平成18年度決算特別委員会(2006年10月18日)複式簿記・発生主義会計の導入について等

平成18年度決算特別委員会(2006年10月18日)


◯野上委員

 都の新たな公会計制度を導入する上では、システムの再構築だけでなく、制度面の整備も必要と思います。昨年度、都は公会計制度の基本的なルールである東京都会計基準を発表されておりますが、会計基準は実情に合わせて見直し、改良していくことが必要と考えます。都は既に、公認会計士等で構成される東京都会計基準委員会を設置していると聞いております。
 そこで、この委員会における東京都会計基準の見直しや財務諸表の分析方法の検討状況は、現在どのようになっているのか、伺います。

〇細野会計制度担当部長

 先生のお話のとおり、会計基準は実情に合わせて見直し、改良していくことが必要であります。このため、都は、公認会計士で構成される東京都会計基準委員会を本年六月二十日に設置しまして、現在まで二回委員会を開催しておりますが、これまで会社法の制定を踏まえた会計基準の見直し等について検討を行っているところでございます。今年度は五回の開催を予定しておりますが、民間の動向などにも適時適切に対応し、都の会計基準をさらによいものにしてまいりたいと考えております。

◯野上委員

 都の新公会計制度の根幹は、複式簿記・発生主義会計の導入であると考えます。
 ここで確認の意味を込めて伺います。複式簿記・発生主義会計の利点について、再度、簡潔にわかりやすく説明をお願いいたします。

〇細野会計制度担当部長

 複式簿記・発生主義会計の利点でございますが、従来の官庁会計の方式でございます単式簿記・現金主義会計と比較した場合、現金収支の情報に加えて減価償却費などを含む正確なコスト情報が把握できるという点が挙げられます。
 また、資産や負債などの、いわゆるストック情報も把握が可能となります。単式簿記・現金主義会計では把握、明示することができませんでしたこれらの情報を活用することによって、より効率的、効果的な行政運営の展開が可能となります。そして、都民に対する説明責任の一層の遂行を果たすことにもなると考えております。

◯野上委員

 よくわかりました。ところで、都としての資産総額やコスト情報を把握する場合に、既に複式簿記・発生主義会計である公営企業会計と一般会計、特別会計を連結する必要があります。
 そこで、公営企業会計と一般会計及び特別会計間の連結財務諸表の作成は実際に可能であるのかどうか、お伺いいたします。

〇細野会計制度担当部長

 交通局や水道局など公営企業会計で使用する勘定科目と、一般会計及び特別会計で使用する勘定科目には差異が存在しております。例えば固定資産の勘定科目でございますが、一般会計、特別会計においては、地方自治法による財産分類に基づくとともに、道路、橋梁等につきましては、インフラ資産として勘定科目を設定しておりますが、公営企業会計ではこのような勘定科目を設定しておりません。
 連結財務諸表の実現可能性に対するご質問ですが、このような勘定科目の整合等を今後図っていくことが必要となりますが、作成は可能であると考えております。

◯野上委員

 東京都全体の財務状況をどのように示していくかということも今後引き続いて検討していただきたいと思います。
 さて、ことしの六月ですか、夕張市が財政再建団体の申請を行いましたが、その原因は過剰な投資が主な原因ということで、不適切な会計処理により債務の増大を招いたことも一因であると思います。このことを契機として、地方自治体の財務状況の透明性の確保や外部からのチェック機能の強化の動きが活発化しております。
 そこで、作成される財務諸表についても、その正確性を証明するために、公認会計士等による監査を導入する予定はあるのでしょうか。

〇細野会計制度担当部長

 財務諸表の正確性の証明ということは重要な課題と認識しております。新しい公会計制度による初めての財務諸表作成となります平成十八年度決算におきましては、東京都会計基準委員会で財務諸表の正確性を確認していただくことを予定しております。今後とも、引き続き外部専門家の目を活用していきたいと考えております。

◯野上委員

 今のご答弁にありましたが、財務諸表の正確性は説明責任の遂行にも、効率的、効果的な行政運営の展開にも、必要不可欠であると認識しております。正確な財務諸表を作成する基本は、職員が新たな公会計制度や複式簿記・発生主義会計に関する知識を十分に身につけて会計処理を行うことだと考えます。
 そこで、経理担当職員や管理職を対象とした研修会や各局の経理部門に対する個別の説明会など、これまでの実績についてお伺いいたします。

〇細野会計制度担当部長

 職員に対する研修会や説明会の実績に対するお尋ねでございますが、平成十七年度から十八年度にかけて計画的に実施してきております。
 まず、複式簿記の基礎的な知識を習得させるため、複式簿記説明会をこれまで合計で六回開催しております。
 また、日々の会計処理を行う職員二千二百名に対しては、五十六回に分けて端末操作説明会というものを実施いたしました。局内の指導を行う局の経理部門に対しては、個別に各局を私どもが訪問いたしまして、訪問説明会、これを延べ三十二回ほど実施しております。さらに、管理職を対象とする研修会も十七年度、十八年度と二回実施しております。今後とも、新たな公会計制度が職員の間に着実に定着していくよう、説明会を積極的に行ってまいります。

◯野上委員

 大変な回数を重ねてご努力をされてきた様子がよくわかります。新たな公会計制度に関する知識や端末操作の研修会を積極的に実施している状況は理解できました。
 しかし、職務上で発生するさまざまな事例に対しては、事前の説明会や研修会ですべて対応できるとは限らないと思います。このような場合に職員を支援していくことも、正確な財務諸表を作成するために必要であると考えます。
 さらに、職員の理解を深めるために、説明会等のテキストや情報を庁内ネットワークを通じて職員の端末に提供すると聞いておりますが、その実施状況についてお伺いいたします。

〇細野会計制度担当部長

 平成十八年二月より庁内ネットワーク上に複式の手引を公開しております。ここでは実務事例に即した運用マニュアルや説明会、研修会で使用した資料等を掲載しております。情報は随時更新し、正確な会計処理が実施されるよう職員の支援に努めてまいります。

◯野上委員

 庁内における新公会計制度の普及、定着の取り組みについては理解いたしました。しかし、今地方自治体は、地方分権の推進や住民に対する説明責任を一層果たすとともに、行政運営に当たり経営の視点を確立することが求められております。そのためには全国の自治体が日々の会計処理の段階から複式簿記・発生主義会計を導入する必要があると思います。そのためにも全国でも東京都と同じように会計制度の見直しを図れるよう都のノウハウを提供するなど、他府県等に対して積極的に支援策を講じていくべきと考えますが、最後に、公会計制度改革の全国展開について、出納長の決意を伺って終わります。

〇幸田出納長

 公会計制度改革の全国展開でございますけれども、この制度導入以降、幾多のお問い合わせをちょうだいしております。そこで、本年七月には全国の自治体や国等を対象といたしまして、都の公会計制度に関します説明会ということで実施をいたしました。都内の区市町村はもとより、全国四十一の道府県あるいは各県市の参加を得まして、百二十九団体でございましたけれども、五百名を超える参加がございました。
 また、この会計制度を知っていただくために、職員がチームを組みまして、入門編からシステムの運用までということで三部構成の解説書を作成いたしまして全国に配布するなど、積極的に情報提供を行ってきております。
 さらに、総務省、財務省あるいはまた全国知事会、他府県など現在まで三十を超える団体等に対しまして、都の新たな会計制度に関します説明を行ってきております。
 これらのことを一つの契機といたしまして、東京都の市長会、二十六市の市長会でございますけれども、ここでは新公会計制度に関します検討会の設置が決まりまして、また特別区におきましても、研究会の設置などが相次いでおります。こうしたことから、都はこのような取り組みに対しましても、積極的に支援をしているところでございます。
 今後とも、個別の自治体に対します支援を含めまして、複式簿記・発生主義会計を全国に発信をし、日本の公会計制度改革に貢献すべく力を尽くしてまいりたいと存じます。

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