平成22年文教委員会(2010年11月4日)
◯野上委員
十一月二日にも、教育庁の質疑の中で、子どもの体力不足について指摘をさせていただいたところなんですけれども、現代社会というのは、大人も子どもも体を動かす機会がかなり減っていると思います。
スポーツ振興局の皆様は、スポーツを多分一生懸命していらっしゃる方が多いのではないかと思っておりますけれども、子どもたちの日ごろの生活ではゲームなどの室内遊びが増加し、屋外での遊び場も減少しております。ボールを使って遊ぶことができる公園も少なくなっております。
先日、葛飾区でも、高いフェンスで囲ったボール投げとかボールけりができる公園が整備されました。
ところが、ボールを高く投げて近所のガラスを割ってしまったと。その割ったボールもとりに来ない、謝りにも来ないということで、しばらくそこでボール投げとかボールけりが禁止になるという、せっかくボールを使って遊びができる公園ができたにもかかわらず、コンセプトが台なしになったということがございました。
子どもたちが日常的にスポーツをするとなると、例えばサッカーチームに入るとか少年野球に入る。リトルリーグとか。あるいは、水泳とか体操教室のようにお金をかけて、事業者に払って運動を定期的にするとか、意識して行わなければなかなか運動ができないのが現状ではないかと思っております。
学校教育では、今、週三時間の体育の授業、それから、家から学校までの歩くだけが運動というような状況の方も多いのではないかと思っております。ですから、運動をしっかりしている子どもたちと、そうでもない子どもたちの差がどんどん開いてきているのが現状ではないかと思っております。
国民が広くスポーツを楽しむことによる効果としては、達成感とか満足感、それから精神的なストレスの解消、また、先ほども桜井委員がいわれたように医療費の削減等が考えられると思っております。
青少年の健全育成にもスポーツが大きな役割を果たしておりまして、社会性が身につくとかルールを守る、仲間意識が育つとか、礼に始まり礼に終わる、礼が身につくとか、さまざまなよさがあると思います。
また、トップアスリートとしてのオリンピックのような国際競技に日の丸を背負って活躍する子どもたちも、人々に夢や希望を与えるものだと思っております。
質問に入りますが、東京で五十四年ぶりに国体が開催することが正式に決まりました。それが三年後に迫ってきている中で、東京都は東京のアスリートが活躍できるよう、さまざまな取り組みをしてきていると聞いております。
先日も千葉国体が無事終了して、その中で剣道とか体操等で千葉県の人が一位になったと。ゴルフでも活躍ができたとか、千葉国体なので千葉県民の活躍も目立ったというふうに聞き及んでおります。
いよいよスポーツ祭東京二〇一三も三年後に迫り、結果が出せるような取り組みが必要ではないかと思っております。その取り組みの中の目玉になるのが、昨年度から開始した東京都ジュニアアスリート発掘、育成事業であると思います。その育成の考え方と方法についてお伺いいたします。
〇板垣スポーツ施設担当部長
東京都ジュニアアスリート発掘、育成事業についてでございますが、これはすぐれた運動能力を有するジュニア選手を発掘いたしまして、ボート、ボクシングなど七つの競技から各人に適性のある競技を選択してもらいまして、三年後の国体や将来のオリンピックなどで活躍できるよう育成するもので、昨年度から開始しているところでございます。
初年度は、都内の中学二年生の中から体力テストや面接などにより一期生の選抜を行いました。今年度は、選抜された二十二名のジュニアアスリートが七競技の体験などを経まして、それぞれ一つ競技を選択し、現在、競技ごとの専門的なプログラムを実施しております。
このうち、都では、特に、ジュニアアスリートが人間的にも成長し、子どもたちのあこがれ、目標となるような人材として成長することを目指し、コミュニケーションスキルや自己分析力など、スポーツマンとしての資質を高めるスポーツ教育プログラムを導入するとともに、一流のオリンピック選手の指導を行っているトレーナーによるトレーニング指導を直接行うなど、他県では見られない取り組みを実施しております。
この二年間にわたる選抜と育成を経まして、高校進学後、ジュニアアスリートを各競技団体へと引き継いでいくこととしております。
◯野上委員
来年の高校進学後、ジュニアアスリートを各競技団体へと引き継いでいくということでございましたけれども、この競技団体との連携の仕方と育成についてお伺いいたします。
〇板垣スポーツ施設担当部長
育成プログラムが終了いたしまして、競技団体に引き継がれたジュニアアスリートにつきましては、当該団体と連携しながら、ジュニア特別強化事業を活用いたしまして、強化練習、強化合宿などで継続して育成を図ってまいります。
また、当該選手を医科学サポート事業の対象選手として身体能力や動作などを科学的に測定し、トレーニング内容の改善に生かすなど、本事業による育成が終了した後も競技団体と連携し、支援してまいります。
◯野上委員
都は、東京の選手の競技力向上に向けて医科学的なサポートも展開していくということでございますが、その取り組み内容と効果についてお伺いいたします。
〇板垣スポーツ施設担当部長
都では、二十一年度からスポーツ分野におきます医科学的な分析、指導の体制が充実した日本体育大学、日本女子体育大学、国士舘大学の三大学との連携によりまして、大学と連携した医科学サポート事業を開始しております。
本事業では、高校生アスリートを対象に、専門の設備やスタッフを備えた大学で身体能力や動作等を測定、分析し、その結果をもとにトレーニングメニューの充実や栄養摂取指導などのアドバイスを行っております。サポート対象選手の中から、本年は千葉国体において優勝選手も出るなど、事業の効果も徐々にあらわれてきております。
また、この大学連携と並行いたしまして、国体候補に対するメディカルチェックや競技団体へスポーツドクター、栄養士の医科学スタッフの派遣なども行っております。
これら医科学的なサポートを複合的に行うことによりまして、三年後に東京で開催される国体などに向け、東京のアスリートの競技力向上を推進してまいります。
◯野上委員
この新しいスポーツ理論のもと、アスリートの健康管理、栄養管理等を含めて総合的にケアできる体制を整備していっていただきたいと思っております。
次に、地域スポーツクラブについて質問させていただきます。
身近な地域でスポーツを気軽に楽しむことは、健康にとっても不可欠なものと考えております。
私自身、民間のスポーツクラブに入っておりますが、九月、十月は残念なことに一度も行けない状況でございました。いつでも時間がとれると行くことができるという環境をつくっておくこと自体がすばらしいことではないかと自分で納得しております。
都は、東京都スポーツ振興基本計画の中で、平成二十八年度までに都内に百の地域スポーツクラブを設立するということになっておりますけれども、現在の設立状況についてお伺いいたします。
〇安藤スポーツ事業部長
都民が身近な地域でスポーツに親しめる場として地域スポーツクラブの果たす役割は重要でございます。都はこれまで、地域スポーツクラブの設立を支援し、その育成に努めてきたところでございます。
その結果、現在、三十二の区市町村で八十の地域スポーツクラブが設置されたところでございます。
◯野上委員
葛飾区も第一号のスポーツクラブとして、こやのエンジョイくらぶというのが設置されております。これは数回視察に参りましたけれども、いろいろな運動も取り入れておりました。新しいスポーツも取り入れておりましたが、私はその中で印象的だったのがマージャンです。マージャンを取り入れておりました。
これは、初心者の方も教えてもらって、覚えていて楽しいということで、参加している人にお話をお聞きすると、マージャンはお金を絶対かけないということを原則として、頭を使うので、認知症予防効果が非常に高いということで始められたようです。
スポーツクラブ自体の効果としては、新しい仲間とかお友達がふえたとか、歩いていくので、近いところにあるので、外出の機会がふえて健康になったとか、体調がよくなって深く眠れるようになった、睡眠がとれるようになったとかあります。
特に高齢者の方にとってみても、スポーツクラブに加入することによる効果は大きいのではないかと思いました。
設立までは東京都の財政的な支援がありましたが、設立した後は会費を集めての自主自営の運営が迫られていくわけでございます。地域スポーツクラブの設立と安定的な運営に向けて、都の支援の状況について伺いたいと思います。
それともう一つ、現在三十二区市町村で設立されているとのことで、これはやっと半分を超えたわけでありますが、残りの三十区市町村で地域スポーツクラブの設立を今後進めていくわけでございますが、これからの取り組みについてもあわせてお伺いいたします。
〇安藤スポーツ事業部長
先ほどもご答弁いたしましたが、都ではこれまで、スポーツクラブクラブマネジャー養成講習会等による地域スポーツクラブの設立、運営に当たります人材の養成や、また、行政関係者向けのセミナーを実施するなど、地域スポーツクラブの設立、運営を支援したところでございます。
これらの取り組みを引き続き実施するとともに、今年度から新たに広域スポーツセンターに地域スポーツクラブ支援アドバイザーを二名配置いたしまして、未設置区市町村を中心に、きめ細かに支援を行っているところでございます。
今後もこれらの取り組みをさらに強化しまして、都内全域で地域スポーツクラブの設立、育成を一層推進してまいります。
◯野上委員
ぜひきめ細やかに支援をしていただきたいと思っております。
次に、東京マラソンについてお伺いいたします。
いろいろなマラソンが世界にありますけれども、日本人の初心者ランナーが一番多くするのがホノルルマラソンとか、伝統があって人気が高いのがボストンマラソンとか、ニューヨークシティーマラソンは日本人に大変人気があるとか、シカゴとかロンドンマラソン、ベルリンとかいろいろな、世界の中でも多くのマラソンがあるわけですが、世界の中でも、東京マラソンが本当に世界一有名なマラソン大会としていけるような今後の配慮が必要ではないかと思っております。
東京マラソンでは、企業からの協賛金の収集をしているそうですが、その方法についてお伺いいたします。
〇安藤スポーツ事業部長
東京マラソンでは、主催者でございます東京マラソン財団と広告代理店との間で一定額の協賛金収入を広告代理店が保証する契約を締結しております。
その契約に基づきまして、広告代理店がスポンサーとなる企業と折衝し、協賛金を集めているところでございます。
◯野上委員
もう一つ大きな目玉になってくると思うのが、チャリティー枠だと思っております。
知事も十五日の記者会見の中で、来年の二月の第五回東京マラソンでは、参加料に加えて、一定以上の寄附金を払えば出場できるチャリティー枠を新設し、参加者を千人増員したいという、そういうような発表をされておりました。
レースを運営する東京マラソン財団は、寄附金の額とか募集方法など、まだこれからということで、今後発表があるとは思っておりますが、この東京マラソンは非常に人気がありまして、昨年、私も申し込みましたが、落ちました。
ことしは申し込んでいないんですけど、非常に倍率が高いということで、ぜひこういうチャリティー枠等を盛り込んでやっていただきたいと思うんですけれども、具体的にチャリティー枠について、どのようになっているのかお聞きしたいと思います。
〇安藤スポーツ事業部長
今回、東京マラソンが導入しようとするチャリティー制度は、東京マラソンに対する社会の高い関心を活用しまして、社会に貢献する仕組みをつくるというものでございます。
どのようなチャリティーを構築するかにつきましては、東京マラソンが目指してきた海外のメジャーな大会の例などを参考にしまして、十二月ごろの発表に向けて、大会を主催します東京マラソン財団が、現在、鋭意検討しているところでございます。
◯野上委員
例えば、ロンドンマラソンなんかでは、参加者は大体約四万人近いそうなんですけれども、その中の一万五千人ぐらいをチャリティー枠として設けているそうなんですね。一人当たり大体平均二十万円ぐらいを募集して、それをユニセフなどに寄附しているということです。
知事も、世界最高峰の大会へと進化させる礎を築いていきたいというふうに話しておられましたけれども、ぜひ東京マラソンがゴールドレベルになるように、こうしたチャリティー枠を設けていろいろと貢献しているということが大事ではないかと思っております。
次に、障害者のスポーツについて質問させていただきます。
障害者のスポーツでは、例えば障害者バスケットボールとか、非常に迫力があって激しいスポーツで感動するわけでございます。
先日、私も障害者の方の水泳のお手伝いをさせていただきました。これは、プールに入りますので、障害者の方に寄り添って水泳をやったわけですけれども、大変な労力を要するということがわかりました。また、危険性も伴うということもあります。
障害者スポーツの振興のためには、それを支える人材の育成が重要であると考えております。都として、この人材育成をどう取り組んでいくのか、お伺いいたします。
〇安藤スポーツ事業部長
障害者が身近な地域でスポーツに親しめるようにするためには、地域で障害者スポーツを支える人材を確保していくことが重要であると考えております。
今後、東京都障害者スポーツ協会などの関係団体や区市町村とも協力しまして、地域で障害者スポーツの普及を図っていく上でキーマンとなる人材の育成に取り組んでいく決意でございます。
◯野上委員
キーマンとなる人材の育成というのは非常に大事なことだと思っておりますので、ぜひしっかりと取り組んでいただければと思っております。
障害者スポーツの普及を図るためには、障害者がスポーツを楽しめる施設やスポーツ教室に関する情報など、障害者スポーツに関する情報を発信していくことが重要であると考えますが、今後、情報発信の方途についてお伺いいたします。
〇安藤スポーツ事業部長
障害者の方がスポーツに親しめるためには、障害者スポーツの活動の場所の各種情報について容易に入手できることが必要でございます。
このため、障害者がスポーツを楽しむことができる施設やスポーツ教室に関する情報を収集し、これらの情報をインターネットを活用して積極的に発信し、障害者がスポーツを始めるきっかけづくりに努めるとともに、スポーツの継続的な実践を促してまいります。
あわせまして、障害者スポーツを広く都民にもPRいたしまして、障害者スポーツに対する理解が深まるよう取り組んでまいります。
◯野上委員
ぜひ情報発信の方に力を入れていただければと思っております。
最後になります。スペシャルオリンピックスについてお伺いいたします。
スペシャルオリンピックスというのは、知的発達障害者による世界規模のスポーツの祭典であります。四年に一度、世界大会が実施されております。
この世界大会に向けた国内大会や地区大会には多くの人が参加をしております。選手もそうですが、それを支えるボランティアの数も大変多いものです。
幅広い障害に対応してスポーツの振興を図る上で、スペシャルオリンピックスとの協力が重要であると考えますが、これまでの取り組みについてお伺いいたします。
〇安藤スポーツ事業部長
都は、スペシャルオリンピックス日本の東京地区組織が主催します競技会や、また皇居の周りを回るウオーク・アンド・ランフェスティバルなど、各スポーツイベントを後援して行っているところででございます。
また、二〇〇七年に上海で開催されましたスペシャルオリンピックス夏季大会では、日本での聖火到着式を都庁都民広場で実施するなど、スペシャルオリンピックスに協力してまいりました。
これからも引き続きまして、スペシャルオリンピックスの活動に協力してまいります。
◯野上委員
ぜひ積極的にこのスペシャルオリンピックスにも協力していただきたいことを申し述べて、質問を終わります。