平成21年厚生委員会(2009年9月16日)都立身体障害者更生施設について等

平成21年厚生委員会(2009年9月16日)


◯野上委員

 私も、都立身体障害者更生施設の民間移譲について質問させていただきます。
 九月十一日に、同じく都議会公明党として、橘議員と一緒に、今回の厚生委員会の報告案件であります聴覚障害者生活支援センターを視察してまいりました。聴覚言語障害者の更生施設というのは、全国でもたった三カ所しかないということで、実際に視察をしてみて、この聴覚障害を持った方たちに対する大変きめの細かい支援をしている施設であることがよくわかりました。本当に百聞は一見にしかずで、行ってよかったなと思っております。
 この入所者の方は、この施設がついの住みかではなく、聴覚に障害があるために、今まで獲得することが困難だった社会性とか生活マナーなどを、一定期間訓練をして身につけて、就労して自立していくという施設でございます。ですから、中にはご飯の炊き方、ガスのつけ方、要するに自分たちが普通の生活をしていく、本当にごくごく基本的な訓練ができるような体系になっておりました。
 その中に、施設の利用者の中に、盲ろう者の方がいらっしゃいまして--盲ろうというのは、目も見えない、耳も聞こえない、両方の障害を持った方がいらっしゃいまして、その方がトウかごを編んでらっしゃんたんですね。そのトウかごが非常に芸術的な作品で、障害者美術展で優秀賞をいただいたという。この目が見えない、手だけの手作業で、いろんな動物の形のトウかごとかを編んでらっしゃって、非常に芸術性が高くて、すばらしい作品で感動いたしました。
 このように、利用者一人一人に合わせて、自立に向けた支援を行うというこの施設の内容は、大変重要なものであると感じております。
 また、そこの施設は、入所中だけではなく、退所した聴覚障害者の方が地域で孤立をしないように、退所した後もそこに訪問をしたり、あるいは、その施設自体が集いの場として施設を提供するなど継続的な支援を行っているということで、この自立を支える意味では、大切なことじゃないかなというふうに思っておりました。
 もう一つ感心したのは、地域の方たちに、この聴覚障害者や施設への理解を深めてもらうために、手話講習会を開催しておりました。また、夏祭りっていうんですかね、よく盆踊りとかやっていますが、やぐらを組んで、地域の方々に参加をしていただいて、地域に根差した活動を行っているということで、民間移譲後も、こうした施設の活動が引き継がれていってほしいという観点から、何点か質問いたします。
 その中で、東京都聴覚障害者生活支援センターなんですけれども、まず初めに、施設の運営形態、運営経費、職員体制、これを含め、施設の概要について改めてお伺いいたします。

〇芦田障害者施策推進部長

 東京都聴覚障害者生活支援センターの概要についてでございます。
 本施設は、聴覚障害者を対象とした三十人定員の入所施設で、自立に向けた生活訓練や就労訓練を行っております。
 運営形態は、指定管理者制度により、社会福祉法人が運営しており、運営経費は、平成二十一年度の指定管理料として、約一億四千二百万円を都が支払うこととしております。
 平成二十一年四月一日現在、利用者は二十人、平均年齢は五十三歳、平均入所期間は二・八年となっております。
 職員体制は、施設長一名、生活支援員等の直接処遇職員十一名、その他、事務、栄養士、調理員、医師などで九名、計二十一名の常勤あるいは非常勤の職員が配置されております。

◯野上委員

 約二十人の方が利用していて、その費用が約一億四千二百万円、都が支払っているということで、一人当たり年間七百万ぐらいをかけているということだと思います。
 都からの事前説明によれば、これは平成二十三年四月に民間移譲をするということなんですけれども、このときの民間移譲後の土地とか建物の取り扱いは、これはどういうふうに、どういう形態になるのかということと、あと、大変掃除が行き届いて、きれいな施設ではございましたけれども、建物自体は随分古く感じました。移譲を受けた法人がこのままずっと使い続けるということで、耐震があるかどうかということも大変心配をいたします。また、今後長い間その法人が使っていく上で、建てかえということについていえば、都はどのようにこのことを考えているのでしょうか--建てかえについても。

〇芦田障害者施策推進部長

 この施設は昭和四十年に開設し、建物は昭和五十八年に増築をしております。耐震につきましては、都の調査により、問題なしという結果が出ております。
 民間移譲後は、当面、建物は運営法人に無償貸付し、土地については、建物の貸付契約の結果として、無償での使用を認めることになります。
 なお、築三十五年を経過した建物については、法人みずからが運営しやすいような建物への建てかえを促進するため、建てかえ経費の八分の七を都が補助することとしております。

◯野上委員

 耐震については問題がないということで、大変安心をいたしましたけれども、既にこの建物は四十四年を経過した建物でございまして、三十五年を経過した建物については、建てかえを促進するということで、そう遠くない将来に向けて、建てかえの検討を図られると思います。東京都が八分の七を補助してくれるといっても、法人が八分の一のお金を用意しなければいけないということなんですけれども、これは大変大きな負担といえるのではないかと思います。その点について、都はどのようにお考えでしょうか。

〇芦田障害者施策推進部長

 法人が負担する八分の一につきましては、独立行政法人福祉医療機構からの借入制度を利用することができます。また、借入金の利子補給も都が行う仕組みがございますので、借入金については、運営費からの償還が可能であると考えております。

◯野上委員

 独立行政法人福祉医療機構から借りて、その利子は東京都が払ってくれる。償還期間も結構長くていいんだと思うんですけれども、ちょっとそこは聞いてないんですが、この民間移譲後の施設の運営費についてなんですけれども、民間移譲によって、この運営経費はどのように変わるでしょうか。

〇芦田障害者施策推進部長

 運営経費についてでございますが、現在は都からの指定管理料で運営しておりますが、移譲後は、他の一般民間法人と同様に、国等からの給付費、利用者負担金と都のサービス推進費を基本として運営していくこととなります。
 移譲後の具体的な運営費の額につきましては、個々の利用者の障害程度により異なるため、正確な数字を算出することは困難ですが、現在の利用者の状況を参考に、定員どおりの利用者が確保されると推計すると、概算で一億四千百七十万円となります。
 平成二十一年度の指定管理料が一億四千二百万円であり、ほぼ同程度の運営費が確保できるものと考えております。

◯野上委員

 民間施設になると、利用者の数が結構ポイントになってくると思うんですね。利用者が少なければ、経営が逆にいえば厳しくなります。法人も運営が大変だと思います。現在三十人定員のところ、二十人しか利用していない。今の状態がそうなんですけれども、こういうような状態の施設を民間移譲して、本当に大丈夫なんでしょうか。

〇芦田障害者施策推進部長

 ご指摘のとおり、現在、利用者が少ない状況でございますが、これは、居室の個室化工事を行っており、このための一時的な減少傾向と考えております。
 今後は、特別支援学校の卒業生など、早い時期からの自立に向けた訓練の場としてさらに広く活用してもらえるよう、区市町村等へ周知を図っていきたいと考えております。そして、移譲後は、さらに民間法人の創意工夫や自主性の発揮により、新たなニーズの掘り起こしや、利用者一人一人のニーズに合わせた一層のサービス向上を期待しているところでございます。
 都といたしましても、運営指導等により、引き続き現行の都立施設のサービス水準を維持していくよう支援していきたいと考えております。

◯野上委員

 先ほどおっしゃったように、この利用者が多ければ多いほどサービス費がふえてくるわけで、運営としても非常に楽になるということがいえると思うんですね。そういう意味で、何ていうのかしら、いかに人を呼び込んでくるか、集めてくるかというところが、また民間移譲したときの手腕を発揮することにも通じてくると思うんです。
 答弁の中にありましたように、特別支援学校、高校を卒業しても、なかなかスムーズに自立に向けて就職活動ができない生徒がたくさんいると思うんですね。そういう人たちをそこに呼び込んできて、そこで部屋ごとに自立の、ガスのつけ方とかご飯の炊き方、洗濯の仕方とか、そういうような訓練も含めて、自立へのそういう施設として利用していただければ、いつも定員がいっぱいでなかなか入れない、入れなくて困るぐらいの感じになっていけば、民間移譲しても、この運営が非常にスムーズにいくのではないかというふうに思っております。
 これまで都が培ってきたサービス水準を民間に適切に引き継いで、この聴覚障害者の方たちが自立生活に向けた支援の一層の充実を図ることで、民間移譲の趣旨を実現することを期待しております。
 以上でございます。

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