、学校が混乱したというような事例もお聞きいたしました。
 やっぱり力のある教務主任というんですか、本当に学校をきちんと経営していけるような主任が、処理能力などもしっかり備えた主任が選ばれますと、学校も大変スムーズに運営していくわけですけれども、そういったことが全くできないような教務主任とかが選ばれてしまうと、その職務は一体だれにいくかというと、大体が教頭が兼務して、全部つくっていったりするようになるわけです。
 そういった意味で、現行の主任制度が教職員の互選とかによって選ばれてしまって、今一番大事な校長のリーダーシップが思うように発揮できないという実態があると聞くんですけれども、そのことについてお伺いしたいと思います。

◯中村人事部長

 お話のように、残念ながら、主任を単なる校務分掌の一つにすぎないとしまして、一年ごとに教職員の間で互選をしまして決定している学校もあります。このために、必ずしも主任の職務を遂行できる資質能力を備えた者が選ばれるという保証はございません。校長の意思を各教諭に十分浸透させていないなど、校長の学校経営に支障を来している例も見られる状況でございます。

◯野上委員

 そうなりますと、私が本当に心配しているのは、主任制度同様に、現行の校長のリーダーシップが発揮されてうまくいっている学校は、多分、主幹制度を導入してもうまくやっていけるだろう、機能がきちんと成り立っていくだろうと思うんですけれども、現実、校長のリーダーシップが本当に発揮できなくて、現在でも混乱しているようなところは、ますますそれが厳しくなってしまうのではないかなということも考えられると思うんです。
 この中間まとめを読みますと、学校の実態にはかなりな温度差があると思います。小中高という校種別の違いもありますし、また、それぞれの地域によって独自性があると思うんですけれども、その実態についてお話し願えればと思います。

◯中村人事部長

 先生お話しのように、児童生徒の発達段階の違いから、校種によって教育課題や教職員の意識が異なっております。また、学年の進行に伴い、おおむね学校規模は大きくなりまして、所属教職員あるいは校種ごとの職員団体の影響力も異なります。また、地域による学校運営の差も見られます。また、校種や地域の差にかかわりなく、校長のリーダーシップによっても学校運営の実態は大きく異なっております。この中間まとめをまとめるに当たりましては、こういうさまざまな校種あるいは実態、それをすべてかんがみまして、いわば平均的な姿で中間のまとめをまとめさせていただいております。

◯野上委員

 主幹制度を導入した後、現在の主任制度が同時並行で行われるわけですけれども、国の制度である主任制度に対して、都教育委員会としては今後どういうふうに進言をしていかれようとしているんでしょうか。

◯中村人事部長

 従前から国、文部科学省に対しまして、要望といたしまして、都道府県教育長協議会を通じまして、主任制度の抜本的見直し、職として設置してほしい、職務権限を明確化してほしい、それから処遇改善をしてほしいと、この三点を要望してきました。しかしながら、国においては全く動きが見られません。そういうことで、今回、東京都では主幹制度の導入に踏み切ったということでございます。
 今回、都が全国に先駆けまして新たな主幹制度を定着させまして、学校運営組織のあるべき姿を具現化することによりまして、国初めさまざまな関係機関に広く訴えていきたい、こういうふうに考えております。

◯野上委員

 先ほども意見が出たんですけれども、現行の主任制度の欠点として、適材適所の人材の配置ができないとか、なべぶた組織ですよね。だから、校長、教頭の意向が全教職員に伝わるということがなかなか難しい、反映しにくいということもございますが、別の面を考えますと、開かれた民主制というんですか、だれでも、いつでも自由に物がいえるというところも、確かにこれはあったんですけれども、そういうことも踏まえまして、今のように教育課題がひしめく中で、現場の教員が一人で自分のクラスの問題を抱え込んで、それをだれにも相談できないで、発覚したときには重い事態になっているということが結構多いんですね。
 そういった意味で、導入された主幹制度の主幹の人の役割というのは非常に大きいと思うんですけれども、その人が力があって、学校全体をうまく把握して、教職員を守り立てながら、校長と教頭の連絡をとってという、物すごい力のある方だったらよろしいんですけれども、なかなか現実問題、その人にかなりな負担がかかるのかなというような懸念も私はしておりますが、主幹制度が導入されることによって、そういった状況が改善されるのかどうかをちょっとお聞きしたいと思っております。

◯中村人事部長

 学校に山積しております課題を迅速、的確に解決するためには、組織としての対応能力を高める必要がございまして、その点から、この主幹の役割は極めて重要であるというふうに考えております。
 従前の主任も同じようなことを期待されておったわけですけれども、しかし、従前の主任は、先生お話しのとおり、教員に何とかをやろうよと指導しても、従ってもらわないと、自分がやるか、自分がやらないと、結局、お話のように教頭先生、校長先生に回っていってしまう、こんなふうな状況にございました。
 これは、主任が職務命令を発するという監督権限も何も持っていないという従前の主任制度から、当然こういうことになるわけですけれども、今回、職務命令といいますか、監督権限を持たせるということがございますので、これに従わないということは命令違反ということになりますので、これをとって管理強化という方もいらっしゃいますけれども、そればかりではなくて、やはりそういう権限を持っている傍ら、いろんな先生のご意見を吸い上げて、フリーなご意見を聞き、それを学校の問題として取り上げていくというふうなことも非常に重要なことでございます。
 したがいまして、この主幹制度が導入されることによりまして、現行の主任制度が多くの限界を持っている中で、新たな学校の主幹として機能していっていただきたいと、こんなふうに考えております。

◯野上委員

 しつこく繰り返すようですけれども、主任制度が発足して二十五年ですね、約四半世紀といわれて、この主任制度すらなかなかきちんと定着していかないわけですよね。だけれども、主幹制度を東京都全体の子どもたちの教育レベルアップのために定着させるということで、どのような仕組みを考えていらっしゃるのか、これをお聞きしたいと思っております。

◯中村人事部長

 主任制度の発足には、さまざまな関係団体との議論がありまして、その結果、主任の職務権限に監督権限を付与しない、あるいは指導助言にとどめてしまった、こういった経過がございます。このために主任制度の形骸化を図る口実を与えたことになりまして、学校運営を進めていく上で大きな隘路になっている、定着しないまま今日に至っている状況にございます。
 しかし、主幹制度は、現行の主任制度定着のためにこれまで行ってきた改善にとどまることなく、都教育委員会が学校制度の問題に真正面から取り組みまして、新たな職である主幹に監督権限を付与させた制度でございまして、学校運営組織に定着するものというふうに確信しております。

◯野上委員

 この中間まとめというのをごらんになった方々からいろいろとお電話とかいただいたりしております。その中で、一番心配していらっしゃる方の意見というのは、校長、教頭、主幹、主任みたいな縦組織ができることによって、教育が右翼化していくのではないかということを一番心配しているというような話をよく聞くんですけれども、一番もとにある理念みたいなものが、私が冒頭にいいました、本当に子どもの幸せのためという、その一点で貫かれていれば安心なんですけれども、そこら辺をとても私は危惧しているところではあります。
 この主幹制度のあり方を理解してもらうためにどのような努力をしていらっしゃるのか、それをお聞きしたいと思います。

◯中村人事部長

 中間のまとめの報告に至るまでの間、検討委員会を何回も開きましたけども、この検討状況につきまして、会議要旨あるいは資料を逐次ホームページに掲載しております。教育長会あるいは指導室長・課長会、あるいは各区市町村教育委員会に周知徹底、理解を図る。また、各校種の校長会、それから教頭会におきましても説明を行っております。なお、小中高を初めそれぞれのPTA連合会にも説明を行っておりまして、学校運営組織について理解を深めているところでございます。

◯野上委員

 今お話があったのは、管理職とか、運営をしていく側ですよね。あと、現場の小中高の教員に徹底を図るためにも、PTA連合会もありますけれども、一部の機関に説明しただけでは、私は不十分ではないかと思います。これから検討委員会において最終報告が取りまとめられるわけですけれども、今後さらにこれをどのようにPRしていかれるのか、お聞きしたいと思っております。

◯中村人事部長

 今後は、教職員のみならず、保護者、それから都民に対しましても、主幹の設置によりまして学校運営が適正に実施されることを積極的に周知し、理解を得たいというふうに考えております。具体的には、さまざまな媒体を利用いたしましてPRすることを検討していきたいと思います。
 なお、当然、教職員に対しましては、引き続き研修などを通しまして周知徹底を図り、制度の円滑な導入と浸透を図っていく予定でございます。

◯野上委員

 最後になりますけれども、主幹制度に関しましていろいろな問題点があるのではないかと思います。例えば定数との関係ですけれども、現行の教育の教員定数との関係はどうなのかとか、仮にプラスアルファでやるとすれば、高校の場合、教科のバランスはどうなのかとか、それからもう一つは、主幹に合格した人の任期をどう設けるのか、これは給与になるわけですから、とんでもない人が主幹になった場合、その人の降格はあり得るのか、転換はあり得るのか、あるいは主幹にならないと教頭とか校長になっていけないのか。また、高校の場合は、全日制が六名、定時制が一名という差がありますよね。そうなってくると、定時制を希望する人が非常に少なくなるのではないかとか、そういったいろいろな課題があると思います。今、検討中であるということを認識しておりますので、これらのことについてはまた改めて質問したいと思います。
 以上で終わります。

◯東委員長

 この際、議事の都合により、おおむね五分程度休憩をいたします。
   午後三時四分休憩
     ━━━━━━━━━━
   午後三時十二分開議

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