平成19年文教委員会(2007年9月29日)教育の重要性について等

平成19年第3回定例会(2007年9月19日)&nbsp代表質問


◯野上議員


 都議会公明党を代表し、知事並びに関係局長に質問いたします。
アメリカの経済学者ケネス・ボールディングの夫人であり、国連の平和と教育活動に貢献し、ノーベル平和賞候補にも挙げられたエリース・ボールディング博士は、教育は地球全体に、そしてあらゆる生命に深くかかわるものでなければならないと、教育の重要性を訴えています。
私は、二十五年間公教育に携わってきた経験から教育の重要性を痛感しております。人を愛し、人を思いやり、そして地球環境を大切にする教育観の確立が求められております。政治、経済、社会、そして都政改革、万般にわたる改革の根底に一人一人の人間に光を当てる人間教育の視点が重要であります。
以下、そうした立場から、都政の課題について質問いたします。
初めに、税財政問題について質問いたします。
国の地方税財政制度においては、法人二税を地方の共通財源として国が一括徴収し、法人の事業活動にかかわらず、単に事業所数や従業員数に応じて自治体に配分するという案が検討されております。これが実施されれば、都は一兆円以上の減収になります。これは地方税である法人二税の国税化にほかならず、地方分権改革の流れに全く逆行します。
そもそも法人二税は、受益と負担という観点から、法人の事業活動規模に応じ自治体に税収が帰属するものであります。そのような中、東京都は、平成十八年度より都の会計制度に複式簿記・発生主義会計を導入し、本年九月にはそれに基づく財務諸表を作成し、あわせて東京都年次財務報告書を作成いたしました。この年次財務報告書を分析することにより、東京都の現時点での財政状況だけでなく、将来のインフラ整備に伴う財政需要を見通すことも可能です。
首都東京の社会資本整備は国全体の経済活動に不可欠であり、したがって、東京に本社機能を置く企業には都に対して受益と負担が発生します。こうした観点から、都は、年次財務報告書の社会資本整備費の見通しなどを挙げて、具体的で説得力のある反論を行うべきであります。知事の見解を伺います。
また、東京都は、行財政改革の成果が出て黒字財政に転換した今こそ、当初計画と実績とが大きく乖離し、いずれ事業の見直し、再構築が避けられない事業への対応を行うべきであります。
平成十九年度は、ひよどり山有料道路など二事業に取り組みましたが、多摩都市モノレールと稲城大橋有料道路は手がつけられていません。特に多摩都市モノレールについては、多摩の南北を結ぶ多摩都民の貴重な足として、なくてはならない交通機関でありますが、平成二十年秋には資金ショートするという見込みがなされております。
この状況を受け、都議会公明党は第二回定例会において早急な支援を求め、現在、都は債務の株式化や出資などの支援スキームを検討していると仄聞しております。都はこれらの支援スキームを一刻も早く実施すべきであります。見解を伺います。
次に、いわゆる負担増問題について質問いたします。
これまでも都議会公明党は、老年者控除及び公的年金控除等の見直しに伴うシルバーパスや軽費老人ホームの利用者負担額の急増に対し、都の積極的な救済を求めるなど、負担増の緩和を強く訴えてまいりました。
近年の税制改正の結果、前年に比較して収入はふえていない場合であっても、都民が公共サービスを利用する際に支払う金額がふえるケースが出てきます。その原因は、多くの公共サービスにおいて、利用者の負担額を住民税額などに連動させて算定している点にあります。例えば、福祉保健局において、難病医療費助成制度など住民税の課税の有無に応じて負担が発生するものや、税額や課税の有無に連動して負担額が大きく増減する仕組みのものが、それぞれ十施策以上に上っています。
今後も、税制変更の可能性がありますが、再び今回と同じ事態を招いてはなりません。そのため、都はこの際、低所得者への配慮を講じつつ、税額に連動しない独自の算定制度を検討するべきです。見解を伺います。
次に、年金収入の取り扱いについて提案いたします。
年金のみで生活している人たちは、みずからの年金収入の中から税金や公共サービスの利用者負担などの公的な支払いを続けています。こうした公的な支払いの増加が年金生活における可処分所得を減らす結果にもつながっており、負担義務を伴わない生活保護制度への不公平感を募らせるきっかけにもなっています。このままでは、年金のみで生活している人たちの消費の差し控えが強まるだけでなく、若年者の年金離れにも一層の拍車をかけることになります。
そこで、年金のみで生活している人たちが安心して東京に住めるように、国に先駆けて公共サービスにおける年金収入の取り扱いを見直し、負担を軽減する施策を実施すべきであります。見解を伺います。
負担増問題の最後に、平成二十年四月の施行を予定される後期高齢者医療制度について質問いたします。
この十一月にも、保険者である都内広域連合が保険料率を決定する見通しです。
現在、都内広域連合は、国の調整交付金の支給率を現行の国民健康保険制度と同じ三〇%に想定し、保険料額の試算をまとめています。そこから推計すると、例えば年収二百四十万円の場合の年間保険料は約十五万四千円となります。これは、葛飾区を例にとると、現行制度の保険料の二倍強の高額になります。加えて、現在は世帯で保険料を支払っていますが、後期高齢者医療制度においては保険料を個々人で支払うことになり、高齢者世帯の負担増は極めて深刻なものになってしまいます。
そこで、公明党は連立政権協議の中に、後期高齢者医療制度における家族の扶養親族になっている高齢者からの保険料の徴収を凍結することを盛り込みました。都も国に対して、高齢者の負担増を回避するための抜本的な見直しを求めるべきであります。
その上で、今後の国の対策が不十分なものになる場合には、少なくとも年金収入のみの世帯が多く存在する年収区分だけでも、都独自に現行保険料との差額を軽減させるための施策を検討すべきであります。あわせて都の積極的な対応を求めて、見解を伺います。
次に、低所得者対策について質問いたします。
知事は、さきの所信表明で、春以来検討を行ってきた個人都民税の軽減策について、方針を転換することを表明されました。
今、最も行政が手を差し伸べていく必要がある人たちは、額に汗して懸命に働いているにもかかわらず、低所得の状況から抜け出せない不安定な生活をしている人であります。したがって、今回の方針転換に際しては、このような状況にある人たちに対して積極的に支援を行っていくべきであります。知事の見解を伺います。
失われた十年といわれる就職氷河期に、就職したくてもできなかった人やリストラされた人が年長フリーターとして滞留し、不安定な就労を余儀なくされています。また、リストラなどでアパートの更新ができず、住むべき家がない、住むところもないので、安定した就労ができない人もいます。こうした状況からは行政による後押しがないとなかなか抜け出すことはできません。したがって、住宅の確保や就労支援など都が積極的に具体策を講じるべきであります。見解を伺います。
特に、最近社会問題となっている、リストラなどで家賃が払えなくなり、住まいを失うことによってインターネットカフェで常時寝泊まりする人に対して、都が実態把握した上で支援策を講じるべきであります。見解を伺います。
次に、今日の社会で最も重要な課題である教育問題について質問いたします。
知事は、二期八年のうちに行政改革を着実に進め、国や他の自治体に先駆けて財政再建をなし遂げました。次は、東京の未来を、日本の未来を背負って立つ子どもたちの教育に全力を挙げていくべきであります。
いじめ、不登校、校内暴力、学級崩壊など、教育の抱える課題は深刻です。親も教員も、だれもが悪戦苦闘していますが、事態はなかなか好転していません。教育の成果は一朝一夕には出ず、不断の改革の努力を続けるしかありません。
現在、学校では多様な住民要望や防犯防災対策など、かつては考えられなかった数多くの課題への対応が迫られています。その一方、少子化の速さ以上に教員定数を削減する国の行政改革のもと、一人一人の教員の負担は年々ふえ続けています。
教員が子どもと向き合える時間をふやし、学校機能を活性化させるため、国は、文科省が来年度予算の概算要求に、国庫負担による定数増と全額国庫負担による非常勤講師の配置などを盛り込み、不登校や小一問題などに取り組む方針です。
こうした国の動向を見きわめながら、都は、学校機能を活性化させるために、人的な配置を検討すべきです。例えば、少人数指導、食育推進のための栄養教諭、特別支援教育の充実のための教員が個々の力をより発揮できる環境づくりを推進していくべきであります。教育長の所見を伺います。
次に、特別支援学校に通う障害のある児童生徒の放課後の居場所づくりについて質問いたします。
都内の小学校では、放課後の居場所づくりが三分の一以上の小学校で進み、子ども同士がお互いに深くかかわり合う中で、安全・安心の居場所づくりや教育効果も上がり、高く評価をされております。ところが、特別支援学校においては、放課後、児童生徒を預かる制度は整っていません。
制度確立のために、都立の特別支援学校で放課後のある一定時間まで預かり、その後はスクールバスの遅い便で帰るか、あるいは親が迎えに来るなど、いろいろなパターンが考えられます。障害のある児童生徒の放課後の居場所づくりを検討すべきと考えます。所見を伺います。
次に、特別支援教育支援員について伺います。
普通学級に通学している児童の中には、約六%近くの割合でLD、ADHDを初め発達障害の子どもたちがいます。教室を飛び出したり、暴れたりする児童への対応で、疲れを感じている教師も多いと聞いています。
このように特別の対応を迫られたときのために、退職した校長先生などの教職員関係者、医師、地域のボランティアの方々が支援員となり、学校を支援してくれると、安心して日常の教育に取り組むことができます。この支援員の活用により成果を上げられるよう、都としても積極的に学校を支援すべきと考えます。所見を伺います。
次に、寄宿舎の再編整備について伺います。
都教委は、策定中の第二次実施計画で、江戸川養護学校、立川ろう学校の寄宿舎の廃止を打ち出しています。都民は、今回の再編により、現在寄宿舎の持つ教育的、福祉的な役割と活用が後退することを大変危惧しております。障害を持つ子どもたちが自立をし、社会参画をしていく上で、寄宿舎における生活訓練は非常に重要であります。
そこで、寄宿舎を再編整備するに当たっては、寄宿舎の福祉的な機能も含めた自立支援施設を設置し、公設民営方式などによる新たな制度を検討すべきであります。所見を伺います。
また、寄宿舎設置校と未設置校の格差をなくし、すべての児童生徒が適切かつ効果的に寄宿舎を利用できる仕組みとして、例えば長期休業期間中にサマースクールなどを開校すべきであります。所見を伺います。
次に、子育て支援策について質問いたします。
二〇〇五年には過去最低であった合計特殊出生率が、昨年は一・三二となり、六年ぶりに上昇に転じました。その背景には、児童手当の拡充や出産育児一時金の増額、仕事と生活の調和、いわゆるワークライフバランスの推進などの支援策があります。今後も少子化対策のためには間断のない子育て支援が重要であります。
そこでまず、仕事と子育ての両立支援においては、多様な保育体制の確保が重要であります。事業所内保育所の推進はもとより、都は率先してワークライフバランス社会をリードすべきであります。
まず、都は、三交代勤務が行われている都立病院などで二十四時間保育体制をモデル的に実施すべきであります。見解を伺います。
都議会は昨年、少子化対策、子育て支援は全庁的、横断的にその課題に取り組むべきと主張し、都はこれを受け、副知事を先頭に子育て応援戦略会議を設置しました。そこで、この子育て応援戦略会議について何点か伺います。
第一に、この会議においては、年々増大する子育てに伴う経済的負担の軽減策に触れていません。
まず、義務教育期の教育費についてです。全国調査では、公立学校内において必要となる年間教育費は、給食費と授業料を除けば、小学生で五万五千円、中学生で十三万円、高校生では二十三万円となっており、きょうだいが二人、三人いる家庭には大変な痛手となっています。こうした実態を踏まえて、都は学校内教育費の実態を把握するとともに、負担軽減のため、教材の共同利用や取引業者の適正な競争による価格の低減化などに取り組むべきであります。所見を伺います。
また、高校生が安定的に学業を継続できるよう、奨学金制度の充実は重要です。東京都育英資金の貸与額の増額や、所得制限の緩和、貸付人員枠の拡充をすべきであります。
私立学校については、幼稚園から高等学校に在学中の生徒の家計の収入が、倒産やリストラなどにより急激に減少した場合に、授業料を減免する補助制度があります。この制度を活用して、家計急変による退学者が出ないよう都は努めるべきであります。あわせて所見を伺います。
また、深刻なのは、子育て世帯に対する住宅問題であります。そこで、子育て応援戦略会議は、「十年後の東京」実行プログラムの中に、家賃補助、さらなる公営住宅の優先性など、子育て世帯に配慮した住宅環境の整備の具体策を重点戦略として明記すべきであります。
第二に、在宅子育て家庭支援についてであります。
戦略会議では、仕事と子育ての両立支援に重点が置かれておりますが、在宅子育て家庭にも重点を置くべきであります。ゼロから二歳児の在宅子育て世帯は全体の七四%に上っております。特に都市部は、核家族化により、在宅子育て家庭の母親は一人で子育てに追われる結果、孤立化、子育てに対する不安感が大きくなっております。こうした在宅子育て家庭に対しても的確な支援策を講じるべきであります。
問題は、こうした課題に対して、会議を構成する各局が従来の施策の枠を乗り越えていないことであります。したがって、今後策定される重点戦略においては、局の縦割りと従来の施策の枠を排し、子育てに対する総合的かつ戦略的な施策を打ち出すことが重要です。そのためには座長である山口副知事の大胆なリーダーシップが不可欠です。見解を伺います。
子育て支援の最後に、一点申し上げます。
長年にわたる都議会公明党の主張を受けて、知事は義務教育期の子ども医療費助成の拡充を英断され、いよいよ十月一日からスタートします。それでも現状は区市により格差が生じています。そこで、子ども医療費について、都内全域で一日も早く中学三年生まで医療費ゼロを実現することを強く要望いたします。
次に、周産期医療について質問いたします。
奈良県でことし八月、救急車を呼んだ妊婦が十一の病院から受け入れを断られ、死産するという悲劇がありました。この妊婦にはかかりつけの産科医がおらず、その結果、周産期医療システムでの対応ができなかったということが指摘されています。
東京都は、二十二の周産期母子医療センターを確保していますが、救急搬送において、病院決定までに多くの連絡をしなければならなかった事例も報告されています。また、かかりつけの産科医の体制が十分整っていない地域もあります。
妊産婦に対し、安全・安心の医療を提供していくためには、まず身近な地域で日常的に健診、診察を受けることのできるかかりつけ医の確保や、医師の連携システムをつくり上げていくべきであります。
一方、経済的な理由で十分な妊産婦健診を受けられないため、結果としてかかりつけ医を持てない人がいるのも事実であります。この問題は本来、基礎的自治体の課題ですが、都としても妊産婦健診や出産費用の無料化に向けた新たな検討を進めるべきであります。あわせて所見を伺います。
また、周産期医療におけるもう一つの課題は、産科医や小児科医などの人材の確保であります。今、都内の病院で産科医、小児科医不足により診療科が閉鎖するなど、少子社会にあって深刻かつ緊急の課題が生じています。
こうした中、産科、小児科医の人材確保に努めることはもとより、助産師の活用も重要であります。
本年四月一日施行の医療法等の改正により、助産所は産科、小児科病院との連携が義務づけられました。しかし、実際にはさまざまな要因により連携は進んでおりません。したがって、都はこの法改正に対応すべく、必要な情報提供を含めた指導を行うべきであります。見解を伺います。
また、限りある医療人材や施設を有効に活用するためには、医療機関の役割分担が極めて重要です。高度な総合診療基盤を備えた都立病院が、一般の医療機関では対応困難なハイリスク分娩や超未熟児に的確に対応していく必要性は、これまでにも増して高まっています。都立病院は、こうした産科、小児科などの人材確保を含め体制整備に全力を注ぐべきであります。見解を伺います。
次に、がん対策について質問いたします。
国のがん対策推進計画は、取り組むべき重点事項として、放射線療法及び化学療法の推進、治療の初期段階からの緩和ケアの実施、がん登録の推進の三つを掲げています。
まず、放射線療法に関して伺います。
欧米では、がん患者の約六〇%が放射線治療を受けていますが、日本では外科手術が中心で、放射線治療は二五%程度にとどまっています。専門家によると、がんの種類によっては放射線治療は手術以上の効果があります。また、放射線治療自体には痛みが全く伴わず、副作用も少ないため、患者に過度な負担を与えません。
都は現在、がん対策推進計画を策定中ですが、少なくとも都のすべての二次医療圏のがん拠点病院等で標準的な放射線治療が受けられる体制を確立すべきです。所見を伺います。
なお、関連して申し添えれば、放射線治療の中でも、がん細胞にピンポイントで照射できる陽子線治療は、手術が困難な肝臓がんや肺がん、頭頸部のがんに特に効果があるといわれており、都内における早期の陽子線治療実施に向けた取り組みを求めたいと思います。
第二の緩和ケアの推進も非常に重要です。
緩和ケアとは本来、がん患者、家族の苦痛軽減、療養生活の質の向上のため、治療の初期段階から並行して実施するものであります。残念ながら、こうした認識は都民にほとんど浸透しておらず、緩和ケアの普及を阻害しています。そこで、緩和ケアが早期に実施されるよう、都は普及啓発に努めるべきと考えます。見解を伺います。
また、緩和ケアを提供する側の医師への知識や技術の普及が欠かせません。国は十月初旬にも、国立がんセンターで緩和ケア推進のための第一回指導者研修を開催する方針です。都としても早期に研修を実施する体制を確立すべきであります。所見を伺います。
都では現在、今後の地域がん診療の連携拠点となるがん診療連携拠点病院の国指定に向け準備を進めています。この拠点病院は、専門的ながん医療の提供にとどまらず、地域のがん医療の連携拠点、情報提供、相談支援の実施など、中核的な役割を担います。
そこで、この拠点病院設置を機に、すべての患者、家族が安心してがんに立ち向かえるよう、例えば、どの病院に行けばどんな医療を受けられるのかといった、いわばがん医療連携マップを提示すべきです。所見を伺います。
また、拠点病院が担う広範な役割のうち、患者、家族にとって特に重要なのが、院内に設置が義務づけられている相談支援センターです。ここでは、治療にかかる経済的負担の相談や、セカンドオピニオンのコーディネートなどが期待されます。厚労省は来年度の概算要求で相談員の増員を求めていますが、都としても人材確保を含めた財政措置を行うべきです。あわせて、患者、家族の相談に体験者の立場からアドバイスしてくれる患者会にも協力を求めるべきです。それぞれ見解を求めます。
都の住宅政策について質問いたします。
東京の住宅状況は、都心部で価格の高い分譲マンションが次々と建設される一方で、都営住宅入居募集の倍率が年々高くなり、百倍を超えることも珍しくないなど、住宅困窮者の増加傾向により住宅格差現象ともいうべき状況が発生しています。
特に、民間賃貸住宅に住んでいる方は、年金生活者、高齢者、子育て世代、障害者等の世帯も多く、収入に占める家賃負担の大きさ、住居空間の狭さ、耐震化、バリアフリー化など多くの課題や不安を抱えながらも、思うように転居できないのが実態であります。こうした相談が数多く寄せられ、事態の深刻さをうかがわせております。世界都市東京で、住宅困窮者がふえ続けるような事態は断じてあってはなりません。
都の住宅政策は、ことし三月改定の住宅マスタープランをもとにさまざまな施策が進められておりますが、住宅困窮者の増加傾向の要因を明確にするとともに、今後の住宅政策においては、住宅困窮者対策を政策の中心に据えて取り組むべきであります。見解を伺います。
次に、都民への住宅供給政策の根幹である都営住宅のあり方について伺います。
都営住宅の整備に関しては、都は年間三千戸の建てかえと年間千九百戸のスーパーリフォームの推進を柱としておりますが、このペースでは、建てかえが終了するまで約七十年もかかり、耐用年限を過ぎる住宅が発生するという事態も招きかねません。
したがって、建てかえについては、中長期的な視点から総合的に判断し、新たな整備手法を取り入れていく必要があると考えます。見解を伺います。
また、建てかえに際しては、間取りの工夫など、現行の型別供給の見直しを検討するとともに、地域の実情に応じて、入居希望の多い地域の供給戸数をふやすなど、将来の入居倍率の低減化を図るべきと考えます。見解を伺います。
このほか、都営住宅では、共益費の不払い問題、住民同士のトラブル等、多くの問題を抱えているにもかかわらず、住民の高齢化で自主的な運営や対処が限界に来ているのが実態です。こうした問題については、自治会の負担を軽減するために、都は積極的に責任を果たすべきです。見解を伺います。
次に、都営住宅の使用承継について伺います。
本年八月に、利用機会の公平性を確保する観点から、原則として名義人の配偶者のみとする使用承継の見直しが施行されました。ただし、公明党が昨年の第二回定例会で要望したとおり、弱者に配慮するため、高齢者、障害者、病弱者については三親等まで承継できるとの例外規定が置かれました。
しかしながら、障害や健康上の問題を持ちながら住宅の承継ができず、行き場を失いかねないとの相談が相次いでおります。新制度が施行されて約一カ月が経過しましたが、例外規定である高齢者、障害者、病弱者の取り扱いについては、形式だけでなく、実情を踏まえて対応していく必要があると考えます。都の見解を伺います。
また、そのためには、相談窓口の充実が必要であります。今後、実情を見きわめる間は特段の丁寧な対応を心がけ、相談窓口のさらなる充実をすべきであります。見解を伺います。
今、東京は、十年後を目指して、成熟都市東京、世界都市東京の構築に向けて都市機能や社会基盤の整備に力を注いでおりますが、都民の暮らしの基盤である住宅政策がおろそかになってはなりません。住まいの安心があってこそ、真の成熟した都市といえます。
公共、民間すべての住宅ストックを活用し、住宅困窮者対策、快適な住環境整備、耐震化、木密地域対策など、改めて住宅政策を総合的に推進していく必要があると考えます。知事の見解を伺います。
次に、建築基準法の改正について質問いたします。
去る六月二十日に、耐震偽装事件を教訓として、再発を防止し建築物の安全・安心を確保するため、建築確認検査を厳しくした改正建築基準法が施行されました。
構造計算書の二重チェックや審査期間の延長、また、申請書類に不備があった場合は、審査段階での修正を認めず再申請をさせるなど、大幅な改革でありましたが、その内容が十分に周知されていないため、建築確認の申請が滞っている状況にあります。
その結果、住宅着工の件数が大幅に減るといった弊害が出ております。国土交通省が発表した七月の新設住宅着工戸数は八万千七百十四戸と、前年同月と比べて二三・四%減という、十年ぶりの減少となりました。こうした状況は、景気の低迷など、大きな社会問題になりかねません。早急な対応が必要であります。
そこでまず、都の建築確認の動向、推移の状況と、確認申請の激減に伴う住宅着工戸数減の影響について伺います。
次に、その対応策についてであります。
特に、より都民に身近な住宅の確認審査に対して過度に慎重になっている設計業者と区市や民間の確認検査機関に対して、早急に改正の内容について周知と情報提供を図るなど、都として対応すべきであります。見解を伺います。
さらに、今回の法改正で導入された構造計算適合性判定は、耐震偽装の再発防止のかぎとなる制度であります。円滑に運用するためにも、都内の判定体制を拡充すべきであります。見解を伺います。
次に、震災対策について伺います。
都は、本年五月、東京都地域防災計画の見直しを行い、十年以内に達成する減災目標として、死者の半減、避難者の減、外出者の四日以内の帰宅などを設定いたしました。これは公明党の主張に沿うものであり、評価をいたします。
都は、現在、東京都震災対策事業計画の中で、二十年度から二十二年度までの計画を策定中と聞いております。そこで、具体的な課題について伺います。
第一に、阪神大震災の教訓を踏まえ、死者を半減するための最も重要な対策である住宅の耐震化についてであります。
都は、住宅の耐震化率を十年以内に約七六%から九〇%にする方針を明らかにしましたが、そのためには、今後三十四万戸の改修が必要となります。しかしながら、木造住宅の耐震診断は、十八年度実績と十九年度予算を合わせても二千五十一件、耐震改修はわずか五百二十二件であります。耐震化が進まない原因は、住民の高齢化と経済的負担の大きさなどが挙げられます。
そこで、都は、こうした原因を踏まえて、現行制度の活用や組み合わせ、さらに、例えば親子二世代住宅に対して耐震助成金の割り増しをするなど、新たな制度を創設し、目標を達成すべきであります。所見を伺います。
第二に、木造住宅密集地域の不燃化についてであります。
都は、十年以内に、木造住宅密集地域の重点整備地域については不燃領域率を六〇%にするとしております。しかしながら、木造密集地域は敷地が狭小であったり接道していないことから、自力での建てかえや更新ができないのが実情です。
そこで、可能な地域においては、民間の活力により地域全体の再開発を行い、強力に不燃化を推進すべきであり、都としても支援策を講じるべきであります。所見を伺います。
第三に、本年七月十六日に発生した新潟県中越沖地震についてであります。
私たち都議会公明党議員団は、先般、新潟県柏崎市を中心に被災現場を精力的に調査するとともに、柏崎市長及び柏崎商工会議所の代表者と率直な意見交換をしてまいりました。
その中で、現地の方々が最も深刻に、そして真剣に訴えておられたのが柏崎刈羽原発の風評被害の拡大です。原発が火災炎上した、あるいは放射能を含んだ水が海に漏れたなど、週刊誌の報道は余りにも事実をゆがめ、誇張したものでありました。その結果、柏崎市のホテル、旅館のキャンセルは約五万七千人に上り、県の試算では、風評被害の総額は、観光、農林水産関係を中心に約二千億円ともいわれております。
こうした柏崎市の抱える風評被害について、柏崎刈羽原発の最大の電力消費地である東京の知事としての率直な見解を伺います。
第四に、気象庁がことし十月一日より一般への提供を開始する緊急地震速報についてであります。
この緊急地震速報は、適切に活用されれば被害の軽減に役立つ一方、速報を受信した人がとるべき行動がわからなければ、かえって混乱や損害等が発生するおそれもあります。
そこで、都は、これまで以上に都独自の周知、広報を推進すべきであります。
加えて、初期微動のP波から強い揺れのS波までの数秒から数十秒の間に適切に行動できるよう、訓練をしておく必要があります。
仮に東海、東南海地震が発生した場合、東京で強い揺れを感じるまで約五十秒かかるといわれております。都は、来庁者の協力を得ながら、都庁舎全体でこの五十秒間の防災訓練をぜひ実施すべきであります。所見を伺います。
以上をもちまして代表質問を終わります。

○石原知事 野上純子議員の代表質問にお答えいたします。
税財源をめぐる国への対応についてでありますが、新たな公会計制度による今回の年次財務報告書では、都が所有する建物や橋梁などの減価償却累計額が二兆円を超えていることが明らかになりました。都市インフラの更新には膨大な財源が将来必要であることが改めて示されました。
ちなみに、都有資産の減価償却累計額は、建物に関しては一・三兆円、橋梁などが〇・九兆円、計二・二兆円という額でございます。
東京の都市インフラは、日本を牽引する首都としての機能や全国的な物流機能などを支えるものでありまして、その利益は国全体が享受しているものであります。
これらの的確な更新なくしてさらなる成長はあり得ないにもかかわらず、国は、困窮する地方を救うという美名のもとに、都から財源を奪おうとしているのが現況であります。これは、税の原理にももとる極めて近視眼的な発想に基づくものでありまして、結局は、我が国全体の活力をそぐ愚策中の愚策であると思います。
国の理不尽な動きに対して、今後とも、具体的な数値も示しながら、都議会の皆様と力を合わせて強力に対抗していきたいと思っております。
次いで、多摩都市モノレールへの支援についてでありますが、多摩都市モノレールは、一日十一万人が利用する、多摩の南北を結ぶ広域的な公共交通機関として、大きな大きな役割を担っております。
会社は既に営業黒字となってはおりますが、他の軌道系の三セクと異なりまして、車両基地用地の取得が会社の負担となったことなどから、結果的に厳しい経営状況にまだあります。
このため、都は、会社のさらなる経営努力を前提に、新たな出資などによる抜本的な支援策を適切な時期に実施しまして、沿線市及び金融機関と連携しながら、将来の経営基盤を確固たるものにしていきたいと思っております。
次いで、低所得者の方々への支援についてでありますが、額に汗して懸命に働いても、低所得の状況から抜け出せないまま不安定な生活を余儀なくされている方々を積極的に支援すべきとの考え方は、全く同感でございます。
こうした方々に対しては、一人一人の状況に合ったきめの細かい多様な支援を行うとともに、将来に向かって社会的、経済的自立を確固たるものとできるよう、その努力を後押ししていくことが必要となってきております。
今後、方針を転換しまして、公約を進化させるというためにも、今後、都議会とも相談をしながら、具体的な支援策がそれぞれ効果を発揮できますように、十分な事業費を措置して、区市町村とも連携して的確な施策を積極的に講じていきたいと思っております。
次いで、住宅政策の推進についてでありますが、都民が真に豊かさを実感できる社会を実現し、東京がさらに高いレベルでの成熟を遂げるためには、居住の場としても魅力的な都市としていくことが不可欠でありまして、「十年後の東京」においても、成熟した都市にふさわしい豊かな住生活の実現を図るための施策に取り組むこととしております。
今後、住まいの安全・安心の確保や、世代を超えて住み継がれる住宅まちづくりの推進など、社会経済状況の変化に的確に対応しつつ、住宅政策を総合的に展開していきたいと思っております。
次いで、新潟県の中越沖地震についてでありますが、東京にとっても重要な電力供給地である柏崎市と刈羽村では、今回の地震により甚大な被害が生じました。
都は、発災後直ちに警視庁や東京消防庁の部隊を派遣しましたほか、医療救護や水道復旧の応援、物資の提供など、さまざまな支援を行ってまいりました。
また、原子力発電所の被災に伴うけしからぬ風評被害が広がりまして、被災地の方々の生活を高圧的に圧迫していることも承知しております。
今月十日には、義援金の贈呈とあわせて、被害状況を把握するために谷川副知事を派遣いたしました。
ご指摘のように、ともかくも昨今のメディアのあり方は、他人の迷惑を顧みることのない、堕落というか、行き過ぎといいましょうか、許しがたいものがあります。
正しい情報が伝わることで風評被害がなくなり、一日も早く復興が進むよう強く希望するとともに、都は、今後とも必要な支援を行っていきたいと思っております。
他の質問については、副知事、教育長及び関係局長から答弁いたします。

○山口副知事 総合的な子育て支援策の推進についてでございますが、子育て支援につきましては、子育てと仕事が両立できる雇用環境の整備を初め、課題は広範囲にわたっておりまして、福祉、労働、住宅、教育など、幅広い取り組みが必要であると認識しております。
このため、私が座長をしております子育て応援戦略会議におきましては、こうした課題について短期間で集中的に検討するために、課題ごとに三つの部会を設置いたしまして、局の組織、事業の垣根を超えて知恵を出し合った上で戦略を練っていくように指示したところでございます。
現在、各部会では、重点戦略策定に向けまして、ワークライフバランスの推進のほか、保育所や学童クラブの整備など、働きながら子育てできる環境の整備にとどまらず、子育て世帯に配慮した住宅環境の整備、在宅で子育てをしている家庭へのサービスなども含めて、さまざまな角度から検討を行っております。
今後、「十年後の東京」で示しました、社会全体で子育てを支援するという目標の実現に向けまして、全庁を挙げて強力に推進してまいります。

○中村教育長 六点の質問にお答え申し上げます。
まず、学校機能を活性化させる人的配置についてであります。
都教育委員会はこれまで、いわゆる義務標準法や国の教職員定数改善計画を踏まえ、少人数指導や特別支援教育などの充実に向け、必要な教職員定数の改善を図ってまいりました。
お話のとおり、文部科学省は、先月、教職員定数の改善や新たな非常勤講師の配置を図るため、概算要求を行いました。今後、財務省等との調整を行うと聞いております。
都教育委員会は、都独自の仕組みを前提とした栄養教諭につきまして、モデル地区を設置するなどして計画的に導入を図るほか、国の動向を見きわめつつ、きめ細やかな指導や個に応じた指導の充実など、都におきます教育課題に対応していくため、必要な人的配置の工夫、改善に努めてまいります。
次に、特別支援学校に通う児童生徒の放課後の居場所づくりについてであります。
特別支援学校においても、児童生徒が放課後に地域の人々や学生など、外部の人材や異なる学年の児童生徒などとの幅広い交流を通して豊かな人間関係を築いていくことは、大変重要であると認識しております。
今後、特別支援学校での放課後の居場所づくりを推進するため、保護者のニーズや、実施に当たっての解決すべきさまざまな課題などを整理しまして、実現可能な仕組みづくりを具体的に検討してまいります。
次に、通常の学級に在籍する発達障害の児童生徒に対する支援についてであります。
現在、特別な教育的支援が必要な児童生徒に対し、学級支援員や学習補助員として外部のさまざまな人材を活用するなど、サポート体制を整備している区市町村がふえている状況にございます。
都といたしましても、こうした区市町村の取り組みに対し、例えば、支援員の効果的な配置や活用に関します先進的な実践などを調査、収集して情報提供を行うとともに、退職教員などの人材活用のあり方につきましても検討してまいります。
次に、寄宿舎の再編整備についてであります。
東京都特別支援教育推進計画におきましては、通学困難を理由とする入舎生が著しく減少していることを踏まえまして、平成二十七年度の計画終了時点で十一舎を五舎にするという、適正規模と配置のための再編整備策を示し、現在、実施しているところでございます。
生活訓練の実施につきましては、教育課程に位置づけられる指導の一環として、寄宿舎の有無にかかわらず、今後とも、計画的、継続的に繰り返し実施していくこととしております。
今後は、障害のある児童生徒の在宅支援事業の充実も含め、関係機関との連携を図ってまいります。
次に、寄宿舎施設の活用についてであります。
障害のある児童生徒の自立と社会参加に向けた計画的、継続的な生活指導や宿泊行事等の充実を図るため、長期休業期間中におきまして寄宿舎施設を活用することは有意義な取り組みであります。
都教育委員会では、平成十九年度の夏季休業中に、特別支援学校の生徒による宿泊体験を二校の寄宿舎施設において行ったところであります。
今後、こうした長期休業期間中の寄宿舎施設の利用について、児童生徒の実態を踏まえ、学習合宿などの活用方法を検討し、その拡充を図ってまいります。
最後に、小中学校の学校内教育費の負担軽減についてでありますが、保護者の負担軽減の観点から、各学校においては、学校徴収金の効率化、適正化に向けた取り組みを常に行っていく必要がございます。
都教育委員会としましては、区市町村教育委員会と連携して、小中学校における学校徴収金の実態を把握し、学校徴収金の軽減に取り組むモデル的な事例などを情報提供することなどによりまして、支援を引き続き行ってまいります。

○安藤福祉保健局長 お答えを申し上げます。
まず、福祉サービスの利用者負担についてでございますが、個々の福祉サービスの利用者負担の設定に当たりましては、負担と給付のバランスや住民間の公平性を確保した上で、利用者の所得も勘案して定めているところでございます。
具体的な基準の設定については、納税者や利用者から理解が得られる客観性、合理性を備えたものとする必要がございます。このため、法令や国の類似制度などで広く用いられている住民税課税の有無や税額などを基準として負担額を設定してございます。
一方で、都は、低所得者への配慮及び激変緩和の観点から、税制改正を理由としてサービスの利用者負担が大幅に増加する場合などについて、都独自の負担軽減策等を実施してまいりました。
今後とも、国の社会保障制度や税制の動向も見定めつつ、サービスを利用する都民の生活実態を踏まえ、適切に対応してまいります。
利用者負担における年金収入の取り扱いについてでございますけれども、福祉サービスの利用者負担につきましては、負担と給付のバランスや住民間の公平性を確保した上で、利用者の負担も勘案して定める必要があることに加えまして、世代間の公平性にも十分配慮しなければなりません。
その上で、各種の利用者負担の設定に当たりましては、制度の目的にふさわしい適切な負担となるよう、高齢者の生活実態の把握も含め、検討してまいります。
続きまして、後期高齢者医療制度についてでございますが、現在、広域連合では、保険料の設定や健康診査を初めとする保健事業について検討を行うなど、制度の円滑なスタートに向けて準備を進めてございます。
保険料につきましては、医療費及び保健事業費などの推計や被保険者数の見込み、さらには国における後期高齢者医療の診療報酬体系にかかわる審議状況など、さまざまな要素を勘案し、広域連合が、本年十一月の議会において決定される料率をもとに算定する予定でございます。
都としては、今後も引き続き、広域連合の検討状況を把握するとともに、国の動向を十分見きわめながら、適切に対応してまいります。
続きまして、妊産婦のかかりつけ医の確保や医師の連携システムについてでございますが、定期的な妊婦健診や健康管理等に関する相談、指導を行うかかりつけ医を持つことは、安全な出産を迎えるために大変重要でございます。
現在、区市町村におきまして、妊娠届け出時や母親学級などの場を活用いたしまして、健診の受診を勧めるとともに、かかりつけ医を持つよう指導、啓発をしてございます。
また、都としても、地域の診療所と比較的リスクのある分娩を扱う病院が緊密に連携できるよう、平成十七年度から病診連携システムのモデル事業に取り組んでおりまして、今後、この成果を踏まえて、よりよい連携システムを検討してまいります。
続きまして、妊婦健診等の無料化についてでありますが、出産前後の諸費用については、医療保険各法に基づきまして、ほとんどの保険者において、三十五万円またはこれを上回る額の出産一時金を支給しております。平均的な出産費用に見合うものと考えております。
また、妊婦健診につきましては、本年一月に、公費負担回数を二回から五回程度に増加する旨の国通知が出されました。
これを受け、都は、来年度から都内全域で公費負担の回数増が図られますよう、現在、健診の検査項目や実施体制等について、実施主体であります区市町村や医療機関、学識経験者などとともに検討を行っているところでございます。
次いで、助産所に対する指導についてでございますが、本年四月の医療法改正におきまして、助産所は、これまでの嘱託医に加えまして、産科及び小児科がある医療機関を嘱託医療機関として、来年三月までに確保することが義務づけられました。これは、妊娠、出産に伴う異常への対応に万全を期するために行われたものでございます。
今後、助産所の運営が適正、円滑に行われるよう、医療機関に関する情報提供を含め、必要な指導、支援に努めてまいります。
次に、がん対策に関しましてお答えを申し上げます。
まず、放射線治療体制の拡充についてでございますが、我が国におけるがん治療は、長く手術療法が主流を占めておりましたが、ご指摘のとおり、患者にとって負担の少ない放射線療法の普及は、都民にとって有用なものと考えております。
このため、放射線治療についても都民に適切に提供できるよう、がん診療連携拠点病院等におきまして、治療機器の整備や専門医等の人材の育成を図る必要があり、現在、東京都がん対策推進協議会において検討いただいております。この結果を東京都がん対策推進計画に反映させ、放射線治療の都民への普及を推進してまいります。
続きまして、緩和ケアの普及啓発についてでございますが、緩和ケアは、がん患者が抱える身体的な苦痛や精神的な苦痛の軽減を図るものであり、治療の早期段階から緩和ケアを受けられることが望ましいと考えております。
このため、緩和ケアに関する知識の普及が図られますよう、お話のございました相談支援センターの活動を積極的に支援するほか、インターネットなどを通じ、都民にわかりやすく情報を提供してまいります。
次いで、緩和ケアの研修についてでございますが、がん治療の早期から適切に緩和ケアが提供されるためには、医療従事者への普及啓発が重要でございます。
都は、これまで、病院や診療所医師等を対象に研修を実施してまいりましたが、ご指摘の国における取り組みを踏まえまして、今後、がん診療連携拠点病院によります地域の医療機関に対する研修を拡充するなど、緩和ケアの知識、技術の一層の普及を図ってまいります。
続きまして、医療機関の情報提供についてでございますが、がんは、発生した部位やその進行の度合いによって治療法が異なることもございまして、都民が、適切な医療機関において、病状に即した治療を受けられるようにすることが必要でございます。
このため、地域がん診療連携拠点病院を中心といたしました医療機関相互の連携体制構築に努めるとともに、相談支援センターにおいて、地域の医療機関の専門分野等の情報を収集し、患者や家族に提供してまいります。
また、今後、東京都医療機関案内サービス「ひまわり」におきまして、医療機関のより詳細な診療機能情報を都民にわかりやすく提供してまいります。
最後に、相談支援センターについてでございますが、センターが実施をする相談や情報提供の質を高めますために、相談員のカウンセリング技術の向上や、相談に必要な情報の収集、提供など、相談支援体制の充実に向けた支援のあり方について幅広く検討してまいります。
また、患者、家族の立場に立って、その悩みや心配にきめ細かく対応するため、患者会の協力を得まして、がんの経験者によるピアカウンセリング事業を本年十月より開始をいたします。

○大原知事本局長 二点のご質問にお答えを申し上げます。
まず、低所得の方々への新しい施策についてでございます。
新しい施策を講じていくに当たりましては、まず、一人一人の実態を踏まえた適切な支援策を提供できるよう、生活の改善から能力向上、就労までをカバーした相談体制が必要であるというふうに考えております。
相談の結果を受けまして、例えば、住居の確保など生活改善のための資金の貸し付けを行いますとともに、安定した就労に結びつけるためには、職業能力の向上を図る必要がございますことから、訓練の受講を奨励し、一定期間、生活の心配をすることなく訓練に専念できるよう、経済的な支援を行うなどの施策を講じる考えでございます。
今後、都議会の意見を伺いながら、具体策を詰めてまいります。
次に、インターネットカフェで寝泊まりをする人に対する支援策についてでございます。
厚生労働省の調査によりますと、さまざまな事情によって住居を失い、寝泊まりのためにインターネットカフェ等を週半分以上常連的に利用している方が、全国で五千四百人、そのうち、東京二十三区内には二千人程度いるというふうに推計をされております。
意欲があるにもかかわらず、こうした状況を脱することができない方々には、一人一人の状況に合わせた、きめ細かい支援を行う必要があると考えております。
そのために、インターネットカフェ等で常連的に宿泊している方々に対し、こちらからも出向きまして相談に応じ、就労支援や生活支援など、生活の実態を踏まえた的確な支援策を講じてまいります。

○秋山病院経営本部長 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、都立病院などにおけます二十四時間保育についてでございますが、三百六十五日二十四時間体制で医療を担っております病院職場におきましては、医師、看護師を初めとする女性職員が出産後も安心して働き続け、また、復職できる勤務環境を整備することが重要であると認識をしております。
このため、都立病院などにおきましては、これまで、院内に保育室を開設するとともに、一部の病院では、保育ニーズに対応いたしまして、今年度から保育時間を夜間まで延長するなど、仕事と子育ての両立に向けた支援に努めているところでございます。
ご指摘の二十四時間保育は、医療に従事する女性職員の確保と定着のためにも有効な方策の一つというふうに考えておりまして、今後、都立病院など各病院の需要を踏まえた上で、その実施に向けて検討を進めてまいります。
次に、都立病院における周産期医療の体制整備についてでございますが、ご指摘のとおり、都立病院は、一般の医療機関では対応が困難な医療を提供する役割を担っておりまして、とりわけ産科等において医師や施設が減少しているという現況におきましては、この役割を発揮することが一層重要になっているというふうに考えております。
このため、都は現在、複数の都立病院で周産期医療を行うとともに、平成二十一年度には新たに、府中キャンパスに母体胎児集中治療管理室を備えた高度な総合周産期母子医療センターを整備することとしております。また、来年度、東京医師アカデミーを開講し、計画的な医師の育成を図るとともに、勤務条件の改善を進めるなど、医師の確保、定着対策にも取り組んでいく考えでございます。
こうした取り組みを通じまして、今後とも安全・安心の医療体制の整備を図りまして、都立病院が果たすべき役割を着実に推進してまいります。

○渡辺生活文化スポーツ局長 二点の質問にお答えいたします。
まず、東京都育英資金についてでありますが、勉学意欲がありながら経済的理由により修学が困難な高校生に対する東京都育英資金につきましては、国の高校奨学金が移管された平成十七年度に、教育を受ける機会をさらに拡充する観点から、貸付人員枠を拡大するとともに、自宅外通学者につきましては、その単価を増額いたしました。
お話しの制度の拡充につきましては、都民のニーズに応じ、必要とする高校生が育英資金を借り受けられるよう、今後とも検討してまいります。
次に、家計急変世帯への授業料減免制度についてでありますが、都は、私立学校が家計状況または家計状況の急変という理由により生徒の授業料を減免した場合に、減免額の三分の二を学校に対し補助し、保護者の経済負担の軽減を図っております。
今後とも、各学校においてこの補助制度が積極的に活用されるよう、都としてもさらに働きかけてまいります。

○只腰都市整備局長 初めに、住宅政策についてのご質問にお答えいたします。
まず、住宅困窮者に対する住宅政策についてでございます。
東京都における居住水準は改善の傾向にある一方で、民間賃貸住宅において、高齢者や小さい子どものいる世帯等が入居の際に選別を受けるなどの実態も見られることから、こうした状況に留意しつつ、都民の居住の安定を確保していくことが重要な課題であると認識しております。
都といたしましては、これまでも、都営住宅において高齢者や子育て世帯等に対する優先入居などを実施するとともに、入居制限を行わない民間賃貸住宅の供給促進などに取り組んでまいりました。
今後とも、公共住宅に加え、民間住宅も含めた重層的な住宅セーフティーネットの機能強化に向けて、さらに施策を総合的に推進し、都民の居住の安定確保に取り組んでまいります。
次に、都営住宅の建てかえの推進についてでございます。
約二十六万戸ある都営住宅につきましては、都民の住宅セーフティーネットとしての機能を保持するため、管理戸数の抑制を図りながら、計画的に建てかえを実施することとしております。
このため、現在、昭和三十年代以前に建設した住宅を中心に、老朽化の度合い、居住者の移転先の確保の状況、地域のまちづくりとの連携などを勘案しながら建てかえを進めております。
今後とも、都営住宅の建てかえについては、こうした考えに立つとともに、中長期的な視点も踏まえつつ、着実に進めてまいります。
次に、都営住宅の建てかえの進め方についてでございます。
都営住宅の建てかえに際しましては、居住者にとって住みやすい間取りとなるよう工夫しながら、世帯構成に応じた適切な規模の住宅を供給しております。
また、建てかえで建設する戸数につきましては、住宅ごとの立地条件や従前の戸数、敷地の形状などを勘案し決定しております。
今後とも、地元区市とも連携しながら、地域の実情を踏まえ、着実に建てかえを進めてまいります。
次に、都営住宅の団地運営についてでございます。
都営住宅の住まい方につきましては、入居の際、基本的なルールを説明するとともに、随時、居住者向けの広報紙で周知をしております。
住民同士のトラブルなど、居住上のさまざまな問題につきましては、都が管理を委託している住宅供給公社が自治会等と連携をとって対応しており、今年度、職員を増員しまして強化を図ったところでございます。都におきましても、状況に応じて、法的な措置を含めて対応しております。
今後とも、自治会等からの相談にきめ細かく対応するなど、都営住宅の適切な管理に努めてまいります。
次に、都営住宅の使用承継でございます。
今回の制度の見直しでは、都営住宅の利用機会の公平性を確保するために、名義人が死亡した場合等の使用承継を原則として配偶者に限ることといたしました。その際、高齢者、障害者、病弱者につきましては、居住の安定に配慮することが必要なことから、例外規定を設けたところでございます。
施行に当たりましては、使用承継できない場合の退去猶予期間につきまして、従来、原則三カ月としていたものを六カ月に延長するなど、さまざまな工夫を行ってまいりました。
今後とも、例外規定につきましては、居住の安定に配慮しながら、使用承継の申請者の状況を十分把握し、適切に運用してまいります。
次に、相談窓口のさらなる充実についてでございます。
今回の使用承継制度の見直しを円滑に実施していくため、これまで、居住者向け広報紙、ポスター、チラシなどにより制度の周知を図ってまいりました。
現在、窓口においては、制度に関する相談や、住宅供給公社、都市再生機構などの賃貸住宅の募集情報の提供、区市町村の福祉窓口の紹介などをきめ細かく行っております。
今後とも、居住者からの使用承継に関する相談につきましては、一層丁寧な対応に努めてまいります。
続きまして、建築基準法の改正についてのご質問でございます。
まず、建築確認の状況と住宅着工戸数減の影響についてでございますが、都の確認件数は、改正建築基準法の施行直後の七月は、前年同月比で約三割減少いたしました。これは、耐震偽装事件の再発を防止するため、建築確認の仕組みが大幅に変更されましたが、新たな制度の内容の確定から施行までに十分な時間がなかったため、設計者等が的確に対応できずにいる状況が生じているものと思われます。
このような状況が継続すれば、社会経済活動や都民生活に支障を来す懸念もあることから、都といたしましても、新たな制度の円滑な運用を図っていくことが重要であると認識しております。
次に、確認申請の減少への対応策でございますが、都では、改正法の施行前から、説明会の開催や、申請窓口における事前相談の実施など、新たな制度の周知徹底に努めてまいりました。
また、これらの取り組みに加え、施行後には、国とも連携して、制度の運用についてのQアンドAを作成し、ホームページで公表するとともに、電話相談窓口を開設し、設計事務所等からの問い合わせにも迅速に対応しております。
さらに、今後は、区市と連携して、実務者向けの講習会をきめ細かく開催するなど、都民に身近な住宅の確認申請についても的確に対応してまいります。
次に、構造計算適合性判定の体制拡充でございます。
適合性判定は、構造計算書を建築主事等の審査とは別に、第三者機関において、専門的な資格を持つ判定員がチェックするもので、耐震偽装の再発防止策の根幹をなす制度でございます。
全国で判定員が不足しているといわれる中で、都では既に十二の法人を判定機関として指定してございます。さらに、国が行う判定員の増員に合わせまして、判定機関を追加指定し、体制を拡充することとしております。
今後とも、構造計算適合性判定を初めとする建築確認制度を適切に運用し、建築物の安全・安心の確保に全力で取り組んでまいります。
最後になりますが、震災対策についての二点のご質問にお答えを申し上げます。
住宅の耐震化でございますが、「十年後の東京」で示した住宅の耐震化の目標を達成するためには、耐震化の機運を高める仕組みや、都民が耐震化に取り組みやすい環境の整備など、耐震化を加速する方策について総合的に検討することが重要でございます。
このため、地震が怖くない東京の実現を目指して、ことし六月に設置しました建物の耐震化推進会議におきまして、全庁を挙げて検討を進めておりまして、年内にも効果的な施策を取りまとめてまいります。
加えて、安価で信頼できる耐震技術の普及など、既に実施中の施策についても充実強化を図り、住宅の耐震化を促進してまいります。
次に、木造住宅密集地域における不燃化の推進についてでございます。
都は、防災都市づくり推進計画に基づき、重点整備地域を指定し、木密事業や新たな防火規制などとともに、街路や公園などの基盤整備事業を推進しております。とりわけ、都市計画道路の整備と沿道のまちづくりを進める沿道一体整備事業や、街区単位で建物の共同化と公共施設の一体的な整備を行う防災街区整備事業など、民間開発を誘発する事業手法が、不燃領域率を早期に向上させるためには有効でございます。
今後とも、これらの事業のより一層の展開を図っていくとともに、地域特性に応じまして、事業手法を効果的に組み合わせるなど、木密地域の安全性の向上に積極的に取り組んでまいります。

○押元総務局長 緊急地震速報についてのご質問にお答えいたします。
都はこれまで、防災展や事業者セミナーなどの機会を通じまして、都民や事業者に対し、緊急地震速報システムの仕組みや活用方法などについて情報提供をしてまいりました。
今後は、気象庁が十月に本格実施することを踏まえまして、テレビ、ラジオの提供番組や広報紙、ホームページなど、都のさまざまな広報手段を活用し、周囲の状況に応じて適切な危険回避行動がとれるよう、一層の周知を図ってまいります。
また、都庁舎における自衛消防訓練の機会をとらえ、緊急地震速報システムを活用した避難訓練を年内に行い、地震への備えを強化するとともに、都民への啓発にも役立ててまいります。

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