平成15年度各会計決算特別委員会第2分科会(2004年10月22日)児童虐待について等

平成15年度各会計決算特別委員会第2分科会(2004年10月22日)


◯野上委員

 私の方からは、児童虐待について質問いたします。

 児童虐待が後を絶たないわけです。栃木県の小山市で、幼い兄弟が父親の友人に殺された事件以降、全国各地で相次いで虐待のニュースが報道されております。先日も、子どもに食事を与えない、ネグレクトというんですかね、発見されたときにはわずか十五キロぐらいの体重であったという痛ましい事件が報道されておりましたが、こういった、飽食の日本の中で、餓死してしまうような、信じられないような事件も報道されております。本当に悲しいことだと思います。かなり前に、私は天童荒太という人の「永遠の仔」という本を読みまして、虐待を受けた子どもたちが負う心の傷の深さに、胸がつかれるような思いがしたことを思い出しました。

 ことしの十月一日に改正児童虐待防止法が施行されますけれども、その改正法で、児童虐待は子どもへの著しい人格侵害だと明記されております。子どもの心身の成長や人格の形成に悪影響を与える児童虐待の防止に向けて、学校、家庭、児童相談所など関係機関が一体となって、さらに取り組みを強化していく必要があると思います。

 今、臨時国会でも審議中の児童虐待法の改正案では、児童相談における区市町村の役割が明確化される予定ですけれども、それに先行して都は、平成七年度から、子ども家庭支援センターを配置し、区市町村における子どもと家庭の相談窓口の設置促進に努めてきたことを仄聞しておりますが、このことは非常に評価すべきものだと思っております。

 さらに都では、平成十五年度に、児童相談所と連携して児童虐待防止などの機能を担う先駆型子ども家庭支援センターを創設いたしましたけれども、その設置の効果について最初に伺いたいと思います。

〇朝比奈少子社会対策部長

 児童虐待への対応は、児童相談所だけではなく、区市町村など関係機関との連携が不可欠であります。ご指摘の区市町村が設置をいたします先駆型子ども家庭支援センターでは、児童相談所と虐待防止への協力への対応に向けまして協定を結びまして、乳幼児健診を受診していない家庭や、子育て支援が特に必要な家庭に対する訪問支援を行う虐待防止支援訪問事業等、施設対処などで、子どもが家庭復帰した後の支援を行います見守りサポート事業を実施しているところでございます。

 これらの事業の実施によりまして、児童虐待の未然防止と家庭復帰後の子どもと保護者のアフターケアに効果を上げているものと考えております。

◯野上委員

 今の答弁の中に家庭復帰という言葉がありましたけれども、児童虐待で親子を分離したとしても、家庭環境の改善を図り、早期に家庭に復帰できるよう支援することが重要であると考えます。家族の再統合ということは、保護者が果たして養育能力があるのかとか、また虐待を繰り返すのではないかという懸念もあるし、なかなか難しいものがあると思いますけれども、この家庭復帰のための取り組みについてお伺いしたいと思います。

〇朝比奈少子社会対策部長

 平成十五年度から、全国に先駆けまして、すべての児童相談所に家庭復帰支援員を設置し、児童虐待などにより施設に入所した子どもを早期に家庭復帰させるための継続的かつ専門的な取り組みを行っているところでございます。この家庭復帰支援員は、子どもに家庭復帰させるか否かの意思を確認したり、あるいは保護者に対して養育能力を向上させるための指導や就労支援など、子どもの受け入れに向けた家庭環境の改善に努めているものでございます。

 また、地域の児童委員と協力をいたしまして、子ども家庭支援センターによる見守り支援の体制を整えるとともに、みずからも家庭訪問を行い、子どもの家庭復帰に努めているところでございます。

◯野上委員

 虐待を受けた子どもの緊急避難先として児童相談所の一時保護所がありますけれども、一時保護所からは原則として、これは学校に通えないために、教員免許を持っている教師から学習を受ける機会を与え、学校に復帰したときに勉強に困らないように、年齢と能力に応じた教育を受けさせるべきであると我が党は主張してまいりました。都では、平成十六年度から児童相談所の一時保護所に学習指導員を配置していただいたということで、これは大変に評価するものであります。

 また、一時保護所におけるもう一つの問題として、虐待を受けた子どもと非行などによって保護されている子どもが一緒に生活をしております。そのような状態は、虐待を受けた子どもにとっては大きな不安とか心理的負担になっているということがあります。この前ちょっと視察をさせていただいたところでは、非行で入った子どもが虐待で入った子どもをさらにいじめてしまうと、そういうようなケースがあるために、本当にいっときも目を離せないような状態だというような話をお聞きいたしました。また、東京都の児相でも、精神科医の先生を設置して、子どもの心のケアを図っているということもお聞きをしております。

 そういったいろいろな生活状況で一時保護所に入ってきた子どもたちがいるわけで、子ども同士のさらなる虐待というんですか、いじめというんですか、そういった状況を避けるために、養護施設とか養育家庭さんにおける一時保護委託の活用を図るべきと、これも我が党は主張してきましたけれども、この一時保護委託の実績についてお伺いしたいと思います。

〇朝比奈少子社会対策部長

 委員ご指摘のとおり、虐待を受けた子どもたちには、それまでに受けた心の傷をいやし、心身ともに安心して生活できる場所が特に必要であります。

 そのため、児童相談所では、これまでも、虐待を受けた子どもに配慮をし、一時保護所で心理的ケアを行うほか、子どもの状況を踏まえながら、児童養護施設や養育家庭などへの一時保護委託を実施しているところでございます。

 平成十五年度の一時保護委託の実績でございますが、前年度比で約一・三倍となっております。

◯野上委員

 虐待を受けた子どもたちが、一時保護委託として養育家庭に一時委託されるとの話をお伺いいたしましたけれども、養育家庭は、家庭の中で特定の人との人間関係を前提に子育てを行うために、軽度であれば、子どもの心の傷をいやすのに大変有効であると考えております。その一方で、そのような子どもを預かる養育家庭さんの負担は大きいものがあると思うんですね。

 そこで、養育家庭さんへの支援は大変に重要であると思いますけれども、所見をお伺いいたします。

〇朝比奈少子社会対策部長

 養育家庭制度は、親と一緒に暮らせない子どもたちを、家庭的な環境のもと、温かい愛情と正しい理解を持った里親が養育をする制度で、子どもの情緒的な安定や健やかな成長に寄与する、極めて有意義な制度でございます。平成十五年度からは、養育家庭の負担を軽減するため、一時的に子どもを預け、休息できるレスパイトケアを実施するなど、その支援に努めているところでございます。

 さらに、今年度から、養育家庭が安心して子どもを養育できるよう、すべての児童相談所に養育家庭訪問員を配置し、児童福祉司と一緒になって定期的に養育家庭を訪問したり、交流会を実施するなど、きめ細かなケアができる見守り支援体制を整備、強化をしているところでございます。

◯野上委員

 こうした手厚い養育家庭への支援があると、養育家庭を希望する家庭もさらにふえてくるのではないかと思います。虐待を受けた子どもにとって、親以上に--親が愛情をかけなかったわけで、本当に深い温かい愛情でもって子どもを再育児することによって、そういう心の傷をいやしていけるという、すごく効果があると思うんです。そういったケアがないと、また虐待の連鎖が起こりかねないような気がいたしますので、ぜひこういった細かな見守り支援体制を、さらに強化、整備していただきたいと思っております。

 最後に、栃木県小山市のような幼い子どもたちの命が奪われる悲劇を繰り返さないために、児童虐待の早期発見、早期対応に向けて、社会全体で取り組んでいく必要があると思います。さらに、虐待で心に傷を負った子どもを一人としてもつくらないために、児童虐待を未然に防ぐ施策が重要と考えますが、都として、今後、児童虐待の発生防止に向けいかに取り組んでいくのかをお伺いして、私の質問を終わります。

〇朝比奈少子社会対策部長

 児童虐待は、その後の子どもの発達障害や、情緒面や行動面の問題を引き起こすものであるといわれております。虐待の発生を未然に防止することは極めて重要であります。

 都では、虐待防止訪問支援事業を実施する先駆型子ども家庭支援センターが設置、拡充されるよう区市町村を支援していくとともに、局統合を踏まえまして、育児不安を抱える家庭を早期に発見するなど、母子保健業務と一体的に支援する取り組みをさらに強化していきたいと考えております。

関連記事

カテゴリー

PAGE TOP