平成17年文教委員会(2005年9月29日)配偶者暴力の問題について等

平成17年文教委員会(2005年9月29日)


◯野上委員

 最初に、第十八次東京都消費生活対策審議会答申について質疑をいたします。私からは、特に若者に焦点を当てた悪質商法対策について質問させていただきます。

 平成十六年度の都内の消費生活センターに寄せられた相談のうち、若者、二十九歳以下の相談が三割以上を占めており、年々件数の増加が顕著である。そのうち二十歳未満の相談割合の上昇が著しく、若者の相談件数の約二割を占めているという文章が一三ページに載っておりますけれども、十代と二十代で約三割、三十代も加えると約五割を超える状態ということです。中でも架空不当請求による相談が約六割と、大半だということです。

 私のところにも、いろいろな消費者被害に遭ったという方からの相談が来ております。エステとか、かつらのこととか、いろいろありますけれども、特にその中で、例えば、よく新聞広告、雑誌広告などで、千円のお試し美顔エステとかありますね。申込書に記入して提出をすると、化粧品の購入契約書になっていた。解約を申し出ると業者は、これは店舗に出向いて購入したんだからクーリングオフできないと開き直る悪質な手口もあったようです。

 また、販売組織に入り、多額の商品を購入させられるマルチ商法も依然多いと聞いております。例えば、最初に無料の本が送られてきます。その次に、講演会の開催が来ます。開催するので、無料ですので来てくださいと。その講演場所も、京王プラザとか住友三角ビルとかいい場所を使ってそういう講演会を行います。
 そして、そこで、必ずビジネスチャンスにつながるからということで、販売ルートを拡大をするというマインドコントロールで、自分には最大のチャンスが訪れた、起業家になれると信じ込んで、会社をやめて、何百万円もの借金を抱え込むという人もおります。

 また、これは消費者行政とはちょっと違うかもしれませんけれども、子どもの携帯電話にチェーンメールが出回っています。昔、私たちの小さいころは、不幸の手紙というのがあって、一週間以内に何人かに出さないと、あなたが不幸になりますよというのがありましたけれども、それと同じような形で、一週間以内に十人にメールをしないと身に危険が及ぶという内容だったり、また、そのチェーンメールの中をどんどんクリックしていくと、架空請求も多いといわれている出会い系サイトにつながるものもあるということです。

 先ほどの山田副委員長の質疑の中にもありましたが、高齢者の悪質商法による被害も確かに悲惨ではありますけれども、若者の悪質商法被害も、十分な対策をしていかなければならないと思っております。
 そこで、このたび、第十八回東京都消費生活対策審議会において出された答申の中で、消費者への教育、啓発や情報提供を中心に、幾つか質問をさせていただきます。
 普及啓発や事業者指導は今後もしっかりやっていただきたいと思いますけれども、十代前半の若いころから、悪質事業者にひっかからないための能力を身につけさせることが重要だと感じております。学校において消費者教育を充実していただきたいと思いますが、現在、どのような取り組みを行っているのか、伺います。

◯岳野消費生活部長

 野上理事が申されましたように、自立した消費者を育成するためには、学校教育における消費者教育が大変重要である、このように考えております。東京都におきましては、夏休みの期間を活用した教員向け消費者教育の実施や、教員の皆様に対して消費者教育実践例などを紹介した情報誌、「わたしは消費者」を発行しているところでございます。
 また、学校教育の中で活用できる教材として消費者教育読本を小学生向け、中学生向け、高校生向けにそれぞれ作成して、消費者教育に努めております。

◯野上委員

 私も長年教育現場に携わってきた経験でよくわかるんですけれども、いろいろなパンフレットとか、子どもたちに授業に使えるようなものを送ってきてくださるんですけれども、なかなかそれを実際に教育現場の中で時間をこじ開けて、子どもたちに教育をするという機会を設けること自体が非常に困難で、この一三ページにも書いてございますけれども、「環境教育と比べても、消費者教育の時間が十分に確保できているとは言えない現状にある。」と。
 多分この分析もそうだと思うんですけれども、本当に努力をしていただいているんですけれども、実際に学校のカリキュラムの中に十分取り入れていただくような方策、そのためには、小中学校であれば区市の教育委員会、都立高校であれば同じく文教委員会の中の教育庁と連携をしていくことが大変大事になってくると思います。

 きょうは生活文化局なので、教育庁ではありませんのでまた違うんですけれども、特に私立学校のカリキュラムの中に十分取り入れていただくことが重要だと考えます。特に、生活文化局が私立学校を所管しているという関係もありますので、ぜひ進めていっていただきたいと思っております。

 今回の第十八次消費生活対策審議会の答申は、連携による新たな消費者施策のあり方に関しての答申とのことですが、若者の消費者被害防止のため、学校との連携についてどのような提言がなされておりますでしょうか。

◯岳野消費生活部長

 これまでも東京都は、公立学校につきましては、私ども消費者行政部門と教育委員会との間で消費者教育連絡会議というものを設置いたしまして、都立学校の教員向け研修カリキュラムの中に消費生活や消費者被害の講座をふやすなど、消費者教育の充実に向けた取り組みを行ってきたところでございます。
 野上理事が申されましたように、答申の中では、これまで抜けておりました私立学校との連携につきまして、教員、生徒等に向けた携帯トラブル防止策など、消費者被害防止の啓発講座の推進や消費者教育を支援いたしますホームページによる情報提供の強化などが提言されているところでございます。

◯野上委員

 私学関係は生活文化局の所管でありますから、ぜひ積極的に連携関係を築いていっていただきたいと要望いたします。

 話は変わりますけれども、最近は小学校でも週三時間、総合的な学習の時間という授業があるんですけれども、その中でパソコンを使っての学習、あるいは情報教育などが行われております。中学生や高校生でも、何か調べ物をする際、昔であれば図書館に行って本を探して調べ学習のような形でやってきたものが、最近ではインターネットの検索であっという間にいろいろなことを調べることが可能となっております。
 都の消費生活関係のホームページでも悪質被害防止啓発などの情報提供を行っておりますけれども、若者が気軽にホームページを訪れて、悪質商法について学べるようにできれば、普及啓発もより効果的にできるものとなっていくと思いますが、インターネットを使ってより効果的な普及啓発をするべきと思いますが、いかがでしょうか。

◯岳野消費生活部長

 現在、消費生活関係のホームページといたしましては、「東京の消費生活」という名前でページを開設いたしまして、消費者被害の緊急情報や消費生活関連の情報を広く掲載しているところでございます。また、先生がおっしゃいました、若者向けに動くアニメーションを使った架空請求のキャンペーンページなどによる啓発も行ってまいりました。
 これからは、多くの若者がインターネットや携帯電話を利用して情報収集をしているというのは、野上理事おっしゃるとおりでございます。それゆえ、例えば、大学や専修学校のホームページに、バナーと申しまして、小さなPRのスペースでございますが、これをつくりまして、そこをクリックすると、「東京都の消費生活」のホームページに誘導できるようなことも検討してまいりたいと思っております。
 今後とも、私どもの消費生活のホームページが、できるだけ多くの方々に活用していただけるよう工夫してまいります。

◯野上委員

 ぜひ多くの都民の方々に見ていただけるホームページになるように、期待をしております。

 さて、初めに申しましたマルチ商法の被害のように、周りから見ればそんなうまい話はないということで普通はひっかからないような話にも乗ってしまう。十代前半の若いころから自立した賢い消費者の能力を身につけさせれば、三十代、四十代、さらに高齢者になってもこういった悪質商法には被害に遭いにくくなっていくと思っております。若いころから消費者教育をぜひしっかりと定着をして、悪質商法にひっかかりにくい賢い消費者をぜひ育成していっていただきたいと思っております。

 次に、DVに関する配偶者暴力対策基本計画の中間まとめに関して質問いたします。
 配偶者暴力の問題については、私はこれまで数回にわたり質問をさせていただき、さまざまな施策提言や要望を行ってまいりました。ただ単にDVかというのじゃなくて、今でも全国では三日に一人の割、それ以上の割で殺人事件が起きているということが大きいのかなと思います。今回の計画は、暴力の早期発見や相談、一時保護、自立支援、子どものケア、加害者対策など、さまざまな施策が示されていますが、こうした計画を確実に実行していくためには、具体的な取り組みにつなげていく必要があります。具体的には、パブリックコメント、DV被害者の生の声を取り入れながら、今後最終的な計画策定に向けて、ぜひ前向きに検討を進めていただきたいと思っております。

 加害者から逃れた被害者にとっては、自立への道は非常に厳しいものがあります。昨年の法改正で、自立支援が都道府県の責務として明記されました。私も被害者の生活再建に向けた自立支援を行政が行うことが非常に重要と思っております。とりわけ自立支援に当たっては、生活の基盤となる住宅の確保、就労や職業訓練に関する支援を関係機関が連携して進めていく必要があります。
 特に、被害者の方の声の中には、都営住宅にすぐ入居できるシステムが欲しい、あるいは、自分たち被害に遭っている者たちが一緒になって自由に仲間に会え、つながりが持てるような場所が欲しいとか、暴力を受けたら近所にすぐ逃げられるような態勢をつくってほしいとかという住宅関係の問題も出ておりますし、また、経済的自立支援でいえば、就労に関して強力にサポートしてほしい、いろいろな勉強をする学校を紹介してもらったり、入学を優先にしていただければというような声も聞いております。

 きょうは、そこで、自立支援について何点か伺いたいと思っております。
 一時保護所などを退所した後、自立に向けた一歩を踏み出す上で、生活の基本である住まいの確保は極めて重要です。都営住宅を活用して支援をしていく必要があると思っております。これは予算特別委員会の質疑でも提案をいたしましたが、この課題については都市整備局の役割が大きいと思いますが、計画を所管する生活文化局として、被害者の住宅確保について具体的にお伺いいたします。

◯産形参事

 現在、子どものいる被害者は母子世帯として扱いまして、倍率の優遇や特別割り当てなどの優先入居を行っております。しかし、現行の制度では、五十歳未満の単身の被害者は対象外であり、申し込み資格もないというのが現状であります。
 このような状況から、国土交通省において、五十歳未満の単身の被害者についても公営住宅に正式入居できるよう、見直しを行う予定と聞いております。今後とも都市整備局と連携し、配偶者暴力被害者が都営住宅に円滑に入居できる仕組みづくりに努めてまいります。

◯野上委員

 配偶者暴力被害者の都営住宅への優先入居を、ぜひ早急に検討していただきますよう、よろしくお願いいたします。
 一時保護所には原則二週間までが滞在期間となっていますが、その間に安定した住宅を確保し仕事を見つけることは、非常に困難です。一つには、DV被害者の方が、たび重なる暴力や、一時的であっても暴力に対し精神的にうつ状態が引き起こって、なかなか行動を開始できない、外に積極的に飛び出していけない状況が続く場合が多々あります。ですから、元気な状態では積極的に住宅を見つけるために動き出せるわけですが、なかなか現実の問題としては見つけることができない。また、保証人や生活費がない場合には生活保護に頼るしかありません。大変です。

 住宅が見つかるまでの当面の住まいを確保し、就労に向けた支援を行う必要があると思いますが、都としてどのような方策を考えていらっしゃるのでしょうか。

◯産形参事

 原則二週間とされております一時保護施設の入所期間については、利用者の状況に応じて柔軟に対応しておりますが、自立が困難な被害者などは短期間で住まいと就職先を確保することが難しい状況にあります。このため、一時保護所を退所した後、すぐには自立が困難な被害者に対し、当面の住まいの確保策として都営住宅等の提供や利用方法などについても検討するとともに、区市町村、民間団体等との連携により、職業訓練、就職活動を支援することなど、自立に向けた多様な支援を行うための仕組みづくりを検討していくこととしております。

◯野上委員

 被害者が自立するに当たって、もう一つ大きな課題があります。それは、資料にありますけれども、被害者の八割以上、八三%の方に子どもがいます。子どもに対する支援も自立支援策にとって極めて重要な課題であると思います。この中間のまとめでは、子どもの対策についてどのように整理しているのか、伺います。

◯産形参事

 配偶者暴力は、被害者だけでなくその子どもに与える影響も極めて大きいことから、配偶者暴力にさらされた子どもに接する各機関が共通の認識を持って対応できるよう、子どものケアに関する体系的なプログラムの作成を検討いたします。
 また、配偶者暴力相談支援センターにおいて、子どもを対象に、子どもの心の傷の回復を支援するための講座を開催することとしております。
 さらに、児童福祉部門や区市町村と一層の連携を図りながら、孤立しがちな配偶者暴力被害者の子どもへのサポートに積極的に取り組んでいけるよう、子ども家庭支援センター事業を充実するとともに、未設置の区市町村を支援していくこととしております。

◯野上委員

 ちょっとつけ加えますと、私がいろいろ相談を受けた中に、うまく加害者に対して逃げるわけです。多摩の方から葛飾の方まで逃げてくるわけです。普通は、なかなか加害者が被害者の住んでいる場所を見つけるというのは、すごく困難、難しいことが多いんですけれども、加害者が見つけてくるのが、ほとんどが学校の学習指導要録送付先で、その転校先の学校が判明するということがわかるわけです。それも、物すごく上手に学校に、学校は絶対住所を出しちゃいけない、だれにも教えないようにということで赤いマークを張っているんですけれども、うまく、本当に同情を買うように、おばあちゃんになったり、第三者を使ったりして子どもの転校先を聞き出して、そこから今住んでいる住居を割り出すということがすごく多かったんですね。そういう意味では、子どもを連れてDV被害者が逃げているようなときに、情報をきちっと守っていく、そういった配慮も必要じゃないかなというふうに思います。

 それから、もう一つ、被害者対策が重要であることはいうまでもありませんけれども、暴力の原因となっている加害者対策も重要な課題だと思っております。加害者を何とかしなければ、被害者も減りません。その意味でも、加害者対策は重要な課題です。
 昨年度、都は、内閣府の委嘱事業として、加害者更生プログラムを試行したと聞いておりますけれども、実施結果について伺います。

◯産形参事

 昨年度、内閣府の委嘱事業として、加害者みずからの暴力の責任を認識させ、暴力の再発防止を図ることを目的に、加害者更生プログラムを実施いたしました。実施状況は、平成十六年九月から平成十七年一月まで、六名の参加者に対し、週一回、合計十八回のグループ形式の教育講座を開催いたしました。
 プログラムの内容は、暴力についての理解、配偶者間の対等な人間関係についての理解、暴力を肯定する価値観や信念の変容などであり、昨年三月に実施結果を内閣府に報告いたしました。今年度、内閣府において、加害者更生プログラムの効果等を含め、実施結果の検証を行っているところでございます。

◯野上委員

 今回の中間まとめでは、加害者対策のあり方について検討するとなっておりますが、都としても、せっかく昨年度試行したのですから、その実績を踏まえ、さらに検討する必要があると考えますが、見解を伺います。

◯産形参事

 加害者対策は、被害者の安全確保とさらなる暴力被害の防止など、被害者支援の観点から重要でございます。昨年度、内閣府の委嘱事業として実施した試行結果や、現在内閣府で行われている検討結果を踏まえ、今後の都における加害者対策について、具体的に検討していきたいと考えております。
 また、加害者の更生を司法制度の中に位置づけるなど、必要な法制度を整えるよう国に要望してまいります。

◯野上委員

 ぜひ有効性のある加害者対策について、具体的な検討をお願いしたいと思います。
 けさの新聞にも大きく報じられておりましたけれども、北九州の連続監禁殺人事件、この背景には激しい虐待があった。これは夫婦関係というよりも内縁の夫婦関係だと思うんですけれども、激しい虐待があった。家族がどんな精神状態にあり、なぜここまで加害者に支配されたのか、それを弁護側が鑑定しておりまして、虐待被害を受けた女性の典型として、長期の虐待は判断力の著しい制限や、虐待者への強度の心理的服従関係を生じさせたということが指摘されております。
 ですから、このように自分で逃げ出してくる女性は、ある程度まだ救えるなあと思うんですけれども、本当に逃げ出せないでずっと服従関係で苦しんでいる、女性だけでなく男性もいると思うんですけれども、そういう方も多分随分いらっしゃると思います。

 これまで申し上げてきた配偶者暴力対策は、都だけでできるものではありません。関係機関や民間団体がさまざまな局面で密接に連携し、ネットワークを組みながら、それぞれが持てる機能を発揮していくことが重要です。そのためにも、基本計画の策定を通して、この問題の解決に向けて関係機関や団体の連携が一層推進されるよう頑張っていただきたいと思いますが、最後に、実効性のある計画づくりに向けた決意を伺います。

◯山内生活文化局長

 今回の基本計画の中間のまとめでございますが、ここにも示されておりますように、配偶者暴力というものは個人の尊厳を侵害するものだというふうに認識しております。そういうことから、被害者の支援、それから配偶者暴力の防止といったものには社会全体で取り組む必要があるだろう、そういう課題であろうと考えております。関係各局、区市町村、それから民間団体などと密接な連携のもとに実効性のある施策展開を図れるよう、最終的な基本計画のまとめをしていきたいというふうに考えております。

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