平成19年公営企業委員会(2007年2月28日)東京水道について等

平成19年公営企業委員会(2007年2月28日)



◯野上(純)議員

 東京水道は都民生活と首都東京を支えるライフラインであり、将来にわたって安全でおいしい水を安定的に供給するためには、次世代を見据えた幅の広い視点での事業運営が不可欠です。こうした認識のもと、何点か質問いたします。

 まず、大規模浄水場の更新についてですが、都の浄水場の約七割は昭和三十年代後半から四十年代に整備されたと聞いております。しかも、その更新時期が、約十年後の平成三十年代に集中的に到来するということを聞いております。

 昨年の夏ですか、呉市で断水が十日以上も続いて、市民の方たちが大変困った様子が、生々しくテレビで報じられておりました。約三万世帯、七万人の人が不自由な生活を強いられたということで、まだ記憶に新しいかなと思っております。

 これは、施設の老朽化に対する日ごろからの備えが肝心です。計画的な方針が安定給水に不可欠でもあります。さきの本会議では、浄水場のすべてを更新するとなれば、約一兆円の事業費が必要という発言がございました。

 そこで、まず一兆円算出の方法を、具体的に教えていただければと思います。

◯鈴木企画担当部長

 更新と新設とは単純に比較することはできませんが、最も建設年次の新しい平成五年に完成いたしました三郷浄水場の建設費を用いて算出したものでございます。具体的には、三郷浄水場の建設費を施設能力の日量百十万立方メートルで割り返しまして、一立方メートル当たりの単価を算出し、これに都が現在保有する全施設能力の日量六百八十六万立方メートルを乗じますと、一兆円となります。

◯野上(純)議員

 一立方メートルの単価に六百八十六万立方メートルを掛けたということですね。安定供給の観点から、更新の必要性は理解できます。でも、この一兆円を更新するということで、例えば、二十年かけて単純に更新したとしても、一兆割る二十年で、毎年五百億円もの経費がかかることになります。これは大変膨大な経費です。しかも、浄水場だけの更新だけでこれだけの経費なので、この更新に当たっては、何らかの工夫をしていかなければならないと思っておりますが、どんな工夫をして更新していくのか、伺います。

◯鈴木企画担当部長

 当局では、これまでも、配水管などの現況を調査いたしまして、調査結果をもとに計画的に更新を行うなど、効率的な施設整備を行ってまいりました。今後、大規模浄水場が集中的に更新時期を迎えるに当たりまして、アセットマネジメント手法を導入して施設の機能や劣化状況を長期的に評価いたし、浄水場の延命化や計画的な更新による事業の平準化を行ってまいります。

 さらに、更新に当たりましては、膜ろ過方式などの新しい技術を導入いたしまして、より高性能でかつ効率的に維持管理できる施設に整備していくこととしております。

 こうした取り組みによりまして、最も費用対効果の高い浄水場の管理、運営を行ってまいります。

◯野上(純)議員

 アセットマネジメント手法を使うということですね。安定供給を確保しながら、施設の延命化により事業も平準化する。しかも、経費が最少化するということは、大変結構なことだと思います。ぜひ積極的な取り組みを行って、仮にも安易な料金値上げをすることのないよう強く要望して、次の質問に移ります。

 次に、公立小学校の水飲み栓直結給水化モデル事業について伺います。

 以前の東京の水道水は、余りおいしいとはいえませんでした。特に金町はおいしくなかったですね。しかし、最近は、高度浄水処理の導入などの水道局の取り組みにより、随分おいしくなったと感じます。にもかかわらず、ペットボトルの普及などにより、一般的に蛇口から水を飲まなくなっていると聞いております。水道局として、小学校の水使用の実態をどう把握しているのか、お伺いいたします。

◯増子給水部長

 武蔵工業大学が中心となって、小学生の学校における水使用に関する全国のアンケート調査を実施しておりますが、これによりますと、回答のあった六百十七校のうち、約九〇%の学校では熱中症予防等のため水分補給の指導を行っておりまして、約四〇%の学校で自宅から水筒を持参させているということであります。

 都におきましては、昨年から小学校を訪問して水道キャラバンを行っておりますが、この中で先生に対して児童の水使用に関するアンケート調査を実施いたしましたところ、回答のあった六十四校のうち、約三〇%の学校で水筒を持参しているということでありました。

◯野上(純)議員

 せっかく水道局が高度浄水処理とかをして安全でおいしい水をつくって供給しているにもかかわらず、蛇口から水を飲まない、水分補給のため児童が水筒を持参をしているということで、このことについて水道局では、子どもが直接水を飲まない原因を、どうとらえているんでしょうか。

◯増子給水部長

 小学校では、近年、児童数の減などに伴う水使用量の減少や、土日などの休み期間に水を使わないことなどにより、貯水槽の中で水が滞留し、特に夏場におきましては水温の上昇や水質の劣化を招くことがございます。このように、浄水場でつくられている安全でおいしい水が小学校の蛇口まで直接届いていないということが、児童が直接水を飲まない原因の一つになっていると考えております。

◯野上(純)議員

 私も現場の教員をやっていたときに、月曜日の朝は水道の蛇口を全部開いて三十分ぐらい出しっ放しにしておきました。それぐらい土日の間に結構よどんでいるというのか、おいしくない水に変わっているということがあると思うんです。

 また、水筒での水分補給ということで、確かに小学校でもかなりな学校が水筒持参をしてきております。だけど、この中身に関しては、なかなか何を入れてきているのかわからないということで、中にはジュースだったり、ポカリスエットだったり、水じゃなくてお茶だったりとか、いろいろなものが入っているので、特に甘いものを入れてくると、虫歯とか食育の観点からも問題だと思いますし、また、水筒の洗浄が不十分だと不衛生になる場合もあります。

 私たちが子どものころは、ちょっと年齢が皆さん違うので、私たちといっても一くくりじゃないんですけれども、のどが渇けば蛇口から水を思い切り飲んだという経験があると思います。さっきのアンケートの結果を聞くと、昔のよき習慣がなくなってきているといわざるを得ないと思います。

 こうした中で、先日説明があった東京水道経営プラン二〇〇七によれば、公立小学校の水飲み栓直結給水化モデル事業を実施するということです。子どもたちが蛇口から直接水を飲めるということは、大変喜ばしいことです。

 ところで、私は葛飾区の出身ですが、調べてみると、葛飾区では四十九の公立小学校がありますが、水飲み栓を直結化している学校はありません。

 そこで、都内の公立小学校では、どれぐらいの学校が直接給水化を実施しているのか、まず、その状況についてお伺いいたします。

◯増子給水部長

 各区市町の教育委員会への調査によりますと、小学校の給水方式は、全面的に直結給水になっている七校を除きまして、貯水槽水道方式となっております。このうち校舎や校庭の水飲み栓の一部が直結給水となっている学校もございますけれども、その数は七十校程度でありまして、都営水道区域全体の約千三百校の六%程度となっております。

◯野上(純)議員

 都内全体を見ても、いまだにほとんどの学校が貯水槽を使用しているということがわかりました。一方、数は少ないですけれども、既に蛇口を直結化している学校があるということです。その学校関係者や子どもたちはどのように受けとめているのか、興味があります。

 そこで、既に直結化している小学校での評判がどうなのか、伺います。

◯増子給水部長

 既に直結化した小学校での話を聞きますと、児童や先生方からは、おいしい、冷たい水が出るということで、上々の評判でございます。先生方からは、児童が直接蛇口から水を飲むようになり、大きく変わったと聞いております。

 また、休み明けに貯水槽の滞留水を排出するということが不要となりまして、児童に節水の指導がしやすくなったということでございます。

◯野上(純)議員

 直結した小学校では、水質、おいしさの面から非常に評判がよいということですね。また、児童に節水を指導しやすくなったというのは、私の教職員経験からすると、非常に興味深いものがあります。

 しかし、小学校は震災時の避難場所に指定されております。水の確保の観点からも、単純に直結化をしていいのかという見方もあると思います。

 また、授業時間中に直結化工事を実施すると、工事の騒音などで児童が授業に集中できなくなることもあると思います。

 そこで、この直結化に当たり、震災時の水の確保や、児童の学習環境について、どのように配慮しているのか、伺います。

◯増子給水部長

 本モデル事業は、校舎内や校庭の水飲み栓を貯水槽系統から切り離しまして、直結給水に切りかえる工事を行うものでございます。トイレ等につきましては、これまでどおり貯水槽系統から給水し、貯水槽を残すことを基本としておりますため、災害対策としての貯留機能が確保されることになります。

 また、児童の学習環境に配慮して、工事を夏休みなどの休み期間に実施するとともに、事業を進めるに当たっては、区市町の要望に柔軟に対応してまいりたいと考えております。

◯野上(純)議員

 蛇口から直接水が飲めるということ、それから、災害対策、また、児童の学習環境を考慮し工事は夏休みにする、そういった配慮に対しては評価をいたします。

 直結給水化の工事により、蛇口から直接おいしい水が飲めるようになることは、本当に大切なことだと思っております。本モデル事業を起爆剤として、小学校だけでなく、広く直結給水方式の普及促進を図って、蛇口から直接水を飲むという日本の水道文化を守り、継承していっていただきたいと思います。

 次に、国際貢献について伺います。

 さきの代表質問においても、我が党の石井幹事長が、水道局の国際貢献について質問いたしました。その中で、水道局はこれまでもJICAと協力をしながら、アジア諸国はもとよりアフリカなど広く世界各国への職員の派遣や研修の申し入れを実施しており、今後も漏水防止などの技術協力を通じて、アジアを初めとする国外の水道界への積極的な貢献を果たすと答弁がございました。

 私も、予算特別委員会において、漏水防止対策の効果について検証いたしました。徹底した漏水防止に取り組むということで、昭和三十年代には二〇%以上あった漏水率が、平成十七年度末には四・二%まで低下しており、水源開発の抑制や管路の耐震化、環境負荷の低減など、一石三鳥の効果があったといえます。

 一方、アジアに目を向けると、ほとんどの都市で漏水率は、いまだ数十%であります。ちょっとパネルなんですけれども(パネルを示す)、ちなみに、フィリピン、マニラでは漏水率が六二%、それから、インドネシアのジャカルタでは五一%、半分漏水してなくなっているという。マレーシア、クアラルンプールでは四三%、ベトナムのホーチミンでは三八%、カンボジアのプノンペンでは二八%が漏水をしている。非常にもったいないことだと思っております。

 こうした漏水防止の技術を積極的に発信していくことが国際貢献につながります。しかし、東京水道には、漏水防止の技術以外にも、世界的に見て高水準の技術がまだまだあるかと思います。

 そこで、東京水道が海外に発信していくことができる技術としてどのようなものがあるのか、お伺いします。

◯鈴木企画担当部長

 先生ご指摘のとおり、当局はこれまでもJICAなどの関係機関と連携いたしまして、職員の派遣や研修生の受け入れを通じて、漏水防止技術など、さまざまな先進的な技術を海外に向けて発信してまいりました。今後も当局の保有する技術のうち、漏水防止を初めといたしまして、管路の更新、高度浄水処理、水運用、水質検査など、水道システムとして重要な技術を積極的に海外に発信していくことができると考えております。

◯野上(純)議員

 漏水防止技術を初めとして、高度浄水処理、水運用、水質検査など、東京水道は多様な技術を保有しております。より積極的にそうした技術を世界に発信していくことが、世界の水道のレベルアップにつながると考えます。

 水道局の研修・開発センターは、少数精鋭時代を迎えるに当たり、技術継承と人材育成を目的に設立されたと聞いております。研修・開発センターは実習施設を備えており、また、ことしの秋には、国際会議であるISO/TC二二四の最終総会が開かれるなど、国際貢献に当たって重要な役割を担うことができると思います。

 そこで、国際貢献を推進していく上で、研修・開発センターを具体的にどのように使っていくのか、お伺いいたします。

◯小山職員部長

 世界におきます水道事業の状況を見ますと、ただいまお話のありましたように、とりわけアジアの水道事業者にとりましては、漏水率の低減や浄水処理技術などの高度な水道技術の習得が喫緊の課題となっております。平成十七年度に開設いたしました研修・開発センターは、全体で約五百人の研修生を収容できる教室を有するとともに、配管接合、漏水検知、浄水処理などのさまざまな実習フィールドを備えるなど、こうした海外の水道事業者からの要請にこたえる能力を十分に有しております。

 このため、アジアを初めとする海外からの研修生を積極的に受け入れ、東京水道の多様な技術を身をもって学ぶ場として、研修・開発センターを有効に活用していく考えであります。今後ともこうした取り組みを行い、アジアに開かれた研修・開発センターとして、これまで東京水道が培ってきた技術を積極的に世界に発信してまいります。

◯野上(純)議員

 今後、東京へのオリンピック招致に向けても、この高い技術を有する東京水道の国際貢献は重要な役割を果たすものと考えます。研修・開発センターなどの施設を最大限有効に活用し、東京水道の高い水道技術を積極的に世界に発信していただきたいと思います。

 これまで、大規模浄水場の更新、公立小学校の水飲み栓直結給水化モデル事業など、将来を見据えた施設の展開について質問してきましたが、冒頭申し上げたように、将来にわたって安全でおいしい水を安定的に供給するためには、次世代を見据えた幅の広い視点での事業運営が不可欠です。

 そこで、最後に、局長にその決意を伺って、質問を終わります。

◯御園水道局長

 都の水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える重要なライフラインでございまして、これまで施設の耐震化やバックアップ機能の強化などを着実に進め、給水安定性の向上を図るとともに、高度浄水処理の導入を推進するなど、安全でおいしい水の供給に努めてきております。

 しかしながら、都の水源は渇水に対する安全度が低いなどの課題をいまだ抱えていること、現在の施設の中には老朽化により機能が低下しているものがあることなど、施設水準のさらなる向上が必要となっております。また、蛇口離れが進行するなど、水道水に対してより一層の安全・安心が求められております。

 こうしたことから、渇水時にも対応できる水源の確保や、バックアップ機能の強化はもとより、首都直下地震を踏まえた一層の水道施設の耐震化、集中的に到来する大規模施設の更新に備えた取り組みなど、安定給水の確保に必要な施策を推進してまいります。

 また、より安全でおいしい水を供給していくため、引き続き高度浄水処理の導入に取り組むとともに、公立小学校の水飲み栓直結給水化モデル事業など、貯水槽水道対策等を一層効果的に進めてまいります。

 こうした水源から蛇口までの総合的な取り組みを次世代を見据えて計画的に推進し、将来にわたって安全でおいしい水の安定的な供給に努めてまいります。

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