平成18年文教委員会(2006年6月16日)若手アーチストの現状について等

平成18年文教委員会(2006年6月16日)


◯野上委員

 私も、同じく東京都の文化振興指針について質問いたします。
 今回公表されました東京都文化振興指針は、我が党の石川芳昭議員が平成十六年の第二回定例会の代表質問で、若手芸術家支援など文化芸術振興策や支援策を着実に前進させるため、都の条例のもとで新たな文化芸術振興方針を定め、公表すべきであるとの主張を受けて策定されたものであります。大変高く評価をしております。

 この中身なんですけれども、東京都の文化施策を語る会の提言を踏まえて、おおむね十年間を展望した東京都の文化振興の考え方や方向性を示しています。また、東京都の文化振興施策の全体像を一目瞭然でわかるような形で二六、二七で示してありますので、本当によくまとまってありますし、見やすいのではないか。内容的にも大いに意義があると考えております。

 この中で東京の文化の特徴と課題について、大きく六つにわたって掲載されておりますが、その中で特に九ページに、若手アーチストの現状についてということで、(2)に、多くの日本のアーチスト、特に若手アーチストの中には、研さんや活躍の場を求めて外国に留学したり、生活の場を移したりとしている状況も見られますということが書いてあります。今後は、都としても、東京の未来を担う才能の発掘、交流、ステップアップを都がすることが重要な施策に位置づけられておりますけれども、もう一つ、その下にも、外国から東京に来る若手アーチストはまだまだ少なく、特にプロ活動の途上にあるアーチストとなると、都内での生活は経済面などにおいて極めて困難な状況ですと書いてあります。
 我が党はかねてから、若く才能のあるアーチストの支援について充実を図るように求めてきたところであります。改めて、新進・若手アーチストの支援策について、幾つか質問いたします。
 まず、指針の施策1で取り上げられております、新進・若手アーチストの支援の意義について、改めてお聞きいたします。

◯山本文化振興部長

 新進・若手アーチスト支援の意義についてでございますけれども、急速に進行いたします高齢化と人口減少社会の到来など社会構造の変化の中で、東京が国際的な都市間競争に勝ち残り、世界の人々の交流拠点となるためには、経済だけではなく、新たな文化を創造する都市として世界から注目され、評価される必要がございます。
 それには、多様な文化施設や芸術家などの文化資源が集積する東京の特徴を生かしまして、新進・若手アーチストが集い、競い合い、世界に羽ばたくことができるよう、若い才能による旺盛な創造活動が生み出されるための環境を整備、充実することが重要であるというふうに考えております。

◯野上委員

 この若手アーチストのための環境整備を充実される一環として、現在、青山に滞在交流拠点を整備されているわけですけれども、東京都と同じように他の自治体で実際にアーチストが滞在されて制作事業を行っている、こういったレジデンス事業ですか、いろいろな事例があると思うんですけれども、東京都はどのように把握されているんでしょうか。

◯山本文化振興部長

 一般的には、アーチストを滞在、宿泊させ、作品を制作させる事業をレジデンス事業と呼んでおります。主な事例といたしましては、平成七年九月に日本で公的機関としては先駆的にアーチストを招聘し、レジデンス事業を開始した茨城県守谷市にありますアーカスプロジェクトや、平成十二年四月から事業開始いたしました京都市の京都芸術センターでのアーティスト・イン・レジデンス、平成十三年十二月から始まりました青森市のアーティスト・イン・レジデンス・プログラムなどがございます。しかしながら、限られた自治体での実施となってございます。

◯野上委員

 今、三カ所の例示をしていただきましたけれども、全国的にもレジデンス事業を実施している自治体は少ないということなんですね。そのような中で、さまざまな文化資源が集積する東京において、若手アーチスト支援のために東京都がレジデンス事業を行う意義は、とても大きいと思います。
 しかし、滞在させるといった場合、滞在に伴う経費、これは東京都が全部負担するのか、あるいはどこで負担するのかということとか、若手アーチストは多分経済的にも苦しい状況にあるでしょうし、滞在に係る経費を全額負担させるのは気の毒なような気がしております。

 一方で、一概にアーチストといっても、いろんな種類のアーチストの方がいらして、自称アーチストの中には、レジデンスを渡り歩いていくレジデンス渡り鳥みたいなアーチストもいると聞いております。これらの人たちまで、つまり、だれでも彼でも青山に滞在させるというのは問題があるのではないかと思います。当然、青山に滞在させるアーチストという以上は、質的な条件ですか、これを定める必要があると思います。
 こうした施設の利用基準やアーチストの選定基準について見解を求めます。

◯山本文化振興部長

 青山の施設は、若手アーチストを支援、育成していくため、滞在、交流の拠点として現在整備している最中でございまして、九月をめどにグランドオープンを予定してございます。
 新しい文化は、多種多様なジャンルのアーチストがそれぞれの見解についてかんかんがくがくの議論を交わし、お互いを高め合い、進化していく過程の中で生み出されていくものと考えます。このような観点から、新しい文化を生み出す可能性を秘めた、志の高い、熱心な若いアーチストが滞在の中心となると思われます。
 ほかの自治体の例も参考にしながら、ご指摘の施設の利用基準並びに選定基準を策定してまいります。

◯野上委員

 この三つの自治体の中では、レジデンス事業を行っていることにおきましては、アーチストを広く公募するような場合は、専門家による選考委員会を設置してアーチストを人選している例があると聞いています。こうした事例をぜひ参考にしていただきたいと思います。
 それから、若手アーチストを育成するだけでなく、青山に滞在したアーチストは都民を対象にしたワークショップを行うなど、その成果を広く都民にもぜひ還元させるような企画ですか、そういったことも要望しておきます。

 次に、指針の中では、青山のアートヴィレッジ以外にも、新しい拠点として、都の遊休施設を活用した制作・交流拠点を整備していくというふうになっておりますが、この施設の整備の内容についてお伺いいたします。

◯山本文化振興部長

 アートヴィレッジIN東京(仮称)は、新進・若手アーチストの旺盛な創造活動を支援するための拠点として整備するもので、青山の旧国連大学高等研究所を活用した施設に加えまして、都の遊休施設を活用し、新たに制作・交流拠点として整備する予定でございます。
 この施設は、平成十八年度に施設機能や運営方法等の基本調査を実施した後、平成十九年度以降、演劇、舞踊などの舞台芸術や、デザイン、美術などの制作・交流拠点として整備するとともに、スタッフなどの芸術文化を支える人材の育成などにも取り組んでいく予定でございます。

◯野上委員

 演劇とか舞踏、あるいは芸術やデザイン、美術、いろいろな新進・若手アーチストの支援については、先ほどの答弁で、若い才能による旺盛な創造活動のための環境整備が必要で、そのための対策をとっているということの説明をいただきました。これについては私も大変に同感でございます。ぜひ新進・若手アーチストの支援の充実をお願いしたいと思います。

 それとともに、新進・若手アーチストはもちろん、芸術文化を支える人材の育成も大変重要な取り組みと考えております。先ほどの説明では、新たな施設ではその辺の取り組みもされているということで、アートヴィレッジIN東京、これは仮称でございますが、この事業に大変大きな期待を持つことができました。今後は、アートヴィレッジIN東京が内外の若手アーチストによって大いに利用され、東京から世界に向けて創造的な芸術文化が発信されることを強く望んでおります。

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