平成22年厚生委員会(2010年3月18日)都立病院でのがん医療対策について等

平成22年厚生委員会(2010年3月18日)


◯野上委員

 がん医療に関連して、都立病院での取り組みについてお伺いいたします。
 最近、テレビのコマーシャルも流されていますけれども、がんは実に男性の二人に一人、女性の三人に一人がかかって、そのうち二人に一人ががんで亡くなるという、非常に、がんが日本人の死因のトップを占めているということで、これはほとんどの方がもう知っていらっしゃる事実でございます。
 私たちの党は、今までさまざまな機会を通して、がん対策の強化についてさんざん訴えてきた経過がございます。国の方でも、前政権のときなんですが、平成十九年の四月にはがん対策基本法というのを制定いたしました。これにも、多くの現場を訪ねながら、いろいろな資料を集めながら、こういう現場での声を国に上げてがん対策基本法というのができました。これに基づいて、東京都でも、平成二十年の三月に東京都がん対策推進計画というのが出されたわけでございます。
 計画の中では、東京都全体でがんの医療水準を向上させるために、拠点病院を中心とした連携体制の構築を図るということになっておりまして、国の方でも都道府県がん診療連携拠点病院を設定しなさいということで、二つの病院が設定をされておりますし、地域がん連携拠点病院は東京には十二カ所、また、東京都独自で認定をしている認定がん診療病院が十カ所ございます。都立病院では、駒込病院が、この二つあるうちの一つの都道府県がん診療連携拠点病院に指定されております。がん対策に関してまさにその中心的な役割を果たしてきたのが駒込病院だと思っておりますが、この駒込病院でのこれまでの取り組みについてお伺いいたします。

◯斎藤経営戦略・再編整備担当部長

 駒込病院におけます都道府県がん診療連携拠点病院としてのこれまでの取り組みでございますが、駒込病院では、東京都がん診療連携協議会の設置運営、院内がん登録のデータの収集、分析、評価、また、地域連携の推進など、都におけるがん医療ネットワークの中心としての役割を担い、人材育成を担当いたします癌研究会有明病院とともに役割分担をしながら取り組んでまいりました。
 具体的には、協議会のもとに四つの部会、がん登録部会、研修部会、クリティカルパス部会、相談・情報部会、この四つの部会を設けまして検討を進めてきているところでございます。
 このうちがん登録部会の関連では、昨年三月に駒込病院を含みます十四のがん診療連携拠点病院の二〇〇七年分のがんのデータが国立がんセンターへ提供され、現在、そのデータの返却を受けている最中でございまして、今後、この部会におきまして評価、分析を進めていくことになります。
 また、クリティカルパス部会の関連では、本年一月に五大がん地域連携クリティカルパスの試行版というものを作成いたしまして、これを二月から運用することを既に発表しておりまして、これは去る予算特別委員会で東京版医療連携手帳としてご紹介があったものでございます。

◯野上委員

 今のご説明で、本当に駒込病院ががん登録、また地域連携の推進など、まさに東京のがん医療ネットワークの中心としての役割を果たしてきたことがよくわかりました。また、我が党はがん対策推進のために、がん実態の把握が不可欠であり、そのためにはがん登録が重要であることを繰り返し繰り返し訴えてきたわけでございます。
 院内がん登録の目的と、そしてまた駒込病院は、いつからこのがん登録について、どのように取り組んできたのかについてお伺いいたします。

◯斎藤経営戦略・再編整備担当部長

 がん登録は、がん患者の罹患、転帰その他の状況を登録し分析するものでございまして、がん対策の評価や企画立案の際の基礎資料にもなるなど、重要な役割を担うものでございます。このうち、院内がん登録は、各病院のがんの診断、治療を受けた全患者の情報を標準登録様式と申します一定の様式に登録をして行うということになっております。これによりまして、各病院間の治療成績を統一した基準で把握することが可能になります。やや平たく申しますと、週刊誌、雑誌などにいろいろな特集が組まれておりますが、いい病院、悪い病院、こういうのは観点が違いますのでかえって迷ってしまう場合がありますが、統一した基準で把握するというのは、そういうメリットがあろうかというふうに思います。
 駒込病院では昭和六十年から院内がん登録業務を開始しておりますが、その際、開設時の昭和五十年にさかのぼって症例登録を開始いたしました。したがいまして、駒込病院で診断もしくは治療を行ったすべてのがん患者の情報がデータベースになっております。
 院内がん登録業務を開始した当初は入院患者さんのみを対象として行い、氏名、性別、住所などの患者基本情報、病名、入退院日を登録するとともに、登録患者について、その後の状況でございます予後調査の実施をしてまいりました。その後、二〇〇三年に国立がんセンターから標準登録項目、いわゆるナショナルスタンダードというべき項目が初めて示されまして、現在はがんのステージや組織診断なども追加された二〇〇六年版の標準登録項目、これにございます四十九項目を満たす院内がん登録が拠点病院には求められております。駒込病院では、こうした制度的な変遷にも対応しまして、システム整備や事務処理体制上の工夫を行いながら、これまで対応をしてきているところでございます。

◯野上委員

 駒込病院の歴史から見ると、ほぼ開設以来、三十年ぐらい前からがん登録を行ってきたというすごい実績があるということだと思います。あとはがん対策の基本資料となるがん登録を推進していくためには、拠点病院での院内がん登録の精度を上げることが重要であります。
 中でも大きな関心を集めるのは、三年生存率、また、五年生存率であります。この算定のためには予後調査が必要不可欠でございます。例えば大腸がん等では、東京都医療連携手帳などには三カ月ごと記録をするような形でつくられております。それが約五年間続いて記入されるようになっておりますし、乳がんの方も同じくこれも十年間記入できるようなものがつくられております。
 そこで、予後調査では、退所された後の患者さんの予後調査について、どれぐらいの水準で捕捉していくのか、また、拠点病院である駒込病院としての取り組みについて伺いたいと思います。

◯斎藤経営戦略・再編整備担当部長

 拠点病院では、例えば五年生存率では、二〇〇七年の登録データが初回データでございますので、五年経過した後の時点でその生存率を把握することになりますが、予後調査は登録がん患者の生死の状況を把握する精度の高い統計でございまして、患者の消息判明率で九五%以上が必要とされております。
 駒込病院では、日常的には外来受診歴、入院歴などの診療情報検索及び院外死亡届によりまして、生存確認日の更新、死亡日の登録などを行うとともに、一年以上受診、入院のない患者さんにつきましては、最終受診時の区市町村あてに住民登録状況照会を行いまして、生死状況を把握するというようなこともやっております。
 しかしながら、登録患者数の増加に対応した予後調査件数の増加や、住民基本台帳や外国人登録の情報照会での情報の入手や手数料負担の問題など、消息判明率九五%以上というものを維持していくことには多くの困難が伴っているのが実態でございます。
 都道府県がん診療連携拠点病院であります駒込病院は、こうした取り組み実績をもとに、そのノウハウを他の拠点病院にも広げていくことが求められておりまして、精度の高い院内がん登録が可能となるよう、院内がん登録部会の運営などを通じて積極的な取り組みを行ってまいります。

◯野上委員

 確かに九五%以上、情報を入手していくというのは本当に大変なことだと思っております。そのままずっと、退院した後元気で過ごして、情報とかがとれるといいんですけれども、なかなか住民票をたどっていってもその方に会えなかったりとか、それから外国人の方も結構多くなってきておりますので、本当に大変な取り組みだなというふうに感じております。相当な苦労を重ねてこられて、実績を積み重ねてこられたのではないかと思います。
 また、駒込病院でさえも、情報の登録の精度を上げていくためには、一病院では解決できない問題もあります。しかし、これまでの駒込病院が行ってきたこの院内がん登録の取り組みは、ほかの拠点病院がこれから取り組まなければならない、例えば五年生存率の把握の仕方などについても必ず役立つものであると思います。駒込病院は今後も拠点病院としての中心的役割を果たして、がん対策のさらなる推進に貢献するためにも、着実にその取り組みを進めていっていただきたいと思います。
 都立病院でのがん医療の推進という意味では、今回、多摩地域の拠点として開設した多摩総合医療センターに対する期待も大きいものがあります。多摩総合医療センターは、これまでの府中病院時代から多摩地域唯一の都立の総合病院として、がん医療にも大きな役割を果たしてきました。そこで、この多摩総合医療センターでさらにがん医療を充実させるための整備状況について改めて伺います。

◯斎藤経営戦略・再編整備担当部長

 がん医療では、がんの進行状況や状態に応じまして、手術療法、化学療法、放射線療法などを組み合わせました集学的治療の実施が求められております。今月一日に開設いたしました多摩総合医療センターでは、まず、手術室を九室から十五室に拡充を図り、がん医療においても手術への対応力を高めております。また、需要が増加しております外来化学療法に対応いたしますために、ベッド数を八床から二十七床へと大幅にふやしまして、外来科学療法センターとして運営していくことといたしました。さらに、リニアックを一台増設し二台体制としており、さまざまな放射線治療を実施できる体制を整えたところでございます。なお、院内がん登録につきましては、府中病院時代の平成二十年度から本登録を開始してございます。

◯野上委員

 この手術室とかベッド数とかリニアックとか、いろいろ整備の面でも、かなり質的にも量的にもがん医療に対する整備が拡充されたということですね。多摩地域の住民の方にとっても喜ばしいことでありますけれども、今まで以上に多くの症例数が積み重ねられるということで、結果としても、これまでお話しした院内がん登録の推進という意味でも大いに期待できるものだと思います。
 これだけの役割を果たしている、また今後の発展が期待される多摩総合医療センターですけれども、都のがん医療対策の中で拠点病院にはまだ指定されておりません。今後、多摩総合医療センターは、地域がん診療連携拠点病院を目指していくべきと考えますが、所見を伺います。

◯斎藤経営戦略・再編整備担当部長

 多摩総合医療センターでは、これまで以上に高度で専門的ながん医療を提供できるよう、先ほど申しましたとおり、施設の整備拡充を図ってまいりました。ソフト面では、院内がん登録の推進のほか、がんに関する情報提供の推進等、相談支援体制の整備も進めてきておりまして、来年度早期には、都制度であります東京都認定がん診療病院に認定される見込みでございます。
 今後、さらなる治療体制の充実、地域の医療機関との連携体制の強化、さまざまな職種にわたる医療従事者の育成を図ることで、国制度であります地域がん診療連携拠点病院を目指した取り組みを進めてまいります。

◯野上委員

 最後です。私もこの多摩総合医療センター、開設前にその施設を視察させていただきましたけれども、非常に立派な施設で、さまざまなところでいろいろな工夫がなされておりまして、もうため息をつきながら、はあはあ、すごいねとかいいながら見させていただいた経緯がございます。多摩に住んでいらっしゃる地域の皆様にとっても心強い病院になっていると思います。多摩総合医療センターが東京都の中で地域がん診療連携拠点病院に指定されて、多摩地域において名実ともにがん医療の拠点的役割を果たしていただけるよう、積極的な取り組みを進めていただくことをお願いして、私の質問を終わります。以上です。

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