平成17年文教委員会(2005年9月30日)日比谷図書館の移管について等

平成17年文教委員会(2005年9月30日)


◯野上委員

 私の方からは、第二次都立図書館あり方検討委員会報告について質疑をしたいと思います。日比谷図書館の移管については、さきに秋田委員からも質疑がありましたので、重ならない範囲で、私からも確認の意味で質問いたします。
 先日の説明では、報告内容について広く都民から意見を募り、それを踏まえて行政計画を策定するということでございましたけれども、日比谷移管について、これまで寄せられた意見について伺いたいと思います。どんな意見が寄せられたのか。

◯直原参事

 日比谷図書館の移管につきましては、賛成、反対、さまざまな意見が寄せられております。現在、取りまとめの途中でございますので、その中の主な意見をご紹介させていただきますと、賛成意見としましては、都立図書館全体の構想として、多摩図書館を第二中央館とし、日比谷図書館は地域図書館として地元区に移管すべきであるという意見がございます。反対意見としましては、日比谷図書館は専門職の司書による先駆的なサービスが行われてきた、区に移管することによってこれまでのサービスが失われるのではないかと懸念する、あるいはビジネス支援サービスや観光文化情報拠点としてのサービスなど、都立ならではのサービスを展開して、都立図書館として再生させるべきである、このような意見が出されております。
 その他の意見としては、引き続き他の区民も貸し出しが受けられるようにしてほしい、このような意見が来てございます。

◯野上委員

 都立図書館には図書館協議会という諮問機関がありますけれども、その諮問機関に意見はお聞きになったんでしょうか。日比谷移管については、その中でどんな意見があるのでしょうか。

◯直原参事

 都立図書館協議会に対しましては、八月の二十六日に本報告を説明し、ご意見を伺ってございます。その中で、日比谷図書館の移管については幾つかの意見が出てございまして、日比谷図書館の移管及び業務委託の推進により経費が浮くのだから、それを残る図書館の充実に生かしてほしい、あるいは、日比谷図書館は都民だけでなく他の県民も利用していると考えられる、区に移管した後もそれらの人々が利用できるのかどうか、その見通しについてきちんと説明責任を果たしてほしい、また、移管後しばらくは都としてもサポートを行ってほしい。そのほか、自治体財政が厳しい中、日比谷図書館と同等の職員体制を区が引き継げるのかはやや疑問である、このような意見が出されております。

◯野上委員

 日比谷移管についての先ほどの経費の問題とか、他の区民の利用の問題とか、職員体制など、いろいろな意見が出ているわけですが、都教委としてはどのようにこれを考えているのでしょうか。

◯直原参事

 千代田区に移管することによるサービス低下の懸念を多くいただいているところでございますが、千代田区教育委員会に打診したところによりますと、千代田区としましては、移管を受けた場合には、区民に限らずだれにでも現行サービスを継続した上で、ビジネス支援サービスや、あるいは利用者との交流事業など新たなサービスを展開したいとしております。また、サービスの水準維持に必要な専門職員の配置も行う、このように聞いているところでございます。
 一方、都立図書館につきましては、中央と多摩の二館において、この報告に記しました取り組みを実行し、サービスの一層の充実を図っていくこととしてございます。
 こうしたことから、移管を通じて都民サービスの向上に寄与できるものと考えております。

◯野上委員

 こうした寄せられた意見に対しては、都教委の見解を今後広く公表し、理解を得る努力をするように求めておきます。

 次に、日比谷以外のことについて、まず、報告書の第一部の都立図書館の今後のあり方の中に、区市町村立図書館の支援や連携について、三ページですけど、述べられているところがありますので、関連して伺います。
 これまで区市町村の支援として、都立図書館から図書の貸し出しが行われておりますけれども、現在の実績と推移はどのようになっているのでしょうか。

◯直原参事

 都立図書館から区市町村立図書館への貸し出し、これは協力貸し出しというふうに呼んでおりますが、この協力貸し出しの実績は、平成十六年度で約十四万冊となっております。
 推移につきましては、中央図書館は平成十五年度から、また多摩図書館は平成十四年度から貸し出し冊数が減少しております。

◯野上委員

 これは、出していただいた資料の中の一ページを合計した数で、中央図書館が六万七千九百四十九冊で、多摩図書館が六万八千七百二十五冊、これを合計すると十三万六千六百七十四冊、協力貸し出しをしている、それが約十四万冊ということと、それから、だんだんと減少をしてきているということで、引き算をしますと、中央図書館で一万四千五百冊ぐらい、それから多摩図書館で一万三千冊ぐらいがどんどんと減少してきているということなんですけれども、区市町村立支援が都立図書館の役割の一つであるとすれば、これがだんだん減少しているというのは気になる傾向でございます。この減少の理由としてどのようなことが考えられるんでしょうか。把握していらっしゃるんでしょうか。

◯直原参事

都内の区市町村立図書館の蔵書をインターネットにより検索できる横断検索システム、このように呼んでいるシステムがあるんですが、この横断検索システムを都立図書館が区市町村立図書館の協力を得て構築しまして、平成十四年度に導入してございます。その活用によりまして、区市町村立図書館相互の協力貸し出しの動きが出てきたことが大きいのではないかと、このように考えております。東京都全体としても、公立図書館の相互連携によりまして図書の有効活用が一層図られてきている、このように考えております。

◯野上委員

 そういうことであれば、現在行われている市町村への協力貸し出しも大切な事業ではありますけれども、都内全体の図書の有効活用の観点からすると、区市町村立図書館相互の貸し出しもより一層拡充をしていくべきです。これまで働きかけた事実はあるんでしょうか。

◯直原参事

 横断検索システム稼働後の平成十六年二月に、都立図書館の呼びかけによりまして、公立図書館同士の資料の相互貸借を円滑に行うための共通ルールを定めております。

◯野上委員

 支援、連携を進めていくためには、支援の対象である図書館の事業運営を掌握していなければならないと考えますが、現在、区市町村立図書館は、新しいサービスとしてどんなことに取り組んでいるんでしょうか。

◯直原参事

 地域によりさまざまではございますが、例えば、地域経済の振興を図ることを目的に、地域の産業情報を中心にした図書、新聞、雑誌等を集めたビジネス支援コーナーを設置しているケース、あるいは小中学校の児童生徒の読書指導への支援、子どもが読書に親しむきっかけづくりの読み聞かせ等に取り組んでいるところがございます。

◯野上委員

 委員 そのような動きに対して、都立図書館として具体的な支援策は考えているんでしょうか。

◯直原参事

 これまでも都立図書館は、区立の、先ほど申しましたビジネス支援図書館の開設に際し、本の選定や研修の実施など、具体的な支援を行ってきたところでございます。
 今後も、新しい取り組みに必要な情報やノウハウなどを、区市町村立図書館の職員に対して研修を通して提供することや、区市町村立図書館の事業運営をきめ細かく支援するために司書を派遣して助言するなど、一層の支援を行っていきたいと考えております。

◯野上委員

 区市町村立図書館にも司書がいらっしゃいますし、都立図書館にも司書がいらっしゃるわけですけれども、この役割の違いはどのようなことなんでしょうか。

◯直原参事

 区市町村立図書館の司書は、地域の実情に即した直接的なサービスを主な役割としております。他方、都立図書館の司書は、高度で専門的なレファレンスなど、広域的、総合的な住民のニーズにこたえるサービスを主な役割としております。

◯野上委員

 今、お答えがあったように、市町村立図書館における職員で、司書資格を取得していても、長い間図書館に勤務しないで全く未経験の職員が新たに配置されることがあると聞いております。新たな職員でそこで何週間かの研修を受けて司書資格を取得するとかということも聞いております。また、都立図書館の司書は、先ほどありましたように、非常に高度で専門的なレファレンスなど、広域的、総合的な住民ニーズにこたえる力を持っているんですね。高度な技術を有した専門職としての司書が配置されているということで、この都立図書館の司書が区市町村立図書館の職員に対してどのような研修を実施しているんでしょうか。

◯直原参事

 都立図書館は、区市町村立図書館の職員を対象に、レファレンスサービスについて、初級、中級あるいは講師養成の研修、それから、児童サービスに関する研修、製本の研修など、都立図書館の司書職員によるさまざまな専門研修を実施しております。
 規模でいいますと、平成十六年度について見ますと、二十七回の研修を実施しまして、合計で約千名の参加者がございました。

◯野上委員

 今後ともそういった研修を継続していただきたいということと、もう一つは、東京都教育委員会が作成した子ども読書活動推進計画は、ことしで三年目を迎えております。東京都教育委員会と都立図書館が取り組んできたこれまでの実績と今後の取り組み計画についてお伺いいたします。

◯直原参事

 これまでの実績としましては、平成十五年度に小学校入学一年生全員を対象に、それから、十六年度にはゼロ歳児の子どもを持つ保護者全員を対象に、物語や絵本の読み聞かせを進める読書活動推進資料、リーフレットでございますが、これを配布してございます。
 このほか、小中高等学校に勤務する司書教諭に対する研修、あるいは都立図書館のホームページに子どもページを開設するなどを行っております。

 今後の取り組みでございますが、都立図書館と学校図書館との連携協力、読書活動を推進するボランティアグループのリーダー育成、あるいは家庭の読書活動にかかわりの深い区市町村立図書館の職員研修など、子ども読書活動をより一層推進していくためのさまざまな取り組みを進めてまいります。

◯野上委員

 小学校段階での読書活動の推進は、比較的取り組む方法はあると思うんですが、読書離れがいわれている中高生に対して、都立図書館の司書の専門性を生かして何か取り組むことはできないでしょうか。

◯直原参事

 児童生徒の読解力の低下が指摘されている状況もあり、これは大きな課題であるというふうに考えております。既に、一部の都立高校に対してではございますが、教員の授業のカリキュラムづくりにおける資料の調査、幅広い資料収集のノウハウを生かした教科のテーマ別のブックリストの作成など、支援を始めたところでございます。
 今後は、都立図書館の司書が都立高校に出向きまして、生徒に対して図書館の利用法や本の調べ方、あるいは古文書に関する講座などを開催していきたい、このようなことも検討していきたいと考えております。

◯野上委員

 かねてから都立図書館の司書の専門性は高く評価しておりましたけれども、今の話を聞くと、またさらに、もっとその専門性を広く活用していく方途も考えていかなければならないと感じております。
 そこで、今後、学校からの要望により、都立図書館の司書が積極的に学校に出向いていくような事業の実施をぜひ検討してくださいますよう要望しておきます。

 また、この七月には文字・活字文化振興法が制定され、十月二十七日が文字・活字文化の日というふうに定められました。都教委として、この文字・活字文化振興法ができたわけでございますが、今後どのような取り組みをなさるのか、お伺いいたします。

◯直原参事

 文字・活字文化振興法が制定され、十月二十七日が文字・活字文化の日と定められました。これにちなみまして、都立図書館として都民の方々に広く文字・活字文化についての関心を深めていただくとともに、子どもの読書活動が広がっていくことを目指しまして、十月三十日に都庁で文字・活字文化フォーラムを開催することにしております。このフォーラムでは、子どもと読書についての講演や、地域で子どもの読書活動に取り組んでいるボランティアグループの活動報告などを行う予定にしております。
 都教委としましては、法律の趣旨を踏まえまして、今後とも、特に子どもの読書活動の推進に関する施策を充実させていきたいと考えております。

◯野上委員

 ぜひこの十月三十日が大成功で終わりますように応援をいたします。
 平成十三年に子どもの読書活動推進に関する法律が制定され、この七月に文字・活字文化振興法が制定されました。この流れの中で、今回の都立図書館改革の基本的な方向がまとめられたことになります。ぜひ子どもの読書活動を推進していくことを初めとして、報告書にある具体的な取り組みを実現して、都立図書館の改革を進めていただくことを私からも要望しておきたいと思います。

 また、日比谷図書館の地元の区への移管の方針については、都と区の役割を整理するものであると認められるので、了解をいたしますが、今後の千代田区との協議に当たっては、現行のサービスの継続と一層の充実が確実に図られますよう強く求めて質問を終わります。

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