平成16年文教委員会(2004年6月11日)幼稚園・保育所について等

平成16年文教委員会(2004年6月11日)


◯野上委員

 今までいろいろな資料を見させていただくと、大体、学校、家庭、地域社会という三分野のくくりで語られることが多かった教育行政に、この教育ビジョンが、一番最初に家庭、そして学校、地域、それから社会という四つのくくりになっているのは、さすが教育庁だなというふうに私は思いました。感心いたしました。
 それから、今回、東京都の教育が目指す十二の方向と三十三の提言のうちの何点かにわたって質問をさせていただきます。
 まず最初は、九ページにあります提言5です。小学校への円滑な移行を可能とする就学前教育を目指すということです。
 今、小学校就学前の子どもたちの状況を見ていますと、未就学の子はほとんどいないというのか、一・三%ということで、九八・七%の子が幼稚園か保育所に通っているという状況です。今、幼保一元化の動きもありますけれども、国の方では縦割り行政で、幼稚園は文科省で、保育所は厚労省の管轄。また、幼稚園は幼稚園教諭、それから保育所は保育士の資格。それから、都でも、幼稚園は教育庁、保育園は福祉局というふうに全然所管が違ったりして、なかなか難しい面があると思います。
 私も今まで小学校一年生を三回だけ担任させていただきました。それで、よく保育所から来たお母さんは、ずっと遊んでばっかりで、きちっとした、人の話を聞くとかそういうことをやっていないから大丈夫ですかとすごく心配されるんですけれども、結構それも大体一カ月もたてば、幼稚園から来た子も保育所から来た子も全然関係なくきちんとしつけられるというのかしら、それがもう当たり前で、しかも私なんか、四十五人学級でやっていましたので、大丈夫なんです。やっていけたわけなんです。
 ただ、小学校に入学すると、いきなり四十五分授業が始まりますので、四十分なり四十五分授業になりますので、今まで人の話をじっと聞くことが全くなかった子どもが四十五分間座り続けているということは、苦痛以外の何物でもないと思うんですね。よほど教育現場が工夫をして、楽しく、子どもたちの興味、関心を引き出すように、集中力を出すような、本当に魅力ある授業をしていけば、結構子どもたちは四十分か四十五分集中してやっていくものなんですね。
 そういうこともあるんですけれども、就学前の子どもたちに対して、今、心の教育はどのように行われているんでしょうか。

◯近藤指導部長

 幼稚園と保育所は、それぞれ教育機関や福祉施設という位置づけのもとで、公立、私立の設置者がそれぞれの教育、保育の実践の中で、遊びなどを通しまして、人の話を聞くとか、自分のことは自分でする、こうした基本的な生活習慣を身につけさせる取り組みを通して心の教育を推進してございます。

◯野上委員

 教育ビジョンの中では、幼稚園と保育所と小学校が連携し、小学校への円滑な移行を提言していらっしゃいます。今、現実を見ますと、幼稚園からは幼稚園の指導要録というのが小学校に送られてきて、それで子どもたちが幼稚園でどういうことをやっていたかということを参考にすることが多いんですが、保育所との連携というのは余り私の経験からはなかったような気がするんです。
 就学前健診のときに、最低限しつけなくちゃいけないことは、自分の名前が読めて書ける、それから、人の話をしっかり目を見て聞ける子、それぐらい最低限しつけておいてくださいというような話でやっていたんですけれども、この提言は大変大事なものであります。これはぜひ具体化していっていただきたいと思うんですけれども、この連携に向けて今後どのように取り組んでいくのでしょうか。

◯近藤指導部長

 幼児期からの心の教育や連続性を重視した教育を推進するためには、幼稚園、保育所、小学校がそれぞれの保育や教育の内容を正しく理解し合いまして、連携を強化していくことが極めて重要でございます。こうしたことから、都教育委員会では、これまでも、幼稚園、保育所の職員との合同研修など、幼保が連携した取り組みを行ってきているところでございますが、今後とも、関係者がこれまで以上に連携を深め、幼児期における心の教育の具体化や、幼稚園、保育所、小学校の連続性を重視した教育の具体化を図るため、その仕組みづくりに向けた具体的な検討を進め、早期に施策化を図ってまいります。

◯野上委員

 ぜひこの連携を深めた体制づくりをやっていっていただきたいと思います。
 次に、一一ページにあります提言8、習熟度別少人数指導についてお伺いしたいと思います。
 よくシチゴサンという言葉がありまして、小学校で七割、中学校で五割、高校で三割の児童生徒しか学習内容を理解していないという現実がよくいわれております。学級の担任からすると、例えば四十人の子どもを見ているのと二十人の子どもを見ているのでは、テストの採点なんかでも半分の時間で済んで、仕事の量が違うので、教師としては非常に楽にはなります。何としても三十人学級を実現していってほしいというふうに声高に叫んでいる人たちもいますけれども、例えば三十人学級を実施した場合、三十一人になると、十五人と十六人というすごい小集団になってしまうんですね。サッカーの試合もできない、ドッジボールの試合もできないというふうに、何か活気に乏しいクラスになってしまう。
 今、現実に小学校一年生が一けたしか入ってこない学校がございます。私もこの前、運動会を見せていただきました。非常に少ない人数で、一年、二年と合同にして十数名でやっておりましたけれども、一生懸命先生方も頑張っているんですけれども、昔の運動会のイメージからするとどうしても迫力に欠けるなと。確かにそうですよね。八十人ぐらいでやっていた運動会に比べて、十二人でやるというのは、結構つらいものがあるなというふうなことも感じました。ある程度の一定の集団で訓練されることが大事なのではないかと思います。(「大事」と呼ぶ者あり)大事ですよね。
 もう一つは、国立研究所が少人数の指導を──いろいろな授業のタイプと、どういう授業をすればどういう効果があったかという調査結果が読売とか朝日とかに出ておりました。その中で、小学校四年生の算数の授業をしたときに、新しい単元の授業を始める前に、習熟度を診断してグループ分けにして授業をするというタイプが最も効果的だったとか、あるいはクラス全員で授業を受けた後、内容をよく理解した子、それから理解できていない子、普通の子みたいな感じでタイプ別に分けて指導すると効果が高かったというようなことが挙げられておりました。そういった意味では、私は、習熟度別少人数指導は大変効果的なのではないかと考えております。
 現在、東京都では少人数指導に力を入れていると伺っておりますが、実施状況はどうなっているんでしょうか。また、習熟度別少人数指導によってどのような効果が見られたんでしょうか。

◯近藤指導部長

 まず、平成十六年度における定数加配による少人数指導などの実施校数についてでございますが、小学校では千二百六校で九〇%、中学校では五百五十九校で八六%でございます。
 次に、その効果についてでございますが、東京都が指定いたしました少人数学習集団による指導法の研究推進校の調査によりますと、児童生徒が学習について理解を深め、意欲を高めるなどの効果が見られたという報告がございます。また、教員同士が共同体制を組むことにより組織的な指導の対応ができ、学習面だけではなく、不登校傾向の児童生徒の改善など、生活面においても効果が見られたと報告がございます。
 なお、先生お話しになられました、本年六月四日に発表されました、国立教育政策研究所の、指導方法の工夫改善による教育効果に関する比較調査においても、習熟度別少人数指導が学力の形成に最も有効であるとの報告がなされているところでございます。

◯野上委員

 特に私は、教員同士が共同体制を組むということがすごく大事だと思うんです。下手な授業をする人が少人数でやるよりも、先生と組んで、いろいろ組んで共同してやっていく方がかなり授業面でも改善されると思います。人に見られる授業というのが多ければ多いほど、指導技術も向上すると思いますので、ぜひこういった習熟度別少人数指導の充実を図っていっていただきたいと思っております。
 次に、一四ページの提言14の努力や成果を重視する制度の構築というところについて質問させていただきます。
 提言13の初めに、「教育の成否は、学校教育の直接の担い手である教員の資質・能力に負うところが極めて大きい。」と書いてあります。結構教育の相談が多いんですね。その中で保護者の方々の訴えを丁寧に聞く先生と、もう全然聞いてくれないという先生との評価が分かれるものですから、やはり教師の資質とか能力とか、これがすごく大事ではないかなというふうに考えております。
 学力の問題を初め、この教育ビジョンで触れられている多くの問題を解決していく上で、教員の資質、能力を向上させていくことが必要であり、そのためには、意欲的に教育活動に取り組んでいる教員をきちんと処遇する、めり張りのきいた給与制度とし、教員のモラールアップを図っていくことが必要ではないかと思っております。
 都としては、めり張りのある給与制度の実施に向け、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

◯井出人事企画担当部長

 都教育委員会は、昨年、庁内に教員の給与制度等検討委員会を設置いたしまして、現行の給与制度が年功や経験年数と結びついた体系となっていること、義務教育等教員特別手当など教員固有の手当が、勤務実績にかかわらず一律に支給されていることなど、課題の整理を行ったところでございます。
 今後は、平成十八年度実施ともいわれております国の公務員制度改革の動向を見据えつつ、職責、能力、業績を適切に反映できる教員の給与制度とするために、近々、第二次の教員の給与制度検討委員会を設置いたしまして検討を進めてまいります。

◯野上委員

 頑張っている先生が本当に評価してもらえるような給与体系にしていただいて、教師全体の底上げになるような、資質、能力の向上が図れるような、そういった給与体系を考えていただければ、またやる気が一段と出てくるのではないかなというふうに思っております。
 それから、一七ページの提言20、子どもたちが犯罪に巻き込まれないための取り組みということで、今、子どもたちも携帯を持っている子が多くて、携帯サイトによる犯罪に巻き込まれたり、あるいは今相談で多いのは、多額の料金の請求が来て、保護者の方も子どもたちもあたふたとして困っているという、そういったご相談が結構多いんです。何かサイトをどんどん開いていってしまって、すごい多額な請求が来て、それが二、三十万とかだったら、ううんとか思うんだけれども、一万ぐらいだったら親はもう払っちゃうというんですね。面倒くさいから払っちゃうとかいっておりましたので、そういった犯罪に巻き込まれないための教育というのが大事ではないかと思います。
 有害情報から子どもたちを守るために、情報リテラシー教育の充実が大事だと思うんですけれども、このことについてどういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。

◯近藤指導部長

 児童生徒が、はんらんする情報の中から必要な情報を主体的に選択、活用できる能力を身につけることは極めて重要なことでございます。このため、都教育委員会は、平成十六年度末を目途に、インターネットを適切に活用するための指導資料を作成し、配布いたします。
 なお、この指導資料には、児童生徒が情報の信頼性や信憑性を意識して情報の収集、発信を行うための指導事例などを掲載いたしまして、各学校を指導、支援してまいります。

◯野上委員

 有害情報の防止ということで、平成十四年の第三回定例会で質問させていただきました。この中で、学校では、インターネットの有害情報をフィルタリングをかけて子どもたちを守っているということをおっしゃっておりました。でも、今それぞれの家庭にPCがある時代に入ってきて、子どもたちが家庭の中で、家庭にはフィルタリングをかけておりませんので、自由にそういった有害情報に接しているわけなんですけれども、そのときにやはり、さまざまな情報を自分が開いても、そういったものに毒されないような、自分自身のしっかりとした判断能力を持った子どもたちに育てていく意味でも、指導資料をしっかりと活用して現場の中で生かしていっていただきたいと思っております。
 それから、二〇ページの提言26、公私が協調して担う東京都の公教育ということで、今、公私連絡協議会で、公立、私立ということで協議をして、合意をして就学計画を策定していらっしゃるということですけれども、これはどのような考え方で策定されているのか、お伺いいたしたいと思います。

◯山際学務部長

 就学計画、これは都内の公立中学校卒業予定者の高校への受け入れ計画というものでございますが、これについては、主に計画進学率と公私分担比率から成るものでございます。このうち計画進学率につきましては、学ぶ意欲と熱意のある生徒を一人でも多く受け入れるために、公立中学校卒業予定者のうち、都内全日制高校進学希望者の率を上回る率として設定をしているところでございます。また、公私分担比率につきましては、過去の実績を踏まえ、公立中学校卒業生の受け入れについて公私が責任を分担していくという観点から決定をしているところでございます。
 こうした考え方に基づきまして、平成十一年度の公私連絡協議会におきまして、平成十二年度から十六年度までの五カ年間の就学計画、これは中期計画と称しているところでございますが、この計画におきまして、公立中学校卒業予定者の計画進学率を九六%、公私分担比率を都立五九・六対私立四〇・四としているところでございます。

◯野上委員

 では、十七年度以降の就学計画はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

◯山際学務部長

 少子高齢化が進展する中で、次代を担う人間を育成していく観点から、これまで以上に公私の緊密な連携によりましてさまざまな教育課題に適切に対応し、その解決に向けた取り組みを協調して行っていくことが求められている、このように考えております。このため、東京都の高等学校就学対策につきましては、一人でも多くの学ぶ意欲と熱意のある生徒を高等学校に受け入れ、都民の期待にこたえていくという観点から就学計画を策定していく必要がある、このように考えております。
 こうした認識に基づきまして、平成十七年度以降の就学計画の策定につきましては、現行の五カ年の中期計画の基本的な考え方を踏襲する方向で、現在、公私連絡協議会で協議を行っているところでございます。

◯野上委員

 公私の分担比率が私立で四〇・四、しかし、実績進学率が一〇〇%にはなっていなくて、八六・六八%ということなんですけれども、私立の先生方にお話をお聞きしたんですけれども、やっぱり私立も生き残りをかけて努力をしていると。一人でも多くの優秀な生徒が欲しい。だけれども、学校の経営方針もあり、ある程度の学力のある子をとりたいということなんですね。それで、入れる枠をすべて入れてもいいんだけれども、定数割れをしても目標とする学力を有した子をとりたいと、ある私学の先生はおっしゃっていました。あと、また別の私学の先生、経営者の方は、要するに入学選択に関してはある程度余分に合格者を出しているんだけれども、大体子どもたちは併用入試ですよね、A校、B校、C校受験をしているので、いい方に子どもたちが流れていってしまう。ふたをあけたら定数割れになったりすることもあるというようなこともおっしゃっていました。要するに、私学において一〇〇%実績進学率にしていただければ本当はいいんでしょうけれども、なかなかそういう個々の学校の状況もあり、難しいのかなというふうに思っております。
 十七年度以降の就学計画を達成していくためには、例えば公私合同で学校説明会を開催することや、私学の入試情報を公立中学へ積極的に提供していくことなど、公私間で連携を強化して、実績進学率の向上に向けた取り組みを行っていくべきだと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

◯山際学務部長

 就学計画は、都民に対しまして、生徒の受け入れの基本的な考え方あるいは公私それぞれの受け入れ数を示すものでございまして、その達成につきましては、公私、そしてそれぞれの学校が最大限の努力をして受け入れていく必要があるというふうに考えております。
 確かに、現在、計画進学率と実績進学率に乖離があるわけでございますが、これについては、各私立高校の積極的な対応を求めるとともに、公私間の連携を強化いたしまして、就学計画達成のため、より一層の公私による工夫あるいは努力が必要であるというふうに考えております。このため、公私協調による就学計画を達成していく観点から、今後、公私連絡協議会におきまして、ご指摘のような実績進学率向上に向けた具体的な取り組みについても実施する方向で検討、協議をしてまいります。

◯野上委員

 最後に、教育ビジョンの目指す人間像ということで、お互いの人格を尊重し、思いやりと規範意識のある人間、これは大変すばらしいことだと思っております。少年犯罪とかも多い昨今ですが、規範意識のある人間に育てていくこと、これは最低限大事な要素ではないかと思っております。
 教育ビジョンの目指す人間像は、今の、現代社会が望んでいる子ども像ではないかというふうに考えます。子どもが健全に育つ社会こそ、未来に希望の持てる社会であると思い、ぜひこの教育ビジョンの推進を図っていただければと思います。
 以上でございます。

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