平成17年文教委員会(2005年12月09日)指定管理者制度について等

平成17年文教委員会(2005年12月9日)


◯野上委員

 同じく江戸東京博物館外五施設の指定管理者の指定について論議したいと思います。

 平成十八年四月から都立文化施設六館にも指定管理者制度が導入されるということで、本定例会に指定議決案が提出されております。都立文化施設については、平成十八年から三年間は現在管理をしております東京都歴史文化財団を特命する。その後、平成二十一年度以降の指定管理者は公募により選定して、本格的な制度導入を図るということであります。
 指定管理者制度は、先ほどの論議もありましたけれども、民間事業者が有するノウハウを活用し、サービスの質の向上と効率的な管理運営を図ろうとするということで、民間事業者との間で競争原理が働くことから、これまで管理受託してきた既存の財団にとっても、より一層経営改革に取り組む契機になるのではないかと思います。

 しかし、一部にはこの指定管理者制度の導入を危惧する声もあります。新たに民間企業が参入し、果たして適切な運営がなされるのかどうか、民間事業者が営利優先に走り、利用者不在の運営がなされるのではないか、そういった声も聞かれております。このような事態が生ぜずに、本格導入の後、適切に施設の管理運営がなされるような、必要な仕組みを整える必要があると思います。
 本定例会に提出された指定議決案は、平成十八年度から三年間の指定期間にかかわるものでありますが、来年度には二十一年度以降の民間企業も含めた公募が行われるということでもあり、二十一年度以降を視野に入れた今後の取り組みについて何点か質問いたします。

 指定管理者制度では、これまでの管理受託者が行えなかった貸出施設の使用許可など、行政処分も指定管理者が行えると聞いております。都立文化施設に関しても、ホール等の貸出施設の使用許可は指定管理者にゆだねるということでございます。民間事業者の裁量の範囲が広がることになりますが、例えば、ホール等の貸出施設について、特定の企業等に偏った利用がなされるのではないかということが危惧されるのではないかと思っておりますが、この点についてはいかがでしょうか。

◯萩原参事

 貸出施設等の平等利用についてでございますが、それぞれの設置条例に平等利用の確保等必要な規定を設けてございますけれども、特定の企業等に偏って利用させるなど、不当な差別的取り扱いをしたりすることのないよう、指定期間の開始前に都と指定管理者との間で締結する協定に必要な事項を盛り込んでいくことと考えております。
 また、指定後も必要な調査を定期または不定期に行い、不適切な取り扱いには指導を徹底するなど、適切な管理が実現されるよう万全を期していきたいと思っております。

◯野上委員

 民間事業者が参入した場合、この民間事業者というのはあくまでも営利を目的とした企業ですね。公の施設の指定管理者になることで、利潤とか利益を得ようとするということは、それはもう至極当たり前のことだと思います。民間事業者が指定管理者になることによって、例えば入館料の値上げとか、貸出施設の使用料などの料金の値上げとか、今までよりも少し高くなってしまうのではないか、そういったことも危惧されるのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

◯萩原参事

 利用料金は、条例で上限額が定められておりまして、利用者からいただく実際の料金額については、あらかじめ知事の承認を得て、指定管理者が上限額の範囲内で決定することといたしております。料金値上げの申し出の承認に当たりましては、値上げの必要性や合理性、他の類似施設の状況などを総合的に勘案いたしまして、安易な料金の値上げにつながらないよう適切に対処してまいります。

◯野上委員

 指定管理者が上限額の範囲内で決定をして、最終的には議会の承認も含めていいんですね。安易な料金の値上げは起こらないということですけれども、逆に、今小学校、中学校は無料ですよね。また、お年寄りとか障害者の方々は二分の一、半額になっておると思うんですけれども、そうした減免とか免除については、民間事業者が指定管理者となった場合、こうした制度はどのようになるのでしょうか。

◯萩原参事

 都内在住の小中学生や高齢者、障害者などにつきまして、それぞれ定めております減額、免除の規定につきましては、条例や規則で規定をされております。指定管理者も、これらの規定に基づいてこれまでどおり減額、免除を行うこととなります。

◯野上委員

 すぐれた民間事業者が参入した場合、その民間事業者が有するノウハウを活用し、コストの削減とか施設の効率的な管理運営を図るということは重要でありますが、コストが削減されたとしても、利用者サービスが低下したり、文化施設本来の目的がなおざりになってはいけないと思います。そのためには、指定管理者による管理運営が適切になされているかどうか、また、文化施設の設置目的に沿った運営がなされているかなど、チェックや評価を行っていくべきと考えます。この点についてはいかがでしょうか。

◯萩原参事

 ただいま先生ご指摘のとおり、コスト優先で文化施設の利用者サービスが低下することのないよう制度を運用していくことが重要であると考えております。このため、定期的に事業報告書を提出させるとともに、日常的に業務や経理の状況について報告を求め、必要があれば実地に調査し、適切な指示を行ってまいります。また、外部委員を含む委員会において、施設の管理運営や事業内容を評価、検証することも検討し、以後の管理運営等に反映させていきたいと考えております。

◯野上委員

 私は美術館とか博物館に行くのがとても大好きで、よく利用させていただいております。そして、文化、芸術に触れることによって、自分なりの感性ですけれども、そういったものを養っているつもりでもおります。また、こうした施設というのは、美術作品や資料を展示して観覧に供しているわけでございますけれども、それ以外にも、それぞれの施設は調査研究、作品や資料の収集や保存、教育普及など、さまざまな機能を有しており、中にも高度な専門性と必要な執行体制の確保が求められると思います。
 民間事業者が指定管理者になった場合にも、そうした高度な専門性や必要な執行体制が求められると思うんですけれども、これらの専門性や執行体制はどのように確保されるのでしょうか。

◯萩原参事

 文化施設においては、専門性の確保ということが極めて重要でございます。条例においても、選定基準として相当の知識及び経験を有する者を従事させることができることなどの条件を定めております。
 指定管理者の選定に当たりましては、審査委員会において、応募事業者から提出させる事業計画書等に基づきまして、学芸員などの専門性を持った人材の配置計画や、配置する従事者の資格、専門分野、執行体制等を確認するなど、厳正に審査することなどによりまして、専門性等を確保していきたいと考えております。

◯野上委員

 このような高度な専門性を必要とし、事業の質が評価される文化施設について、そもそもこの指定管理者制度がなじむのかなという議論は確かにあると思います。既に来年四月には制度が導入されるわけでありますし、いかに円滑にこの制度を導入し、運営していくかが重要になってまいります。

 東京都では、この指定管理者の指定期間について、原則五年間、最低三年間、最長十年という基準を設けておりますけれども、事文化施設については、例えば美術館や博物館などでは、調査研究を初め一朝一夕に成果があらわれるものではなく、展覧会の開催などでも過去の経験や蓄積などが極めて重要になってくると思います。原則である五年では、事業の継続性が確保されるのかどうかとか、安定的な事業運営が期待できるのかとか、いろいろな懸念がございます。
 今回の特命に当たっては暫定的な措置ということで、指定期間を三年間とすることは理解できます。しかし、公募の際には文化施設が持つ特性を踏まえた指定期間を設定すべきではないかなというふうに考えておりますが、この点についてはいかがでしょうか。

◯萩原参事

 美術館や博物館におきましては、五年程度の指定期間では調査研究や展覧会の開催などの継続性、安定性が確保できないおそれがあるというふうに考えております。このため、例えば美術館や博物館では五年という原則にとらわれず、七年から八年程度とするなど、各文化施設の指定期間につきましては、美術館や博物館、ホールなどなど、それぞれの文化施設の特性を踏まえて指定期間を設定していきたいと考えております。

◯野上委員

 私も美術館や博物館の場合は、五年よりも長い指定期間が必要だと思います。例えば一昨年でしたか、私は特に感動したのが、エルミタージュ美術館というのが江戸東京博物館に来ましたけれども、皆さん、ごらんになられた方はいらっしゃいますか。エルミタージュ美術館というのが来まして、これは本当に世界三大美術館の一つで、私も一回行きまして感動しまして、これは一人ではもったいないということで、地元の方とバスを一台チャーターして見学をさせていただいたことがあります。中央に黄金の馬車というのがあって、飛行機で運ぶことができないので、向こうで全部解体をしてばらばらにして運んで、美術館で組み合わせてもとに戻したというような、すごい大がかりなものでした。壮大なものでした。そうした大がかりな美術館、そういった海外の美術館とかを招聘する場合に、かなり長いスパンが要ったのではないかな。これは交渉して、計画を立ててやると、五年ぐらいでも短いぐらいなのかなと思ったりはしたんですけれども、昨年は新選組の展示とかがありましたけれども、そうした資料を集めるだけでも相当長い期間が必要なのではないかなというふうに感じました。

 それぞれの文化施設の特性とかがありますので、期間というのはそれぞれで本当は決めるのがいいんだと思うんですけれども、五年では何か短いような気がしないでもないです。そういう文化施設の特性を十分考慮して指定期間を考えていただければと思います。

 次に、公募についてなんですけれども、都は広く民間事業者から公募するとしておりますけれども、公募の際には具体的にどのような方法で民間事業者に周知しようとしているのか、周知徹底の方法、これをお伺いいたします。

◯萩原参事

 周知の方法でございますけれども、都では指定管理者制度に関する東京都指針を定めておりますが、その中で、公募の際の周知については、ホームページや「東京都公報」など、広く都民や事業者に周知がなされる方法をとることといたしております。この指針に沿ってホームページ等で周知する予定を考えております。

◯野上委員

 そしてまた、懸念されることの一つなんですが、施設によっては設備等が相当老朽化し、改修が必要な施設もあると聞いております。指定管理者になろうとする民間事業者から見れば、いつごろ、どのような改修工事が行われるのか、どの程度の期間休館する必要があるんだろうかとか、施設の状況がわからなければ、その事業計画とか収支計画などが作成できないと考えられますけれども、その点についてもお伺いいたします。

◯萩原参事

 文化施設につきましては、空調や給排水の設備等が相当老朽化しておりまして、将来的に改修が必要となってくる施設もございます。このため、昨年度から今年度にかけて施設の劣化度調査及び長期保全計画の作成を進めているところでございます。その上で、改めて施設ごとの公募の適否を判断し、公募する際には改修工事の必要性の有無や内容、改修時期等を示していきたいと考えております。

◯野上委員

 指定管理者になろうとする人たちが混乱することのないように、ぜひ適切な情報を提供していただければと思います。

 これまで質問をしてまいりましたけれども、文化施設は都民の貴重な財産であるとともに、東京都の文化行政、文化施策の基盤ともなるものであります。公正性、公平性、平等利用の確保はもとより、指定管理者のチェックや評価、専門性の確保や適切な指定期間の確保、改修工事の有無など、こうした論点をきちっとして整理した上で公募を行っていただきたいと思います。
 当面、都の文化施設は、歴史文化財団が運営するとのことでありますが、同財団は都が設立した公益法人であります。長年都立文化施設の管理運営に携わり、さまざまなノウハウの蓄積があることを生かしていただければと思います。

 石原知事が就任してからは、民間の経営者を理事長や館長に迎えて、さまざまな経営改革やサービス向上策の展開に努めてきたことはわかっております。これまでもさまざまな努力を続けてきたとは思いますが、今回の指定管理者制度の導入を好機ととらえ、この東京都歴史文化財団自体もみずからを改めて見直し、財団自身がさらに生まれ変わっていく必要があると思います。今後も、より一層の改革努力を期待しています。そして、この指定管理者制度を導入して、都の文化行政や文化施設がよくなったと胸を張っていえるように、今後の準備に万全を期していただければと思います。

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