平成16年文教委員会(2004年12月10日)学習障害について等

平成16年文教委員会(2004年12月10日)


◯野上委員

 私も、東京都特別支援教育推進計画についてお伺いいたします。

 まず最初に、ろう学校の再編整備計画についてお伺いいたします。

 前回、第三回定例会での論議を踏まえて、分教室化される品川ろう学校、杉並ろう学校及び江東ろう学校の幼稚部、小学部が十八年度に募集停止というような短絡的な対応ではなく、分教室として設置している間は幼児、児童の受け入れを継続していくというような計画とした点については、大変高く評価できます。しかし、一部保護者の方々からの不安の声も聞かれております。幾つか確認させていただきたいと思います。

 先日もいろいろなろう学校の保護者の方がお見えになりました。多くの要望を受けてまいりました。その中の何点かについて質問いたします。

 大塚ろう学校の分教室として設置される品川分教室、杉並分教室、江東分教室について、保護者の方々から閉室までの一時的な施設として施設整備も充実したものを用意されないのではないかという不安の声を伺っております。例えば、杉並分教室については平成二十一年度に近隣の永福学園養護学校(仮称)に移転するということですけれども、その際は新たに分教室を整備していくということになるかと思います。今まで聴覚レベルを測定するための防音の部屋とか、さまざまな聴覚に対する器具などがあったそうなんですけれども、今までの学習環境のレベルを低下させないような施設設備をきちっと整備していけるのかどうか、他の分教室についてもあわせて見解をお伺いいたします。

〇伊藤参事

 大塚ろう学校の分教室を設置される品川分教室、杉並分教室、江東分教室についてでございますが、今までと同様な教育環境を確保するという観点から、さらには閉室後も地域の早期教育相談の拠点としていくということから、ろう教育に必要な施設設備を整備してまいります。

◯野上委員

 早期教育の教育相談の拠点としていくことから、ろう教育に必要な施設設備を整備していくという力強い答弁をお聞きいたしました。分教室における教育環境の確保についてはよくわかりましたけれども、その分、教室も新入生が二年続けて三名に満たない場合については、それ以降は募集停止を行うとされております。これについては、聴覚に障害のある児童生徒にとってコミュニケーション能力の育成ということが重要であり、そのために一定規模の人数を確保することも教育環境として必要であるということは大変よく理解できるのですけれども、保護者の方の中には、二、三人は適切な人数で、集団教育で社会性を身につけるのは中学、高校からでいいのではないかという方もいらっしゃいます。

 現に、あるろう学校で、中学校一年生のお子さんでしたけれども、クラスでたった一名、自分のお子さんと先生とマン・ツー・マンで授業をしているという現状があるんです。その保護者の方にお聞きしてみました。本当にクラスでたった一人でいいんですかと。そうしたら、そのお母さんがおっしゃるには、いじめに遭ったりしてゆがんだ人格になるよりは、自分を確立した後に社会に飛び出していった方が子どもも傷つかないし、社会性は後からでも身につくので、今の教育体制で十分満足しているというお話を聞いたんです。多分この方の場合は担任の先生が非常にすばらしい方で、教育としての充足度が高いんだろうなというふうに感じました。

 私個人の考えでは、社会性というのは幼児期から友達とかかわって、けんかをしながら、仲直りしながら、だんだんと人間関係の機微のようなものを自然と遊びや集団生活の中から学び取っていくものだと思っているのですけれども、このように、いじめに遭ったり人間不信が続くよりは、ある程度自我が確立されてから社会に飛び出すというような考え方をしていらっしゃる方もいるんだなというふうに思ったわけです。

 今、ちょっとしたことで自殺とかリストカットとか、いろいろな社会現象もありますので、とても保護者の方の気持ちもよくわかるのですけれども、教育庁としては社会性の育成の必要性とその時期についてはどのように認識を持っていらっしゃるのかについてお聞きしたいと思います。

〇伊藤参事

 学校教育におきまして、さまざまな教育活動を通しまして、一人一人の幼児、児童生徒の発達段階に応じて社会性の育成を図っていくことは、重要な教育目標の一つでございます。ろう学校においては、特に一人一人の幼児、児童生徒の障害の状態やコミュニケーション能力等に応じて、早期から集団活動を通して計画的に社会性の育成を図る指導を工夫していくことが重要であると考えているところでございます。

◯野上委員

 私は、多くの保護者の方にも申し上げたんですけれども、ぜひ幼児教育のときから人間関係を豊かにして、一緒に同じろう学校に行こうねという、そういう仲のよい集団づくりをしていただいて、二名以下にならないような形でやっていただければいいのではないかということを提案させていただいております。例えば、なくなった場合、品川ろう学校、杉並ろう学校及び江東ろう学校が閉校になってしまうと、今までこれらの学校において実施されていた乳幼児教育相談がなくなってしまいます。今後、各地域における乳幼児教育が後退するのではないかという心配の声もあります。

 乳幼児期の教育は、ろう教育においてはとても大事な観点なんですね。それについてはどのように手配をしていただけるのでしょうか。

〇伊藤参事

 現在は、幼稚部を設置するろう学校におきまして乳幼児教育相談を実施してございますが、今後は、大塚ろう学校、立川ろう学校、葛飾ろう学校において乳幼児教育相談を実施するほか、大塚ろう学校に配置した早期教育を担当する相談員及び医師、臨床心理士、言語聴覚士等の専門家を分教室等に派遣して巡回相談を行うなど、施策の一層の充実を図ってまいります。

◯野上委員

 現在行われている相談活動に比べて、よりよい充実を図っていただきたいということを切に要望いたします。

 その次に、特別支援教育体制モデル事業についてお伺いいたします。

 東京都が特別支援教育を推進する上で、まず盲・ろう・養護学校の教育内容の充実、教育環境を確保していくということは重要ですけれども、同時に、現在小中学校の通常の学級に在籍する児童生徒のうち、四・四%、三万三千人という数字が出ておりましたが、学習障害、注意欠陥多動性障害、LDとかADHDとかいわれておりますけれども、特別な教育的支援を必要としていることが明らかになっており、小中学校における特別支援教育の推進も忘れてはいけない課題であります。

 小中学校における特別支援教育の推進は、区市町村教育委員会が推進していくべきものではありますけれども、都としても区市町村教育委員会の取り組みを支援していく必要があるということで、我が党がモデル事業の実施について提案をいたしました。今回の計画の中にも位置づけられています。

 そこでお伺いいたしますけれども、特別支援教育推進体制モデル事業は、今年度から北区、八王子市、調布市、あきる野市の一区三市で実施されておりますけれども、現在までの進捗状況についてお伺いしたいと思います。

〇伊藤参事

 特別支援教育体制モデル事業は、現在、四区市において校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名などの校内体制の整備、巡回指導、巡回相談等の試行、特別支援教育に関する保護者等への理解啓発などを実施してございます。

 現在までの進捗状況といたしましては、校内委員会の設置、特別支援教育コーディネーターの指名などの校内体制の整備につきましては、四区市のほぼすべての学校で完了してございます。

 また、巡回指導、巡回相談等の試行、特別支援教育に関する保護者等への理解、啓発につきましては、モデル地域の各区市の実情に応じまして独自の工夫をしながら実施しているところでございます。

◯野上委員

 人をふやすわけではなくこういった事業をやっていくわけですから、コーディネーターになった方の教育研修体制とか、そういったものも大変だと思うのですけれども、モデル事業の中で成功していければ、必ずそれがうまく広がっていくと思いますので、しっかりとやっていただきたいと思います。

 心身障害教育から特別支援教育への移行に当たっては、固定学級がなくなることを不安視する多くの保護者がいます。一方では、早くLD児等の子どもたちへの対応をしてほしいという声もあります。それらの声に耳を傾け、都教育委員会としても特別支援教育のあり方についてモデル事業を行い、不安の払拭をしていくべきであると考え、このモデル事業の実施について提案をしたところですけれども、モデル事業は今年度実施しているといっても二学期からということで、まだ始まったばかりで、モデル事業は三年間、四区市のみで実施していくこととされています。しかし、今後、特別支援教育を推進していかなければならないのは、この四区市だけではありません。

 我が党は、代表質問で、教育長より、今後、各区市町村にモデル事業の成果や課題についても広く情報提供することにより、モデル地域以外の区市町村においても、特別支援教育体制への移行に向けた準備が行えるよう支援していくという答弁もいただいておりますが、都教育委員会として、今後、区市町村における特別支援教育体制の構築に向けどのように取り組んでいくのか、もう少し具体的な説明をお願いいたします。

〇伊藤参事

 特別支援教育体制モデル事業につきましては、保護者代表も含めた特別支援教育体制・副籍モデル事業評価委員会を設置しておりまして、その委員会においてモデル事業実施による成果と課題等について検証、評価することになってございます。その結果を来年度以降のモデル事業に反映させていくことによりまして、四区市においてより充実した内容でのモデル事業実施ができるようにしていくとともに、モデル地域以外の区市町村に対しましても、その内容についての情報提供をしていくことによりまして、今後、各区市町村教育委員会が地域の実情に応じて適切に特別支援教育体制の整備を進めていくことができるよう支援してまいります。

◯野上委員

 区市町村によって今までの取り組みがかなり違ってきているので、一斉に特別支援教育体制が始まったときに各区市町村でかなりの差が見られると思いますので、ぜひモデル地域以外の区市町村についても準備を始めていかれると、運営の方からもスムーズにいくのではないかと思っております。

 モデル事業も始まったばかりであり、試行錯誤の段階であると思いますけれども、現在、国においても特別支援教室についての検討が進められており、今後、法改正も予想される中、このモデル事業において特別支援教育を推進していくに当たっての課題の整理、検証をしっかりと行っていきながら本格実施に向けての準備を行うとともに、その情報はきちんと公開し、保護者の期待にこたえられる制度の構築をしていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。

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