平成20年厚生委員会(2008年11月18日)自殺対策について等

平成20年厚生委員会(2008年11月18日)


◯野上委員

 
 最初に、視覚と聴覚の重複した障害のある盲ろう者、この通訳介助者養成事業について質問いたします。
 全国に約二万二千人いらっしゃるということですが、多分東京にはこの十分の一ぐらいの方がいらっしゃるんじゃないかと思っております。ことしの四月十日に、我が党から事業に対する支援の申し入れを行った結果、今年度から通訳介助者養成事業への補助が実現したところでございます。
 このことは、ことしの第二回定例会において、現在厚生委員会委員長の東野議員から確認させていただいております。その際、あわせて通訳介助者の資質の向上を図るための養成講習内容の充実、安定的な支援についても要望させていただいておりますが、その後の状況についてお伺いいたします。

〇松浦障害者施策推進部長

 盲ろう者通訳介助者養成事業でございますけれども、近年、医療、保険、年金などの社会保障制度など、こういう諸制度や生活環境などに大きな変化が生じてまいりました。このような状況を踏まえまして、より高い資質を持つ通訳介助者の養成が急務というふうに判断いたしまして、本年六月に開始しました養成講習から、派遣団体の自主事業を補助事業にいたしました。
 この養成講習におきましては、通訳介助者の資質の向上につなげるため、スキルアップ研修を増設するなどカリキュラムの充実を図るとともに、講習時間数につきましても、昨年度四十五時間であったものを今年度は六十時間以上といたしまして、社会状況の変化に対応できる講習内容の充実が図られているところでございます。
 さらに、安定的支援の一環といたしまして、通訳介助者の派遣単価につきましても、昨年度まで一時間千三百五十円であったものを、今年度から千五百円に引き上げているところでございます。

◯野上委員

  資質の高い通訳介助者を養成していくことは、盲ろう者にとって、社会の中で能力を発揮していくために重要なことだと思います。盲ろう者がもっと社会の中で活動していくためには、派遣時間をふやしていくことも必要であると思います。
 我が党では、ことしの十月七日、通訳介助者の派遣時間の拡大、それに伴う必要経費への財政支援などについて申し入れを行ったところです。このことについて、局の対応についてお伺いいたします。

〇松浦障害者施策推進部長

 盲ろう者通訳介助者の派遣時間についてでございますけれども、盲ろう者の方の社会参加を推進、促進していくためには、派遣時間の拡大は必要だと判断いたしまして、今年度二万三千六百六十時間という予算規模でございますが、七千二百八十時間増の三万九百四十時間に拡大を図れるよう、二十一年度予算要求に盛り込んだところでございます。

◯野上委員

  我が党の申し入れを受け、盲ろう者にとって当面の切実な問題に対して、迅速に対応していただくことに大変感謝しております。
 我が都議会公明党は、平成六年に盲ろう者への支援の必要性をいち早く議会で取り上げ、通訳介助者の養成及び派遣事業に対して都の支援を実現してきた経緯もあります。今後も盲ろう者への支援の充実に全力で取り組んでまいりたいと思います。
 次に、生活安定化総合対策事業について質問いたします。
 都では昨年九月に、低所得者に対して生活相談、それから就労支援などを行う新たな支援策を打ち出し、私も平成十九年第三回定例会代表質問において低所得者対策について質問をいたしました。インターネットカフェで生活をする、寝泊まりをする人に対しても、都が具体的な支援をしていくというような答弁を得たところでございます。
 特にきょうは、チャレンジ支援貸付事業について質問したいと思います。
 都議会公明党がことし三月の予算特別委員会において、東京都に平成二十年度から三カ年、約三百億円を投じて低所得者生活安定化プログラムについて充実と継続を求めたことに対して、答えが出たものでございます。
 地域で相談支援を行う区市町村との協議が進められて、非常に短い期間の中で区市町村窓口の開設に向けた準備が行われたと聞いております。また、安定した就労に結びつけるための職業訓練、それと受講奨励金の支給等を行う就職チャレンジ支援事業とあわせ、受験生を抱える低所得者世帯に対しては、学習塾代、大学受験料の貸し付けを行うチャレンジ支援貸付事業が新たに支援メニューとして加えられ、ことしの八月から生活安定化総合対策事業として開始されているところでございます。
 この窓口の整備など、現在の事業の進捗状況はどうなっているでしょうか。

〇芦田生活支援担当部長

 生活安定化総合対策事業は、一定所得以下の方を対象に、生活や就労に関する相談に応じ、職業訓練の提供等による正規雇用に向けた支援や、中学三年生、高校三年生を対象とした学習塾費用の貸し付け等を行うものですが、相談窓口は各区市町村に開設しております。
 本年八月の事業開始当初には、四十の区市町において窓口が開設され、その後、十月までには六十二の全区市町村において窓口が開設されたところでございます。また、区市町村窓口で生活相談を受けた後、職業訓練の申し込みや訓練受講に当たり、相談、カウンセリングを行う就職チャレンジ支援相談室は、八月の事業開始にあわせ都内に四カ所開設されております。

◯野上委員

  今回の事業開始に当たっては、福祉部門と労働部門が連携し、さらに区市町村との協議を重ねながら都が独自に新しい支援の仕組みをつくり上げるということで、非常に意義のある取り組みであると思います。
 また、学習塾代、それから大学受験料の貸し付けにつきましては、高校や大学等に入学すれば償還免除ということですね。せっかく立ち上げた制度ですので、支援を必要とする方々に一人でも多く利用していただくことが期待されます。
 しかし、現時点では、利用者の数が余り多くないという話も聞いております。ある区の区議さんのお話によれば、五人申し込んで、五人ともこの制度を使うことができなかったということがございました。今後、さらに実績を上げていくためには、本当に支援が必要な人が利用しやすいような仕組みというか、条件を整えた上で、事業の対象となる方々に情報が行き渡るようにするなど、さまざまな条件整備が必要になると考えます。
 本当に真に支援が必要な人が利用しやすいような仕組みとするため、具体的にはどのように変えて取り組んでいくのでしょうか。

〇芦田生活支援担当部長

 この事業につきましては、相談者が窓口に来所しても、対象者の要件に該当しないケースが多い、また要件に該当するかどうかの確認が難しい等の課題が区市町村の相談窓口から寄せられております。
 そこで、相談者の状況を分析した上で、要望の多かった要件につきまして見直しを図ることといたしました。
 見直しの内容は具体的には三点ございますが、まず第一点目といたしまして、世帯の生計中心者という要件に関しましては、住民票の世帯主であることをもって判断するのではなく、きめ細かな聞き取りの上で世帯の生計中心者を判断することといたします。二点目に、所得基準に関しては、賃貸物件に居住の場合は月額七万円、年額に換算しますと八十四万円を上限に、家賃支払い分を実際の収入から減額したものを所得とみなすということといたします。三点目に、土地建物を所有していないことという要件に関しましては、現在居住している家屋は土地建物の所有とみなさないということといたします。
 このような見直しを行うことで所得要件を緩和するとともに、居住用不動産の所有者も対象となるようにいたします。さらに、住民票上の世帯主でなくても、年金受給者である親と同居している方や、住民票所在地に居住していないDV被害者等が支援を受けることができるなど、利用者の生活実態により即した運用が可能となると考えております。
 なお、この新たな運用につきましては、十二月より開始いたします。

◯野上委員

  本事業対象者の共通要件というのがありまして、この中の3が、単身世帯は課税所得が年額五十万円以下、扶養者がある世帯は生計中心者の課税所得が年額六十万円以下であることという条件があったわけです。
 これを、さっきいわれた月額七万円、つまり十二カ月掛けると八十四万円を上限にするということで、単身世帯、課税所得年額五十万円以下、これを年収に直すと大体百七十六万円なんですね。これに八十四万円をプラスすると、今まで百七十六万円だった上限基準が二百六十万円以下の方が対象となるということなんです。
 今度は、二人世帯、二人家族、例えば父子家庭とか母子家庭などの場合、課税所得が年額六十万円以下ということは年収二百六十万円ということなので、八十四万円プラスすると三百四十四万円までを対象としますよと。三人家族の場合は、同じように計算すると、三百二十万円プラス八十四万円で、四百四万円以下を対象とします。四人家族だと、年収が大体三百八十万円以下ということで、プラス八十四万円で、四百六十四万円以下の方が対象となりますということで、今までよりも八十四万円枠が広がったということと、もう一つ、今までの条件と大きく違う5ですね。土地建物を所有していないことというのがありましたけれども、居住している土地建物は所有とみなさないという条件が加わりましたので、かなり枠が広がるのではないかと思います。より利用しやすくなるような弾力的な対応をぜひお願いしたいと思います。
 次に、この要件の見直しとあわせ、この事業の対象となる方々にこの情報が行き渡るようにするための広報活動はどのように進めていくんでしょうか。

〇芦田生活支援担当部長

 広報活動としましては、利用者にわかりやすいリーフレットを作成するとともに、就職チャレンジ支援事業につきましては、無料求人誌などの広報媒体の活用を図ってまいります。
 また、チャレンジ支援貸付事業につきましては、全国学習塾協会等関係団体と連携するなど、より適切な広報手段を選択し、効果的な広報を図ってまいります。

◯野上委員

  百年に一度という大変厳しい経済状況により、リストラされたとか、きのうも聞いたんですけれども、仕事が十月からぴたっととまってしまって、自分の工場の受注が一件もないとか、バブルがはじけたとき以上に厳しい経済状況だということをお聞きしております。こうした状況がいつまで続くかわかりません。
 そうした中で、この事業の必要性はますます高まるものと考えます。都が全国に先駆けて実施した本事業がさらに普及することにより、一人でも多くの方が救済され、生活の安定を図ることができることを期待しております。
 次に、未成年の喫煙防止対策について質問いたします。
 私の身近な友人たちもたばこを吸っております。でも、大半は十代から吸い始めた方が多いようです。たばこを吸う人の約四〇%が十代からの喫煙が習慣になっている人ということで、ニコチン依存症が、なかなかやめられないということだと思います。
 たばこは薬物乱用にもつながるおそれがあるといわれております。現在、大麻事件、テレビ、新聞等でも報じられておりますけれども、高校生、大学生の間ではやっていて、とんでもない事態になっておりますが、これもたばこと同様に、安易な動機で薬物に手を出してしまう、そして依存から抜け出せないという現状があるかと思います。
 今回は大麻ではなく、たばこを取り上げますけれども、薬物乱用防止は喫緊の課題だと思います。教育の問題になるんでしょうが、小学校のうちから、たばこの持つ有害性をたたき込むということが大事じゃないかと思います。このため、未成年者は喫煙すべきではないという自覚を早い時期から持たせることで、喫煙防止につなげていくべきだと思います。
 東京都は、未成年の喫煙防止について、どのような取り組みを行っているのか、お聞きいたします。

〇住友保健政策部長

 児童や生徒がたばこの健康への影響について正しい知識を身につけるために普及啓発を行うことは重要です。このため、今年度、都は、未成年者の喫煙防止のために生徒自身がたばこの問題について考えたり、家族や友達と話し合う機会をつくることを目的に中学生向けのリーフレットを作成し、都内の中学生全員に配布いたしました。
 また、未成年者の喫煙防止を働きかけるポスターを都内の小学生、中学生、高校生から公募しましたところ、五百点を超える応募があり、そのうち優秀作品十二点を十月末に選定し、公表いたしました。今後、優秀作品については、未成年者の喫煙防止の普及啓発等に活用していきます。

◯野上委員

  都内の全中学生にリーフレットを配布できたということは、大変すばらしいことだと思います。これも実際に使用して子どもたちに禁煙教育というのを進めていくのは、教育の分野なのかなというふうに思いますけれども、教育庁と福祉保健局等が連携をして、配っただけではなく、総合的な学習の時間等を使って、たばこの害について知識としてもう全中学生が知っていると、認識していると、こういうようにぜひしていただきたいなというふうに思っております。
 先ほどもいいましたけれども、たばこだけでなく、大麻とかマリファナとか覚せい剤とか、いろいろな薬物に手を染めることがどれだけ危険なことであるかを認識して生きていってほしいなというふうに思っております。今、手をこまねいていると、結局は取り返しのつかない人生を送っていくのではないかというふうに思いますので、局の連携を十分にして、この喫煙対策を推進していただくようお願い申し上げます。
 次に、飲食店における受動喫煙防止対策について伺います。
 未成年の喫煙防止とともに、公共の場での受動喫煙防止も大変重要なことだと思っております。健康増進法の施行の後、公立学校、図書館、病院、公共の施設の中での全面禁煙が進んでおります。
 しかし、多くの人が利用するレストランとか喫茶店などは、一部分煙対策とかをやっておりますが、どうしても流れてくる煙での受動喫煙の被害が問題になっております。この受動喫煙は、子どもではぜんそくなどの呼吸器疾患と関連があり、妊娠をしていらっしゃる妊婦に対しては、流産、早産、低体重児など、胎児への影響が指摘されております。
 私は、第二回定例会において、都内の飲食店での受動喫煙防止に向けて、都として積極的に取り組むべきだということを主張してまいりました。
 都は、飲食店の受動喫煙防止対策検討会を立ち上げ、八月に第一回検討会を開催したと聞いておりますが、この中でどのような意見が出されたのか、お伺いいたします。

〇住友保健政策部長

 検討会は、飲食店関係団体の代表や学識経験者、区市町村代表等が委員となっておりますが、委員からは、飲食店にはさまざまな業種があり、営業形態や規模などが多様であること、飲食店に対して禁煙や分煙方法などを一律に規制することは適当でないこと、それぞれの店の実情に応じた取り組みが進められるようにすべきであることなどの意見が出されました。
 都といたしましては、このようなご意見を踏まえて、飲食店における受動喫煙防止対策について検討してまいります。

◯野上委員

  副流煙の害については、先ほど配られたというリーフレットにも載っておりましたが、タールで三・四倍、一酸化炭素で四・七倍、ニコチンで二・八倍、普通にたばこを吸った状態よりも健康に大きな被害を与えるとございました。
 ぜひこれからも東京都が率先して受動喫煙防止に取り組んでいただきますようお願いを申し上げます。
 次に、自殺対策について質問いたします。
 私、日ごろから支援してくださっている方の息子さんが、実は硫化水素ガスを使っての自殺をしてしまいまして、このお母さんも結局巻き添えになって亡くなられたという悲惨な事件がございました。すぐに現場に駆けつけて、何ともいえないむなしさが込み上げてまいりました。身近にそうした自殺をした方に遭遇いたしまして、自殺対策を真剣に協議をしていくことが大事だというふうに感じております。
 六月に公表された警視庁の統計によれば、平成十九年の全国の自殺者数は過去二番目に多い三万三千九十三人ということで、前年に比べて九百三十八人増加している。十年連続して自殺者が三万人を超えるという、まことに憂慮すべき事態になっております。
 東京都も、警視庁が所轄別に集計した数なんですが、平成十九年度の自殺者が三千四十七名、所轄では東京都に住んでいない方も処理をしておりますので、実際に人口動態統計で見ると、都民は大体二千七百人ぐらいの方が自殺をしているんじゃないかなというふうにいわれております。
 九月十四日にビッグサイトに自殺防止の講演会を聞きに行きました。そのときに肉親が自殺をした人のお話を聞きました。本当に残された方の悲しみ、いかばかりかなというふうに感じました。
 その中で、ライフリンクというNPO法人があるんですけれども、そこが調査をしておりまして、自殺に至る背景あるいは原因、動機、これは人によってさまざまですけれども、自殺した人の例がいろいろ挙げてありまして、例えば一例なんですけれども、職場の配置転換があった、あるいは昇格等の職場環境の変化があったと。配置転換があって、なれない仕事でなかなかうまく仕事がやっていけなく過労に陥った。そして、仕事がうまくいかないので、職場の人間関係も悪化してきた。さらにうつを発症した。こういうふうに問題が次々と連鎖することで、最後には自殺に追い込まれていくということがいろいろな症例で明らかになっておりました。
 その調査によれば、自殺をするときには、平均して四つの自殺の要因を抱えていたというようなことが書いてありました。自殺を防ぐためには、幾つもの要因が積み重なる前に、早い段階で危険に気づき対応することが大事だと思います。
 都は、昨年度から、自殺問題の早期発見、早期対策を図るための人材として、ゲートキーパーの養成を行っているところですが、まずゲートキーパーの役割についてお伺いいたします。

〇住友保健政策部長

 自殺を未然に防止するためには、その危険性が高い人を早期に発見し、専門機関による相談、支援や治療につなげることが重要です。
 ゲートキーパーは、自殺を考えている人が発している自殺のサインに気づいて、その人を見守ったり、必要に応じて医療機関や相談機関につなぐなど、自殺予防のための取り組みを行う役割を担っております。

◯野上委員

  自殺を考えている人が悩みを抱えながらも必死の思いで発している何らかのサインにできるだけ早い段階で気づき、つらく苦しい気持ちを受けとめながら必要な支援につないでいくという、これがゲートキーパーの役割ですが、自殺防止のキーパーソンであると考えます。
 そして、自殺念慮者や未遂者がその悩みに応じた相談とか支援を受けられるようにつなげていくゲートキーパーが、これからの自殺防止の大事な役割を担ってくると思います。関係者等によるネットワークを構築し、自殺の未然防止を図ることが大事です。できるだけ多くの人がゲートキーパーとして自殺問題に関する正しい知識と認識を持ち、自殺防止の活動をしていくことが期待されます。
 ゲートキーパーの養成をこれからどのように進めていくのか、お伺いいたします。

〇住友保健政策部長

 ゲートキーパーの養成につきましては、平成十九年度に養成プログラムを開発いたしまして、まず都の保健所の職員等を対象として養成を開始いたしました。
 養成の方法といたしましては、都が養成研修を直接実施するほか、研修修了者が地域やそれぞれの職場などでゲートキーパーの養成を進めていくこととしております。
 今年度は、都の保健所や特別区におきまして、区市町村の相談窓口の担当職員や民生児童委員、各種相談機関の相談員など、身近な地域におけるゲートキーパーの養成研修を実施しております。

◯野上委員

  ゲートキーパーは、一人一人がそれぞれの分野で活動するだけではなく、相互に連携協力することにより、効果的に自殺防止、自殺予防に取り組んでいくことができると考えます。
 都では、自殺総合対策の中で多様な分野による相互支援、ネットワークの構築にも取り組んでおりますが、ネットワークを構成する機関の相談担当者をゲートキーパーとして育成すべきと考えますが、いかがでしょうか。

〇住友保健政策部長

 都では、本年二月に、心の悩みや経済問題など、さまざまな相談に対応する機関の協力を得て、こころといのちの相談・支援東京ネットワークを立ち上げました。さらに今年度は、きめ細かく相談に応じるため、地域でのネットワークの構築を目指して二地区でモデル事業を実施しております。
 自殺予防のためには、都民からの相談に対応する機関の職員が自殺に関する正しい知識を持ち、相談者の自殺のサインに気づくことが大切です。そのため、今後ネットワーク参加機関の職員を対象としてゲートキーパーの養成を進めていき、自殺念慮を持つ都民への適切な相談、支援体制を構築することなどにより、自殺予防対策の推進を図ってまいります。

◯野上委員

  国において、最近の自殺の動向を踏まえて、本年十月に自殺総合対策大綱を一部改正し、自殺対策の一層の推進を図ろうとしております。
 都では今年度、自殺総合対策の基本的取り組み方針を策定することとしているそうですが、医療福祉、経済労働、教育等、すべての分野を包括するような総合的な取り組みを進めていただくようお願いして、次の質問に移ります。
 先日、東京都内で、かかりつけ医院で対応困難になった妊婦さんの転院搬送先がなかなか見つからないで、最終的には墨東病院に搬送されたものの、脳出血で死亡されるという痛ましい事案がありました。
 これに先行する九月の下旬、杏林病院など少なくとも六つの病院から受け入れを断られた脳内出血の妊婦さんが、かなり距離のある搬送先の都立墨東病院で受け入れていただき、努力したにもかかわらず、意識不明の重体になっていることを知りました。
 千件に一件あるかないかという事例が立て続けに二例あったということで、一度も我が子を抱くこともなく亡くなられた母親とご遺族に心から哀悼の意を表するとともに、いまだ意識の戻らない方の一日も早い回復を心からお祈りいたします。
 都議会公明党といたしましても、全国的に不足している産科医、新生児科医の確保、育成など、周産期医療体制の整備には力を注いできただけに、今回の事態は大変残念なことであると考えております。しかし、こうした事態が発生してしまった以上、その背景を冷静に分析し、周産期医療体制の強化に向けて都としても改善策を早期に講じていくことが何より大切だと考えます。
 今回の事例を見ると、いずれも、妊婦と胎児に対する周産期医療の領域と、脳出血という救急医療の領域にまたがる大変難しい事案であったと思います。これまで周産期医療体制は、基本的に切迫早産や分娩時の出血などにおける妊産婦、胎児、新生児の救命が中心でしたが、これからは妊婦の脳出血や心筋梗塞など、他の診療科にかかわる母体救命にも取り組んでいくことが必要なのではないかと思います。
 そこでまず、今回の二つの事案を受け、周産期医療と救急医療との連携を図る仕組みが必要と考えますが、この点についてはいかがでしょうか。

〇吉井医療政策部長

 ご指摘のとおり、今回のケースは周産期医療と救急医療の二つの領域にまたがるものであったというふうに考えております。
 十一月五日、先ほど申し上げましたが、緊急開催いたしました周産期医療協議会におきましても、脳外科などほかの診療科との連携など、救急医療との連携が周産期医療対策の課題として取り上げられたところでございます。先週金曜日、十四日の救急医療対策協議会、ここにおいても同様の議論がなされたところでございます。
 今後、周産期母子医療センターと救急部門との院内での連携、こうしたことの強化、こうしたものを医療機関に対して働きかけを行いますとともに、二つの協議会、周産期医療協議会と救急医療対策協議会におきまして、周産期医療と救急医療の具体的な連携について検討を進めてまいります。

◯野上委員

  この事案をさらに掘り下げていくと、背景に周産期母子医療センターへの分娩の集中という問題があります。本来、周産期母子医療センターは、いつでも緊急搬送に対応できるよう、一定の余力を持っていることが必要だと思います。しかし、分娩取り扱い医療機関が減少する中で、通常のお産も含めて周産期母子医療センターに分娩が集中しており、それでもう手いっぱいになっている状況があります。
 そうであるならば、最後のとりでである総合周産期母子医療センターが、どのようなときでもハイリスク妊婦の受け入れが可能となるよう、地域周産期母子医療センターとの連携を行って、容体が安定した後の逆搬送のシステムを導入すべきと考えますが、いかがでしょうか。

〇吉井医療政策部長

 先ほどもちょっとお答えいたしましたが、ハイリスク分娩に対応すべき周産期母子医療センターに正常分娩等も集中しているということで、受け入れ等に影響が生じているということでございます。限られた資源の有効活用等により、さらに役割分担を進めていく必要があると考えております。
 東京都といたしましては、先日発表いたしました東京緊急対策Ⅱにおいて、周産期連携病院、これが中程度の緊急性を有する患者に対応するということでの新たな指定、こうしたものを盛り込んだ具体策を検討しているところでございます。
 こうした周産期連携病院の指定ということによりまして、いわゆるミドルリスクの分娩に対応できる、そういうことを地域の中に構築することによりまして、先生がおっしゃいました総合周産期母子医療センター、ここでの緊急時のハイリスク妊婦の受け入れ、さらには、容体が安定した後の今の病院への転院、こうしたような形の仕組みにつなげていきたいというふうに考えております。

◯野上委員

  しっかりしたコーディネーターになる人も必要だと思いますけれども、いつでもハイリスク妊婦を受け入れる体制がとれるように、これからも努力していただければと思っております。
 病院経営本部のときにもちょっと質疑をしたんですけれども、女性医師の離職対策について伺います。
 女性の医師国家試験合格者の割合は年々増加して、平成十年には二五%だったものが、平成二十年には約三五%と大きくふえております。また、都内の医療施設に従事する女性医師は、平成八年約五千五百人から平成十八年約八千人と、約一・五倍にふえております。
 特に東京では、医療施設に従事する医師数の二五%弱が女性で、全国平均の一七%を大きく上回っております。その中でも都内では、産婦人科の約三割、小児科の約四割が女性ということです。
 女性医師は、結婚や出産などを契機に、一時的に医療の現場から離れざるを得ないケースがあります。しかし、多くの女性医師は、できれば離職せずに勤務を続けたい、将来も医師として診療に携わりたいという思いを抱いています。現在の医師不足の難局を乗り切っていくためには、女性医師を離職させない、あるいは離職しても復職しやすくするような仕組みづくりが必要と考えます。
 都として、女性医師の離職防止、定着に向けて、どのような施策をとっているのか、お伺いいたします。

〇吉井医療政策部長

 女性医師の離職の防止、それから定着を図っていく、このために東京都は、今年度から医師勤務環境改善事業を開始いたしまして、具体的に申し上げますと、周産期母子医療センターでございますとか救命救急センター、こうしたような病院が主体的に医師の交替制勤務、それから短時間勤務の導入、それから先生がおっしゃいました女性医師が復職しやすいような支援のための研修、こうしたようなことを実施する場合に東京都として支援をするという事業を開始してございます。
 また、国に対しましても、女性医師が生涯にわたって安心して医療に携わることができるよう、総合的な支援策を講ずるよう提案要求しているところでございます。

◯野上委員

  今回の事案で浮き彫りになった東京の周産期医療体制の問題点は、さまざまな問題が複雑に絡み合って、簡単に解決することは難しいと思います。都だけでなく、国も医療機関も解決に向けて努力をしていく必要があります。
 少子化対策ということで、私たちも安心して子どもを産み育てられる社会を築いていくんだという使命に立ち、多くの政策を実現してまいりました。所得制限がありますけれども、不妊治療の助成拡大、それから妊婦健診、これは二十三区内ですが、十四回までの助成制度を確立したり、出産育児一時金も三十五万円まで引き上げて、生まれてからは児童手当の拡充をずっとし続けたわけでございます。
 それから、乳幼児医療費、中学校三年生まで所得制限がなく無料という、これは二十三区の場合ですが、こういうふうに拡充をしてきた。そして、子育てをしたいと考えるすべての女性に対する支援をしてきたつもりです。
 しかし、ここに来て、出産ということで行き詰まってはならないと思っております。万全な周産期医療体制は、出産を考えているすべての女性はもちろん、すべての都民にとっても安心して生活を送るための必須の基盤であり、早急に対策を講じる必要があります。
 そこで最後に、周産期医療体制の強化に向けた局長の決意を伺って、質問を終わります。

〇安藤福祉保健局長

 今回の事案が不幸な結果となりましたことは大変残念なことでありまして、亡くなられました患者さんのご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に対しましてお悔やみを申し上げる次第であります。
 都といたしましては、今回の事案を重く受けとめまして、十一月五日でありますが、東京都周産期医療協議会を開催し、知事から検討をお願いいたしました。また、東京都医師会長に対しましても、知事より周産期母子医療センターへの協力を依頼したところであります。
 この周産期医療協議会は、総合周産期母子医療センターの責任者の方々、お医者さんがメーンでありますけれども、さらには救急医療を実際に担われている方々など、実務に精通された方々から構成されておりまして、実務に立脚した議論がされていたと、私も参加してそのように感じた次第であります。
 その場の議論をまとめて、課題として三つほど挙げられておりまして、部長からも答弁しておりますけれども、一つは、周産期の各ブロックにおいて患者を確実に受け入れる仕組み、それから、議論いただいておりますけれども、脳外科など他の診療科との連携の構築、そして、医療機関相互の正確な患者情報の伝達ということが課題とされたところであります。
 今月中にも再度、この協議会を開催し、対応策について早急な検討をお願いしたいと思っております。
 また、先日発表いたしました緊急対策におきましても、搬送調整業務を行います看護師の増配置、あるいはミドルリスクの妊婦さんに対応する周産期連携病院を今年度から実施するべく、補正予算案の中に要求をしたところであります。こういう形で取り組みを進めておりますところでありますけれども、なるべく早く具体的な施策を講じたい、こう思っております。
 他方、議論いただいておりますように、この問題の背景として、医師確保や周産期医療を取り巻くいろいろな課題がありますので、これはやはり国の責任も大きいものでありますから、根本的な解決に向けまして、都だけではなくて、八都県市首脳会議及び関東知事会において議論をしていただき、首長さんが共同して国に対して緊急の申し入れを行うという次第になっているところであります。
 ご指摘のように、周産期医療体制の強化というのは、都民の皆さんの安全・安心を確保するための緊急の課題であると深く認識しております。都民の生命と健康を守るためには、引き続き都と医師会及びあらゆる医療機関が一体となった取り組みが必要と考えておりまして、今後とも全力を挙げて対応を図ってまいりたいと考えております。

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