平成15年文教委員会(2003年12月12日)都立高校改革について等

平成15年文教委員会(2003年12月12日)


◯野上委員

 それでは、同じ質問は割愛し、質疑をさせていただきます。
 この大学改革そのものに反対をされている方々、また、大学は変わらなければならないと、都立大学を真摯に変革したいと考えていらっしゃる都立大学の先生方も多くいらっしゃいます。そういった方々のご意見、そして院生や学生さんから、すべてにわたっていろいろ情報を仕入れてまいりましたけれども、学生さんや院生さんからは、情報が少ないということで不満があったり、あるいは不安を感じていたり、そしてそのことで不信を抱いていたりすることがございます。アカウンタビリティーを果たしていかなければいけないんじゃないかなということで、具体的な質疑に入らせていただきます。
 今回、経営的な視点を取り入れるということなんでしょうけれども、新大学の教員の人事制度には、任期制、年俸制を導入するということを伺っておりますけれども、この新しい人事制度は、これまでの公務員制度における人事制度と比べて、どのような点に違いがあるのか。任期制や年俸制の導入によって、教員に対してどんな利点やインセンティブが考えられるのでしょうか、お伺いいたします。

◯宮下参事

 新大学では、教員の選考や審査に外部の視点を導入することによりまして、順送り人事を排除いたしまして、若手教員でありましても、実力に応じた登用を行うなど、能力、業績主義に応じた公正な人事を実施していきたいと考えております。
 また、年功序列の給与体系から、職務内容や業績に応じた給与体系へ移行いたしまして、年齢やコスト管理にとらわれず、教育研究の実績や、大学、社会への貢献に応じた処遇を行うなど、教育研究の質的向上に対するインセンティブを高めてまいりたいと思います。
 さらに、今現在の教授、助教授、講師、助手といった主従関係を生み出す土壌となっております講座制を廃止いたしまして、教授、准教授を中心とする簡素な教員組織といたしまして、教員一人一人が独立した研究者と位置づけてまいりたいというふうに考えております。
 こうした講座制の廃止によりまして、先ほど来、学問の自由というお話がございましたけれども、今、日本の大学で一番問題になっているのが、学問の自由といいながら、こういった主従関係があって、真に自由な風土じゃないということで、優秀な教員であればあるほど外国に流れていって戻ってこないというような実態があるといわれております。そうした風土といいますものを、この任期制、年俸制等の人事制度の改正によりまして変えまして、ある意味では、真の意味での学問の自由を保障してまいりたい、このように考えております。

◯野上委員

 今までの、助手から講師になり、講師から助教授になり、そして教授になるというシステムから脱却をして、今度、新しい制度では、最初に研究員、この研究員の任期が三年で、二年延長可能で、また採用されれば、今度は准教授という立場になると。そして、その准教授の任期が五年で、これは一回のみ再任が可能である。そこでまた公募、審査で挙げられれば、次は教授という形になる。その次が主任教授という、そういう新制度になるということをお聞きしております。
 これは多分、能力業績主義に基づいて行っていくと思うんですけれども、この具体的な仕組みはどのようになっていくのでしょうか。

◯宮下参事

 具体的な詳細の設計につきましては、現在、検討中でございますけれども、教員の再任や昇任につきましては、業績評価の結果なども勘案いたしまして、学長が人事案を作成し、その案に基づきまして、理事長が再任、昇任を決定するという仕組みでやっていくことになろうかと思います。

◯野上委員

 今までの公務員ですと、絶対に首になることはないと。よっぽど不祥事を起こさない限り首になることはないという制度でございましたけれども、ここで、例えば再任とか昇任が認められないと、これは退職するということになるんでしょうか。

◯宮下参事

 必ずしも、特筆すべきような顕著な実績を上げていないと再任、昇任が認められないということではございません。通常の教員としての能力を有して、意欲を持って取り組んでいる方については、再任、昇任が認められるという制度にしていきたいと思っておりますけれども、例えば、数年にわたって何も業績を上げていないとか、あるいは何か問題を起こしたとか、そういう教員については厳しい制度になろうかというふうに考えております。

◯野上委員

 普通に一生懸命頑張って業績を上げていれば、首になることはまずないというとらえ方でよろしいですね。
 この制度の方向性ということで、三つ書いてありまして、例えば教員の活性化を促進する、あるいは優秀な教員を確保する、適切な人件費比率という三つの方向性が書いてあるんですね。で、この任期制、年俸制を導入することによって、三番目に書いてあります人件費比率の抑制は多分達成できると思います。だけれども、二番目に書いてある優秀な教員が本当に確保できるんだろうか。その優秀な先生が、どこか別の大学とか、抜けていってしまうことにはならないか。これは大変危惧をしておりますけど、ここら辺はどうなんでしょうか。

◯宮下参事

 今、大学は厳しい競争の世界に入っていくということでございまして、優秀であればあるほど、いろんな大学から引き抜かれるという状況が出てこようかと思います。したがいまして、現状の制度のままでは、優秀な教員はどんどん去っていってしまうというおそれもあります。
 ですからこそ、今回、任期制、年俸制を導入するわけですけれども、この制度は、優秀な業績を上げている教員には、やればやるだけ処遇が上がるという仕組みにしたいと考えております。また、学外活動というのも、社会貢献の一環としてこれから求められてくるわけですけれども、そういう優秀な教員というのは、いろいろな企業であるとか、いろいろなところから活躍するのを求められておりまして、こうした教員につきましては、勤務時間を柔軟に管理するなど、自由な教育研究環境を確保したいと思っておりまして、優秀な教員には働きやすい環境になるのではないか、このように考えております。

◯野上委員

 都立大学から優秀な教員が外に出ていってしまわないようにする仕組みも大事なんですけれども、新しい大学の設立に当たっては、外から評判のよい教員ですか、評価の高い教育者ですか、そういった方を逆に引っ張ってくる、そういったことも新しい大学の評価に直結する重要な要素であると思っております。
 有名教授を確保するには、公募制ですか、公募を行っていくということもここに書いてありますけれども、公募による採用だけでは多分ちょっと無理じゃないかなと思うんですけれども、ここら辺はいかがでしょうか。

◯宮下参事

 公募による採用というのは、公平性というものが担保できると思うんですが、ご指摘のように、それだけで評判の高い教員を採用することができるかというと、難しい側面もあろうかと思います。したがいまして、法人化後は、特定の教育分野にこの先生は欠かせないというようなことがあれば、評価の高い先生を獲得するために、スカウトも公募制と組み合わせて実施してまいりたい、このように考えております。

◯野上委員

 野球の世界でもそうなんですけれども、年俸の高いところにすぐれた選手は行ってしまいますよね。それと同じで、よい教師を獲得しようとすれば、ある程度年俸を保障していかなければいけないと思うんですね。その年俸についてはどういう構成を考えているのか、お聞きしたいと思います。

◯宮下参事

 年俸につきましては、まず生計費的な位置づけの基本給、それから、授業こま数であるとか就職支援業務、入試業務、役職など職務実績に応じて支給される職務給、それから各分野の業績評価に基づきまして支給される業績給によって構成していきたい、このように考えております。

◯野上委員

 基本的に、生きていくための生計費というのは皆さん共通に払われる。そして、自分の仕事の量によって職務給、そしてそれ以上に評価される業績給というのがありますけれども、これ、この人はよく頑張っているとかというのはなかなか……。その前の職務給だと、何こま授業を持ったというように客観的な評価ができると思うんですね。何人の学生を教えていて、授業のこまを何こま持っていて、就職支援はこんなことをやっているという、だれが見ても評価できるものは大丈夫なんですけど、この業績給というのを客観的に評価していく仕組みというのは本当に担保されるのだろうかということが心配なんですけど、ここら辺はいかがなんでしょうか。

◯宮下参事

 新大学の教員の業績評価につきましては、教育、研究、社会貢献、学内管理の各分野につきまして評価基準を作成いたしまして、その基準に基づきまして、部局長など上司に当たる教員が客観的に評価を行えるような仕組みを検討しているところでございます。

◯野上委員

 私、都立大学の先生にいろいろお会いしまして、その中には、日本で三人ぐらいの優秀な先生たちもいるというんですね。そういう人たちを果たしてきちっと評価できるのかなと。だれがきちっと評価できるのか、すごく不思議なんですね。日本で三人の優秀な先生という、その三人のうち一人を都立大学の中で評価できるのかなという不思議な面があるんです。そこら辺はきっと担保できるようにしていかれるんだと思うんですけれども、また、研究というのはなかなか短期間で成果は出せないんじゃないですか。さっき曽根さんがおっしゃっていましたけど、何年も何年もかかって研究を積み重ねていってやっと出せるというような、優秀な研究であればあるほど何年もかかるような気がするんですけれども、こういった単年度の評価では、研究成果を適正に評価するにはどういう手法をとるんでしょうか。

◯宮下参事

 先ほども申し上げましたけれども、評価の対象は研究だけではございません、研究ももちろん評価の対象になってございますけれども。研究の内容、水準につきましては、おっしゃられるように、ある一定の期間を見ないと評価できないという側面があろうかと思いますので、それにつきましては、三年から五年程度の中期的期間において評価する仕組みも検討しております。中期的評価の結果は、原則として任期の再任や昇任に際して反映させていきたい。ただし、途中で、例えばノーベル賞を獲得したとか、そういうような顕著な成果が得られた場合につきましては、これは業績給にも反映させていきたいというふうに考えております。

◯野上委員

 ぜひ都立大学からノーベル賞をとってくださるような研究ができるといいと思います。
 教員一人一人の方が、自由な研究環境のもとで研究や教育に取り組み、適正な評価を受けて、新しい大学の教育研究活動がより活性化できるような仕組みを整えていただきたいと思います。人事制度の設計に当たっては、引き続きその点に留意して検討を進めていただきたいと思います。
 次に、新大学には、各学部のほかに、エクステンションセンターあるいは基礎教育センターを設置し、そこに教員を配置するとお伺いしておりますけれども、このエクステンションセンターあるいは基礎教育センターはどんな機能を持っているのかについて、お伺いしたいと思います。

◯大村参事

 まず、エクステンションセンターでございますけれども、これは、学内だけではなくて学外に教育研究面で打って出られるような機能を持たせようというセンターでございます。具体的には、大都市に生活いたします都民、職業人の生涯教育、リフレッシュ教育、こういったものを支援する。また、新大学や東京都の施策に必要な分野の研究を行いまして、それを新大学の教育とか、都政や都民あるいは大都市のいろいろな問題に還元していくという研究分野でも打って出る。具体的には、例えば東京都の職員研修所や他大学のエクステンションセンター、あるいは東京都の博物館、美術館、試験研究機関との連携によりまして、東京における知のネットワーク化を図っていきたいというふうに考えております。
 運営に当たりましては、都民教育や何かに基づく講習料や、あるいは提案公募型の研究費、共同研究費など、外部資金を積極的に取ってまいりまして、自立的な運営を目指したいというふうに考えてございます。
 次に、基礎教育センターでございますけれども、これは新大学の各学部に共通して提供するような基礎的な教育部分について担うということでございまして、創造力と幅広い視野を養う人間教育を目指す都市教養プログラムを初めといたします、新大学の基礎教養教育の全学的な企画調整を行っていきたいというものでございます。実践力を重視する語学教育と情報リテラシー教育、また共通基礎教養教育としての体育実技などの企画、運営、実施などを担っていくという機能を持たせたいと思っております。

◯野上委員

 今の説明ですと、エクステンションセンターは自立的な運営を目指すということなんですけれども、新大学が設立された当初から運営交付金に頼らない、そういう運営を行うということなんでしょうか。

◯大村参事

 エクステンションセンターにつきましては、設立当初から自己収入だけで運営していくということは、これは極めて困難なところが十分あります。運営が安定するまでは、当面、運営交付金も財源としていくことになろうというふうに考えてございます。
 ただ、エクステンションセンターも含めまして、新大学では、経営努力によりまして自己収入比率を高めていく必要がある。特にこのエクステンションセンターでは、対外的な分野でさまざまな資金をどんどん積極的に獲得していくことによりまして、自己収入比率を高めていこうというふうに考えてございます。

◯野上委員

 ということは、今までの都民カレッジのような形で、先生方もいろいろと営業努力をして経営していくという形になるわけですね。
 エクステンションセンターに配属される先生方は、学生や、特に院生を教育することはできるんでしょうか。

◯大村参事

 対外的には、先ほどご説明したとおりでございます。一方、対内的、新大学の中の学生に向けてでございますけれども、学部の学生に対しましては、授業科目の提供ということで、実際の授業を教えていく。また、大学院生に対しましては、大学院と兼担ということによりまして、大学院の教育指導を行うことは可能にしたいというふうに思っております。
 なお、今のは新大学でのものでございますけれども、平成二十二年まで、現在ある都立の三大学、短大もあわせまして存在するわけでございますけれども、そこに属しておられる学生さんや院生さんに対します教育につきましては、教員の新大学での配属場所にかかわらず、例えばエクステンションセンター配属であったとしましても、現大学の学部、大学院の立場で教育を引き続き行っていくというものでございます。先生がエクステンションセンターに配属されたとなりましても、一方で、現大学の学生さんに対しては、現大学の学部、大学院の立場での授業を引き続き担当していただくということでございますので、ご心配はないということでございます。

◯野上委員

 最後なんですけれども、今の説明を聞いて、少し安心をいたしました。
 といいますのは、大学院の修了者または博士課程の単位をとった人が研究職につく場合、推薦してくださる教官の存在とか、あるいは学位論文を提出して審査をしてくれる教官がいないということで、大変な不利益をこうむるのではないかということを心配していたわけです。このエクステンションセンターに配属されている、例えば教官の方が、きちっと大学院生を指導してくださるということを確認しておけば、かなり安心なのではないかというふうに思っております。
 これからは、都立大学改革にいたしましても、確かに山口本部長のおっしゃるように、経営的な視点をきちっとしないと、都民には納得してもらえないのかなという点もあります。けれども、今の大学院生や先生方にも、ある程度の、しっかりと共感していけるような形での改革を進めていかなければ、それもまた都民の信頼をかち得ないのではないかというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 以上で終わります。

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